決死の覚悟で臨んだ撮影 青野楓『阿修羅少女 BLOOD-C異聞』インタビュー
青野楓 撮影:登坂義之
「Production I.G×CLAMP」のタッグにより、これまでアニメ・舞台など多方面で展開されてきた『BLOOD-C』シリーズの最新作は、実写映画『阿修羅少女 BLOOD-C 異聞』。8月26日より東京・テアトル新宿ほかにて全国公開される。
2011年にオリジナルアニメとして発表された「BLOOD-C」は、残虐描写も話題となった衝撃作。どんな映像になっているのか、シリーズのファンならずとも期待せずにはいられない作品だ。主演は舞台版『攻殻機動隊ARISE』で草薙素子を演じた青野楓。共演は、舞台『戦国BASARA』で真田幸村を演じた松村龍之介、舞台『BLOOD-C THE LAST MIND』で更衣小夜を演じた宮原華音ほか、古田新太、手塚とおる、田中要次、さらに銀粉蝶、水野美紀、坂井真紀ら、実力派が集結した。
今作は、舞台版を経て、戦う少女・小夜という設定のみ残した完全書き下ろしのオリジナルの新作。監督は舞台の演出を手掛けた奥秀太郎、脚本は「BLOOD-C」を手掛けた藤咲淳一が担当。蘭を演じた青野楓に体を張った過酷な現場での撮影の様子や、「BLOOD-C」シリーズへの思い、これから挑戦してみたい役などさまざまな思いを語ってもらった。
——今回主演された『阿修羅少女 BLOOD-C 異聞』はどのような内容の作品になっていますか?
戦前の日本。小さい村に住む姉弟の物語です。そんな村で1人の特高警察が殺され、静かに暮らしていた姉弟の運命が変わり始めます。ネタバレになってしまうので多くは言えないので劇場で観ていただければと思います。
——撮影で大変だったエピソードなどがあればお聞かせください。
6月〜12月という長い撮影期間で、ほとんどの季節を野良着で過ごしたなという印象が残っています。特に11月12月の撮影は、本当に寒かったです。それに撮影の日には必ず雨が降るという感じで天候に恵まれなかったですね。山奥で寒い上に、雨が降って地面がドロドロで…。そんな中、衣装は野良着に慣れないわらじなのでアクションの後にはわらじがつぶれかけました。撮影の最後のほうには、ものすごい量の火を燃やした炎のシーンがあって、スタントマンさんが使う火よけのローションのようなものを塗っても熱くて、軽い低温やけどしてしまいました。翌日には治りましたが。そのシーンの撮影前には、好きなものを食べて、好きな音楽を聞いて、キャストやスタッフさん達に、「今までありがとう」って言うくらい覚悟を決めて臨んだ撮影でした。
——決死の覚悟というわけだったのですね。
ハイ(笑)。でも仕上がりを見たら、臨場感もあるし、明るさもCGとは違うなというのがあって、やって良かった、やった甲斐があったって思いました。
——なるほど。ちなみに、何を食べて、何を聞いたのでしょうか?
味つけ海苔を食べました。効き海苔が得意なんです。見れば自分の好きな海苔は分かりますね。海苔が好きということは誰にも負けない自信があります。音楽は、Avicii(アヴィーチー)です。彼の曲を聴くと今でも撮影時のことを思い出します。
撮影:登坂義之
——そんな思いで臨んだ炎のシーンは注目して欲しいポイントでもありますね。さて、舞台『BLOOD-C』にも出演されていますが、舞台版と映画版での違いなどはありましたか?
蘭の役柄もそうなんですが、世界観も含めて全体的にダークになったなという印象でした。舞台のときから、「暗い話だな」とは思っていましたが、さらにダークになっているので、そこも見どころだと思います。
——舞台に続き、松村龍之介さん、宮原華音さんとの共演はいかがでしたか?
絆が深まりましたね。深夜の撮影が多くて、一緒にいる時間が長かったので、一体何夜一緒に過ごしたのだろうという感じでした。2人とも目を開けて寝るということも分かりましたし(笑)ちょっと怖かったですね。
——2人ともって珍しいですね。ストーリーがダークで少し怖い感じなのに、撮影後もある意味怖かったわけですね。
そうですね、撮影では壮絶な経験をしたので撮影後は眠れませんでした。松村くんが、虫退治をしてくれたのはとても頼もしかったです。あと、差し入れのとうもろこしがおいしかったですね。ゆでただけなのに、とってもあまくて。今まで食べたとうもろこしのなかで一番美味しかったと思います。
撮影:登坂義之
——今後、役者としてどのようになっていきたいですか?
今、アクションのある強い役というのが多いので、ちょっと違う役はやってみたいなという気がしています。以前、舞台でご一緒した比嘉愛未さんがとても素敵な方で、役者としても女性としても憧れています。またいつかご一緒したいと思っています。
——「好きな役を選んでいいよ」と言われたら、どんな役をやってみたいですか?
手話を使う演技がしてみたいです。表情や手の動きで伝えるという事に惹かれます。ドラマ『オレンジデイズ』が大好きで、よく見ていたら、少し分かるようになっていました。いつかやってみたいと思っている役柄のひとつです。あとはサイコパス的な役ですね。犯罪心理学に興味があって事件の本とかよく読んでいます。
——今回の作品はカンヌ国際映画祭で上映されましたが、将来海外で仕事をしたいとか考えていますか?
はい。英語は現在勉強中です。海外で具体的に何がしたいというのはまだ見えていないですが、いろいろな役ができるように、今は何でも勉強だと思っています。
撮影:登坂義之
——これから『阿修羅少女 BLOOD-C異聞』をご覧になるみなさんにメッセージをお願いします。
まずは、映画館に足を運んでたくさんの方々に観て欲しいなと思います。独特の世界観なので、皆さんの感想を直接きいてみたいです。もしかしたら一度観ただけではわからない方もいらっしゃると思いますがそんな世界観を楽しんでいただけたらと思います。
インタビュー・文:田中 忍 撮影:登坂義之
2017年8月26日テアトル新宿他全国公開
【CAST】
青野楓/松村龍之介/古田新太/宮原華音
手塚とおる/八神蓮/田中要次/銀粉蝶/水野美紀/坂井真紀
郷本直也/滝川英治/南圭介/結城貴史/友常勇気
石渡真修/中山孟/時光陸/古波倉要/宮城紘大/吉川麻美/白柏寿大
【STAFF】
監督:奥秀太郎
原作:Production I.G・CLAMP
脚本:藤咲淳一
音楽:中尾憲太郎
撮影:与那覇政之
美術:中嶋義明
録音:白取貢
アクションコーディネーター:藤田けん
プロデューサー:奥村千之介