山崎育三郎が語る“歌”との出会い “初”づくしのオリジナルシングル「Congratulations / あいのデータ」を紐解く

2017.8.15
インタビュー
音楽

山崎育三郎  撮影=大塚秀美

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山崎育三郎が初のオリジナルシングル「Congratulations / あいのデータ」を8月16日にリリースする。今作は、初のオリジナルシングルであり、主演ドラマ『あいの結婚相談所』のテーマソング。さらに、初のメドレーミュージックビデオも先日公開された。そんな“初”づくしのシングルを紐解くとともに、山崎育三郎の歌との出会いについても訊いてみた。

――「Congratulations / あいのデータ」は、どちらの曲も初の主演ドラマ『あいの結婚相談所』のテーマソングであり、山崎さんにとって初のオリジナルシングルとなりますが、どのような想いで制作に臨んだのでしょうか。

これまでは自分ではない役としてミュージカルナンバーを歌ったり、もともとあって誰かが歌っている楽曲をカバーしたりしてきたわけですけど、なにもないところから歌うオリジナルソングは、歌手として目指してきたものだったので。今回こうした機会をいただけるというのはすごく嬉しかったですし、自分らしい楽曲にしたいなということを思っていました。

――まず、「Congratulations」は歌詞から思い浮かぶ情景も美しく鮮やかで、一度聴いたら忘れられない多幸感に満ちた旋律が心を満たしてくれますが、歌ってみてなにか気づくことや見つけるものはありましたか?

そう、僕もサビなんかは一度聴いたら忘れられなくて。出会った瞬間に素敵だなと思った楽曲なんですけど、歌ってみると、実は難しい曲で……音域がものすごく広いんですよ。

――Aメロは低めですけど……

サビはものすごく高くて。そこまで音域の広いポップスの楽曲ってあまり多くないと思うんですけど、Aメロからサビまで2オクターブくらいの差がありますからね。

――そんなに! 数々のミュージカルソングを歌ってきた山崎さんだからこそ、歌えますね。

いえいえ、歌ってみたら結構大変ではあったんですけど、なんとか乗り越えました(笑)。あと、これまで自分がやってきたミュージカルの要素も取り入れたいというところで、管楽器……ブラスサウンドを入れたりとか。

山崎育三郎  撮影=大塚秀美

――そのおかげで、サウンドがものすごく華やかだったりもしますし、山崎さんの歌力がよく映えます。

<バージンロード>と歌う部分のロングトーンにしても、自分の色を出せたかなという想いはあります。

――2人にとって最高に幸せな1日を描く歌詞ですが、歌いながら思い浮かぶイメージがあったりもするのでしょうか。

この楽曲を歌うときっていうのは、自分の中に対象となる人物像があって。家族だったり、友人だったり、大切な人だったり……この歌をレコーディングするときに、ちょうど自分の兄が結婚したりもしたので、「お兄ちゃんおめでとう」という気持ちがのって、より言葉に気持ちが入りましたね。そういう対象がいると、すごく歌いやすい歌だなということにも気づきました。

――これから、たくさんの方に結婚式や二次会で歌っていただきたいですよね。

そうですね、新しいウエディングソングとして広がっていったら、歌手としてそれほど嬉しいことはありません。

――そんな「Congratulations」から一転、ガラっと異なる表情が見られるのが、「あいのデータ」。歌詞だけでなく山崎さんの歌い方にしても愁い色、せつない色をまとっていて。<やっぱり美人は得だなぁ 好きな人に愛されたい>という最初のほうのフレーズなどは、胸が締めつけられるようです。

ああ、なるほど。女性の純粋に恋する想いがすごくリアルに描かれているなと思ったので、「あいのデータ」は女性の気持ちになって、自分の声をのせるイメージで歌いました。

――舞台やドラマでさまざまな役を演じてこられている山崎さんですが、女性の気持ちになって歌う際には、どう自分をそこにもっていくのでしょうか。

そうですね……ゲイの役やドラァグクイーンの役などもやってきましたけど、実はあまり違いは感じていなくて。誰かに対して抱く愛情、想いに、男だから、女だから、ゲイだから、ということはあまり関係ないと思っているというか。だから、「あいのデータ」にしても、なんの違和感なく、スっと歌詞の世界に入れた感覚はあります。この歌詞、男性でもしっくりくる人はたくさんいると思いますし。たとえば、冒頭の<泣きたいほど 好きな人が出来た>というフレーズにしても。

山崎育三郎  撮影=大塚秀美

――確かに、現在進行形で恋をする人、過去に片想いした経験がある人、男女関係なくきっと共感できますね。ただ……山崎さんのような方でも、そういった切ない想いをしたことあるんですか?

