SUPER BEAVER ソロインタビュー企画・第4弾 柳沢亮太「どういうことをしてる人間が何を言うかが、すごく重要」
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SUPER BEAVER・柳沢亮太 撮影=高田梓
この1年間で目覚ましい躍進を遂げたSUPER BEAVER。その過熱ぶりは間もなくスタートするツアーもZepp Tokyoの2デイズも含み、即完売している事実からも明らかだ。にもかかわらず、当の本人たちに浮ついたり気負ったりする様子は無い。一人ひとりと向き合いながら、足元を踏みしめながら、それでいて大きな野心を胸に抱きながら進むバンド、SUPER BEAVER。メンバー全員にソロインタビューを敢行し、それぞれの胸の内を語ってもらった今回の企画もいよいよ最終回。ギタリストであり、そしてバンドの意志を形にするソングライターの柳沢亮太は何を語るのか。
――個人的には柳沢くんに取材させてもらうのが……2015年以来なんですよ。死にかけて入院した前後にいろいろ話を聞かせてもらってて。あれから体調は大丈夫?
おかげさまで(笑)。
――インタビューは久しぶりですけど、ここ2年の快進撃はすさまじいですね。
2015年ぐらいだと、『愛する』の頃ですもんね。あれで恵比寿LIQUIDROOMまでいって、その年末が(赤坂)BLITZで。それが年を明けた2016年には10周年イヤーのファイナルでZepp(DiverCity)にチャレンジしたので、いきなりキャパ的には2倍ぐらいになったっていう。本当に一歩ずつコツコツと積み上げてきてたんですけど、Zeppで一気に飛び級しましたよね。
――って振り返ると、2016年はこの先ビーバーが歴史を語るうえではターニングポイントになる年だったと思うんだけど、その渦中にいた心境はどういうものでしたか?
びっくりするほど飛躍したとは思わないんですよ……何というか、届く範囲や聴いてくれる人は確実に増えたんですけど、そういう喜びはありながら、だからこそ「まだまだ」っていうのは感じるというか。もっと楽しいところはいっぱいあるので、一つひとつの出来事に対して、純度高く「嬉しいな」って感じつつ、もっと追求していきたいなっていうのはあります。もちろん大変なこともたくさんあるけれど、今がいちばん楽しいんですよね。
――いいですね。ビーバーは一度メジャーデビューで挫折しているバンドだから、いま改めてその言葉を聞けるのは、グッとくる。
そういうふうにバンドのストーリーを見たうえで言ってくださる方がいるのも嬉しいんですよ。弱小チームが優勝する甲子園の話みたいな(笑)。
――そういうなかでリリースされる今作『真ん中のこと』ですけども。まず、曲を作る前に完成像みたいなものはあったんですか?
それが珍しくあったんです。今回は最初に渋谷(龍太)からコンセプト的なところの投げかけが強くあって。リズムアプローチだったり、サウンドアレンジをより強固なものして作りたいって言ってたんです。もちろん僕らは4人でライブをやってるんですけど、やっぱりそこで空気に一番敏感なのはボーカリストである渋谷だと思うんです。その渋谷が今のSUPER BEAVERのライブをより強くしていくには、新しい側面を持った楽曲があったほうがいいんじゃないか、みたいなことを言い出したんですよね。そういうことを言ってくるのは初めてでした。
――それは今後のライブもそうだけど、次のフルアルバムであったり、今後のバンドのあり方を見据えたうえで、いま実験的なことをやるべきだって判断したんですか?
そこまでは……どうですかね。でも少なからず、いままでの作品が積み重なったうえで、こういう感覚になったのは間違いないと思います。最初に話したようなライブの状況もだし、自信がついたこともだし、昔みたいにただガムシャラに届ける時期ではなくなってきたのか、色々な要素が混ざったうえで、今だからっていうことだと思いますね。
――柳沢くん的には、渋谷くんからそういう提案があって、「なるほどな」って腑に落ちる部分が多かったですか?
腑に落ちる部分がありながらも、まずは「どうしようかな?」と思いました。「どこまで振り切るべきかな」と思って。僕が曲を作る人間として考えなきゃいけなかったのは、昔よりも聴いてくださる方に求められているビーバーっぽさっていうのも少しずつ出来上がってきてるっていうことだったんです。今のビーバーの曲が好きだって言ってくれる人が増えてきたからこそ、ずっと僕たちが大事にしてきてる歌詞であったり、メロディの強さみたいなものは、これまでどおり……と言うか、これまで以上に強固にしていきたいなって。
――新たなチャレンジをしていくことで、従来のビーバーが持っている強みを薄めてはいけないというか。
もちろん「全く別モノじゃん」みたいなことには、どう転んでもならないんですけどね。どうやっても滲み出てくるSUPER BEAVER感みたいなものがあるので。
――そういう出発点からスタートした曲作りは今までとは違いましたか?
