「中田ジャパン」と「ガイチジャパン」の試金石となるか? グラチャンバレー2017が9月に開催
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4年に一度のトップチームによるバレーボール世界大会の一つ『ワールドグランドチャンピオンズカップ2017』、通称「グラチャンバレー」が女子は9月5日から、男子は12日から日本ガイシホール(愛知県名古屋市)ほかで開催される。新たに全日本監督となった男子の中垣内祐一監督(49)、女子の中田久美監督(51)にとっても世界が注視する大会だけに、存在感を示せるかどうかの試金石になりそうだ。
オリンピック開催の翌年に行われるグラチャンバレーは、世界ランキングにも影響する重要な大会だ。今回、女子チーム「火の鳥NIPPON」が迎え撃つのは、中国(世界ランキング1位)、アメリカ(同2位)、ブラジル(同4位)、ロシア(同5位)、韓国(同10位、いずれも2016年8月22日付)と強豪ばかり。現在、ランキング6位の日本は相手にとって不足はないどころか、ほぼランキング上位国との対戦となり、厳しい戦いは必至。しかし先月、ワールドグランプリ2017仙台大会で同大会前年覇者のブラジルをフルセットで下す大金星をあげ、対ブラジルを12連敗で止めて6年ぶりの美酒を味わったばかり。しかも、翌週行われたリオ五輪準優勝のセルビア戦(同3位)でも、セットカウント0-2から大逆転勝利し、中田ジャパンの粘り強さをも印象付けた。
そのブラジル戦で両チーム最多の26点と気を吐いた鍋谷友理枝(23)は、中田ジャパンのキャプテンとなった岩坂名奈(27)と同じ東九州龍谷高校(大分県、以下東龍)出身。実は、今の火の鳥NIPPONが目指す“超高速バレー”は、鍋谷が2010~12年と春高バレー3連覇した時の東龍の必勝戦法だった。もちろん、東龍を真似たわけではないと思うが、高さで劣りスピードに勝る日本にとって、たしかに有効な手段ではある。この戦法はどれだけ正確にレセプション(サーブレシーブ)をセッターに返せるかが命綱。AパスだけでなくBパスでも正確にそして速く上げなくてはならず、それだけに宮下遥らセッター陣のトスさばきがキーポイントとなる。
現在、中国、アメリカの2か国が頭一つ抜けている状況だが、日本はブラジル、ロシアとの実力差が拮抗しているだけに、絶対的支柱だった木村沙織(30)の後を継いだ岩坂名奈がどれだけのキャプテンシーを発揮できるかもカギとなる。ともかく、前回(2013年)大会は6チーム中5位と惨敗しただけに、体制が変わった新チームで収穫を得る大会にしたいところ。地元開催の地の利も後押しに、スピード&チームワークで世界の列強に一泡吹かせたい。
一方、12日からスタートする男子チーム「龍神NIPPON」は、現在世界ランキング12位とかつての栄光からは遠ざかっている。今回の相手もブラジル(1位)、アメリカ(2位)、イタリア(4位)、イラン(8位)、フランス(9位、いずれも2017年7月7日付)とすべて格上ばかり。前回大会は0勝5敗だっただけに、中垣内監督もまずは1勝と思っているはずだ。
日本の勝利のためにはやはりこの3人がキーになるだろう。一人目は6月にプロ宣言し、ドイツのブンデスリーガに移籍したばかりの柳田将洋(25)。安定した会社員(サントリー)を辞めて独り立ちしたのも自分を追い込むため。慶應義塾大学卒の頭脳プレーヤーでもあるが、敢えていばらの道を選んだハートの強さも備えている。
二人目は日本バレー界の至宝と言ってもいい石川祐希(21)だ。秋からイタリア セリエAのラティーナに再び入団が決まっており、やはり海外志向が強く、技術だけでなくメンタルも強化したいと意識も高い。二人に共通するのは、2020年の日本男子バレーを昔のように高みに上げること。そのために今、自身が何をしなくてはならないか、というのをしっかり見据えて行動しているのだ。
三人目は初の全日本戦にもかかわらず結果を残した大竹壱青(21)だ。父に元全日本代表のミドルブロッカーの大竹秀之氏、姉にやはり全日本代表入りし、現在デンソーで活躍する大竹里歩(23)を持つバレー一家で育った。石川祐希と同じ中大バレー部の同期だが、石川とともに同校のインカレ3連覇の原動力にもなった。6月に行われたワールドリーグでもスパイク、ブロックで十分にその存在感を示している。身長201cmで、攻撃型のオポジットという日本待望の大型パワープレーヤー。中垣内監督としても攻撃の駒が一つ増えた形で、これから大いに期待できる選手となるだろう。
女子は5日の韓国戦(東京体育館)、男子は12日のアメリカ戦(日本ガイシホール)から。ともに長年のライバル同士との初戦となっており、勝てば上位入賞も夢ではない。一戦必勝の中田&ガイチジャパン。新たな戦いに挑む火の鳥、龍神への応援は選手たちに大きな勇気を与えるはず。かつてない新生ジャパンの力はぜひ、生で確認して欲しい。
※情報は2017年8月7日現在のもの。
JVA2017-08-007