いやいや、全然ありますよ(笑)。小さい頃は、とてもシャイな子で。小6のとき、好きだった女の子がいたんですけど、その子は私立の中学を受験して、結局想いを告げられないまま別々の中学に進学して。僕は中学に入っても、ずっと引きずっていましたね。

――なんて一途! そして、意外にもシャイだったんですね。

僕はずーっと背が小さくて。前へならえをするときは、だいたいいつも、先頭で腰に手を当てていたし(笑)、確か6年生のときも、中学になっても、しばらくそうだったんですよ。だから、女の子からも恋愛対象として見られていなかったし……とても告白なんかできる子ではなかったです。シャイが尋常じゃないから、歌を始めたというところもあるんですよ。

――歌は、小さいころから好きではあったのでしょうか。

好きでした。家の中でもどこにいるかわからないくらい、男4人兄弟の中で断トツでおとなしい子どもだったんですけど、家族みんなでミュージカル『アニー』を観に行ったんです。それで、帰ってきたらさっき聴いたテーマソングを自分の部屋でひとり、いつもおとなしくてしゃべらない僕が歌っているのを母が見つけて。

――その時点で……。

そう、音程がしっかりしていて綺麗な声だということに母が気づいて、「じゃあ、歌を歌って自信が持てるようになったら、もっと積極的になれるかもしれないね」ということで、音楽教室に連れて行ってもらったのが、小3のころですね。そこから、毎週水曜日に歌のレッスンに通うようになって、童謡コンクールで「七つの子」を歌って賞をいただいたりしていく中で、だんだん、自分にとって歌が特別なものになっていって。歌うとき以外は相変わらずそんなに口数は多くないものの、小6のころにあるミュージカルのオーディションを受けて合格、シンガーソングライターの小椋 佳さん企画の『アルゴミュージカル』の主演に選ばれて、デビューしました。

――すると、お母様が思っていた通りどんどん自信がついていきましたか。

自分ではなく、役としてお芝居の中で歌うことはすごく楽しかったんですけど……普段はそんなに(苦笑)。自分じゃない誰かになることで人前に出られる、という感じではありました。ただ、高校生になってアメリカに留学をしてからは、すごく性格が変わったと思います。

山崎育三郎  撮影=大塚秀美

――案外周りに日本人が多くいるパターンと、現地の生徒ばかりの中でもまれるパターンがありますが……。

僕はもう、2000人の生徒がいる中、自分のほかに日本人はおろかアジア人もひとりもいない地域でもまれにもまれました(苦笑)。それでも乗り越えなきゃというところで、強くなったんですよ。

――普通なら、心が折れて挫けてしまってもおかしくないです。

普通に差別されるし、すれ違うときに突き飛ばされたりもしましたからね。でも、おとなしいながらも、小学校で野球部のキャプテンをずっと務めていたし、上2人の兄が僕と同じように留学して乗り越えてきているから、あいつらにできたんなら俺にもできる!という気持ちもあって。

――負けず嫌い、なんですね。

だと思います、本当に。

――そこで鍛えられた精神力は、絶対に役者というお仕事をする今に生きていますよね。

そうですね。他人というよりは、自分との闘いだなということは、いつも思っています。

――ドラマの撮影期間や舞台の上演期間は、体力的にも精神的にも大変でしょうが、並のことでは弱音を吐かないのではないですか?

いやぁ、眠れないのはキツいですけどね(苦笑)。ミュージカルの場合、上演期間中って規則正しいリズムにはなるので、寝られないということがないし、全力で歌って踊って。それが昼夜2公演あったりもするから、むしろ寝ないとできないですけど、ドラマの場合は、2時間とか3時間睡眠が当たり前になってくるので。その中でセリフを覚えて、さらに今回なんかはピアノを弾く練習をして、歌を覚えて練習して、振り付けを考えて。

――ミュージカル展開の部分の振り付け、山崎さんご自身が考えているんですか?

そうなんですよ。毎回ゲストの方が違うわけで、そうすると振りも変わってくるっていう。……という感じで、芝居以外にもやることが盛りだくさんなので、なかなか大変だったりはします(笑)。

山崎育三郎  撮影=大塚秀美

――しかも、ドラマ初主演というプレッシャーも普通に考えればありますよね。

やっぱり多少はあります。でも、現場がすごくいい雰囲気なんですよ。たとえば『モテキ』だったりとか、妄想シーンとして突然みんなで歌ったり踊ったりするようなドラマは、これまでにもあったと思うんですけど、芝居している最中に急に歌い出したりする今回みたいなドラマっていうのは、なかなか新しい挑戦じゃないですか。それだけに、監督、スタッフ、キャストが一丸となって、「新しいものを作ろう」という意識を持っているから、視聴者に引かれるかもしれないという恐怖を抱えつつも(笑)、すごく団結感があるんです。