感覚としては、いま持っている曲作りのボックスの隅々まで扉を開けましたっていうより、もう1個いままで使っていなかった別のボックスを持ってこれたっていう感じですかね。それは積み重ねてきた中で備わってきたものだから、無理矢理アイディアをほじくったわけではなくて。バンドとして柔軟になるための、最初のきっかけを渋谷が与えてくれたんだなと思いました。あれもやってOKだし、これもやって大丈夫なんだって。
SUPER BEAVER・柳沢亮太 撮影=高田梓
――そういうサウンド面の方向性が決まったうえで、歌詞についても考えていくと思うんですけど。今回、『真ん中のこと』っていうテーマになったのは?
自分の中で、改めて全ての感情を俯瞰してみたときに、悩みとか迷いが発生するのは、必ずその真逆の感情があるからだなっていう気がしたんです。何かを否定する感情もそう。それって、その反対に自分の好きなものがあるからじゃないですか。
――いま言ってくれた考えは、2曲目の「正攻法」という曲に出てますね。<否定には創造力がない 口撃には想像力がない>っていう。
そうですね。今回は全曲とおして、その二面性のポジティブな方、本音の部分、「本当は」の方にフォーカスをあてることで、そういう想いを抱いている人の気持ちを後押したかったんです。「あなたがそう思ってるのなら、それでいいと思うよ、大丈夫だよ」って言ってあげられる1枚にしたかったんです。
――たとえば、「ひなた」には、<自分に期待しないなんて 空しくてつまらない>というフレーズが出てきますけど、こういう歌って、ともすると説教臭くなってしまうと思うんですよ。でもビーバーはそうじゃない。それは、どうしてだと思いますか?
それは音楽ゆえですよね。バンドだから、というか。音を通じてっていうのはあると思うんですけど……でも、音というよりも、このバンドの場合、その音を鳴らし続けてきた人間たちの道のりが、その言葉に説得力を与えてる部分はあるのかもしれないです。それは言葉の並べ替えでどうこうなるわけでもなくて。“誰が言うのか”ですよね。どういうことをしてる人間が何を言うかっていうのが、すごく重要だと思いますし。
――要するに、SUPER BEAVERの渋谷龍太が歌うから意味がある歌というか。
それに、今だから歌えるものでもあると同時に、10年後に歌えないものになってても意味がないので、この先もずっと歌い続けられるものにもなっている。「時代が変わっても本質的には変わらないよ」っていう歌を、年々少しずつ歌えるようになってきてる気はしてますね。
――今だから言える、というのは?
自分の考えを「正攻法」だって言えたり、自分たちのやりたいことを「それくらいのこと」って言えてたり、その全てを「これがSUPER BEAVERの“真ん中のこと”だ」って言えるのは、今のSUPER BEAVERの強みだなと思ってるんですよ。「真ん中のこと」っていうのは、これ以外が真ん中じゃないっていう意味じゃなくて、僕らがどういうアプローチをしても、この4人で鳴らしてる音楽がSUPER BEAVERで、僕たちが信じてる意思こそが「真ん中のこと」であって、そこになんの偽りも迷いも嘘もない。そういう意思を聴いてくださる方と僕らの間で受け渡し合いができたらいいなと思います。
――相変わらずバンドの意志というものを大事にしてますね。
僕たちはその意志と、歌ってること、やっていることがズレた瞬間に、全て崩れるバンドだと思うんですよね。生活の全てが音になり、言葉になり、ライブになるから。全部が表として繋がってるのが、このバンドの良さなんです。
――秋からはツアーが始まります。全国のライブハウスを回って、最後はZepp Tokyoの2デイズ。今回はライブを意識した音源ですから、これは楽しみですね。
なんでこういう作品を作ったかっていうことを考えると、たぶん共有をしたいからなんですよね。だから僕らが一方的に投げるだけではなくて、それに対して返してくれるエネルギーを受け取って、また僕らも何かを発信していく――この連鎖をどんどん大きくしていきたいと思ってます。こういう音源だからこそ、より過去の曲が響く側面もあるので。一緒に「楽しかったね」って言えるような日々どんどん作っていきたいです。あと、今回は前半のゲストパートがとんでもないことになってるので、そこも楽しいと思うんですよね。
――今後のビーバーにはどんな展望を抱いていますか?