――その熱量/パワーが、ドラマを観ていても伝わるような気がして、1話観ただけでもうトリコです。なお、たとえばドラマ『あいの結婚相談所』で演じている藍野真伍は、普段からテンション高めですが……。

突然、ミュージカルモードになってしまったりもしますね。あれは、藍野真伍になりきるからできることです(笑)。

――作品ごと、その役になりきるために、スイッチを入れていたりとか。

まさにそうですね。ドラマだったら「よーい」の声がかかったら、舞台だったら袖から一歩踏み出す瞬間に、自然とスイッチが入ります。

――今回、オリジナルソングを歌うにあたっては、どうだったのでしょうか。

そう言われると……オリジナルソングを歌うにあたっては、わりと自然体だったかもしれないですね。なにかを演じたり、決まった枠の中での表現をするときにはやっぱり緊張がありますけど、オリジナルソングの場合、正解は自分なので。気負うことなく歌えたように思います。

――オリジナルソングのシングル制作を経て、この先に向けての歌手としての夢が膨らんでいたりもするのでしょうか。

やはり、ミュージカルの要素も感じられるような、ブラスバンドのサウンドがベースにある、自分にしか出せない色の楽曲を歌っていきたいですね。ミュージカルファンの方はもちろん、普段ミュージカルに触れない方にも、新しさがあってかっこいいなと感じていただけるようなものにしたいし……自分で作った楽曲も発表したいなと。

山崎育三郎  撮影=大塚秀美


山崎育三郎  撮影=大塚秀美

――これまでも、作曲はされているのでしょうか。

そうですね。いくつかストックがあるので、それをブラッシュアップして、いつか自分の気持ちとして世に出したいです。

――ちなみに、作曲をされるときはピアノで行なうんですか?

ピアノです。まず好きなように伴奏を弾いて、そこに合わせて何パターンか音の流れを作って、自分にとって心地いいメロディをのせていくっていう。いつか、形にしたいですね。

――楽しみにしております! それから、まだ観させていただけていない初のメドレーミュージックビデオについても、お聞きしておきたいのですが……。

まず、「あいのデータ」で、ある男女が出会い、2人が共に過ごす映像を僕が眺めながら歌うという演出で始まり、最終的には僕がその映像から2人を引っ張り出すと、2人がタキシードとウエディングドレス姿になっているんです。そして、式場に向かう中で「Congratulations」が始まるんですよ。

――MVにおいても、まさに藍野さんのような役目を務めていらっしゃると。

そうそう、藍野さんのように2人を見守るところから式場に送り出すまでを、「あいのデータ」「Congratulations」の2曲で描いているんです。

――音源では「Congratulations」「あいのデータ」という順番に聴きますけど、逆にしても素敵なドラマが生まれるのですね。さて、ドラマ『あいの結婚相談所』はこれからどう展開していくのか、ヒントをいただけたりもしますか?

新しいキャラクターも登場して、ここからどんどんおもしろくなりますよ。3話まで観たら、もう抜け出せないと思います(笑)。結末は、僕もまだ知らないんですけどね。原作にはないような展開が待っているんじゃないかと思うので、僕自身、楽しみにしています。


取材・文=杉江優花 撮影=大塚秀美

山崎育三郎  撮影=大塚秀美

 
リリース情報
山崎育三郎「Congratulations / あいのデータ」 
2017年8月16日発売
●初回限定盤(CD+DVD+アザージャケット) UPCH-7347 ¥1,700(税抜)

山崎育三郎「Congratulations / あいのデータ」初回限定盤

●通常盤(CD) UPCH-5921 ¥1,200(税抜)

山崎育三郎「Congratulations / あいのデータ」通常盤

≪CD≫
01. Congratulations
02. あいのデータ
03. あいのデータ Happy ver.
04. Congratulations [Instrumental]
05. あいのデータ [Instrumental]
06. あいのデータ Happy ver. [Instrumental]
≪DVD≫ ※初回限定盤のみ
・「あいのデータ~Congratulations」 Medley Music Video
・「あいのデータ~Congratulations」 Making Video
※「Congratulations / あいのデータ」先行配信中!!
  iTunes : http://po.st/ityicongratulations
レコチョク: http://po.st/recoyicongratulations

 
山崎育三郎 ファースト・オリジナルシングル「Congratulations / あいのデータ」 リリース記念イベント
日時:8月19日(土)
場所:イオンレイクタウンkaze 1階光の広場
※イベント詳細は下記URLをご覧ください
http://www.universal-music.co.jp/yamazaki-ikusaburo/news/2017/07/28/

 

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