すごく単純なことを言うと、もっと大きなところでライブをやりたいし、もっと多くの人にCDを聴いてもらいたいと思うし。いけるところまでいきたいです。
――いけるところというのは?
Zepp Tokyoに2デイズで立ったら、いろいろ伝統的な会場はありますからね。
――武道館とか?
まあ……ね(笑)。最近はホール的なところとか、大きなフェスに出る機会があって、ああいうところだからこそ味わえる楽しさも経験させていただいて。どの会場を見ても「単独でやりたいな」っていうのは思いますし、だからこそライブハウスも大事にしていきたいんです。
――では、これはメンバー全員に共通で聞く質問ですけども、柳沢くんにとってSUPER BEAVERとは?
えーっ! 深すぎて、わからない(笑)。超ロングツアーの最終日の打ち上げとかでポロッと言ってそうなやつですよね。なんですかね……柳沢くんにとって、SUPER BEAVERとは、人生であり、生活であり、変な話、仕事でもあり。
――もう人生の半分まではいかないけど、1/3以上はSUPER BEAVERですもんね。
うん、だから人生と言うには大袈裟だけど、やっぱり人生と言う以外にないですよね。これを中心に生きてるわけで、しかも、その生活のなかで日々思ってることが歌になってるから。やっぱり人生かなあ。それ以外に思いつかないです。
取材・文=秦理絵 撮影=高田梓
SUPER BEAVER・柳沢亮太 撮影=高田梓
発売中
『真ん中のこと』
品番:NOID-0021(初回盤)22(通常盤)
発売元:[NOiD] / murffin discs
販売元:Japan Music System
【CD 収録内容】
1, ファンファーレ
2, 正攻法
3, ひなた( カンテレ・フジテレビ系 SP ドラマ「でも、結婚したいっ! BL 漫画家のこじらせ婚活記」主題歌 / 岩手銀行 CM「登場」篇テーマソング )
4, irony
5, 贈りもの
6, それくらいのこと
【初回限定生産盤DVD 収録内容】
2017年4月30日(日) @日比谷野外大音楽堂
「都会のラクダSP~ラクダビルディング~」
SUPER BEAVERワンマンライブのダイジェストを収録!
2, ひなた
3, 生活(Acoustic Ver.)
4, 青い春
5, 27
6, 東京流星群
9月15日(fri) 千葉LOOK【ワンマン】
9月16日(sat) F.A.D YOKOHAMA GUEST:SCANDAL
9月20日(wed) KYOTO MUSE GUEST:10-FEET
9月23日(sat) 高知X-Pt. GUEST:SiM
9月24日(sun) 松山Wstudio RED GUEST:SiM
9月26日(tue) 周南RISING HALL GUEST:夜の本気ダンス
9月27日(wed) 熊本B.9 V1 GUEST:夜の本気ダンス
9月29日(fri) 鹿児島CAPALVO HALL GUEST:HEY-SMITH
10月1日(sun) 岡山YEBISU YA PRO GUEST:HEY-SMITH
10月2日(mon) 神戸太陽と虎 GUEST:THE BACK HORN
10月6日(fri) 高崎club FLEEZ GUEST:coldrain
10月7日(sat) 長野CLUB JUNK BOX GUEST:BLUE ENCOUNT
10月9日(mon) 金沢EIGHT HALL GUEST:BLUE ENCOUNT
10月20日(fri) 水戸LIGHT HOUSE GUEST:ROTTENGRAFFTY
10月21日(sat) HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2 GUEST:ROTTENGRAFFTY
10月22日(sun) HEAVEN’S ROCK熊谷 VJ-1 GUEST:爆弾ジョニー
11月4日(sat) 広島CLUB QUATTRO【ワンマン】
11月5日(sun) 福岡DRUM LOGOS【ワンマン】
11月11日(sat) 新潟LOTS【ワンマン】
11月12日(sun) 仙台CLUB JUNK BOX【ワンマン】
11月14日(tue) 札幌cube garden【ワンマン】
11月18日(sat) 高松オリーブホール【ワンマン】
11月19日(sun) なんばHatch【ワンマン】
11月25日(sat) 名古屋DIAMOND HALL【ワンマン】
12月15日(fri) Zepp Tokyo【ワンマン】
12月16日(sat) Zepp Tokyo【ワンマン】