SHIN 長い沈黙を経てソロとして本格復帰、その生き様をライブを通して伝えたツアー初日レポート
SHIN 2017.9.4 恵比寿リキッドルーム 撮影=菅沼剛弘
SHIN LIVE TOUR 2017“Good Morning Dreamer”
2017.9.4(MON) 恵比寿リキッドルーム
9月4日(月)、SHINがソロになってから初の全国ツアー『SHIN LIVE TOUR 2017“Good Morning Dreamer”』を東京・恵比寿LIQUIDROOMからスタートさせた。インディーズチャート堂々1位を獲得した1stソロアルバム『Good Morning Dreamer』を掲げた今ツアーの初日となったこの日は、折しもSHINのバースデー。彼の熱い思い、パッションが場内に溢れまくった一夜となった。今後もツアーは続いていくので、全体の構成や詳しいセットリストについては割愛して、当日の模様を伝えたい。
「すげー音楽性変わったけど、これが俺のやりたいことなんだ。みんな、楽しそうな顔して僕の曲聴いてくれて、僕のことずっと待っててくれてたんだなって思いました、ありがとう。最高の誕生日になりました 本当に幸せです」(SHIN)
終演後、とびっきりの笑顔を浮かべてそう挨拶した後、オーディエンスに向かって長い間頭を下げたSHIN。
2015年4月29日、バンド結成から最速で日本武道館まで駆け昇ったヴィジュアル系バンド、ViViDは解散した。あれからもう約2年半。ViViDのボーカリスト・シンは、長い長い沈黙の期間を経て、音楽に人生すべてを賭ける熱いひとりのミュージシャン・SHINに生まれ変わって、このステージに戻ってきた。
SHIN 2017.9.4 恵比寿リキッドルーム 撮影=菅沼剛弘
真っ暗なステージ。ドラム、ギター、ベース。3人のサポートメンバーに続いて、フードを目深に被ったSHINが姿を見せると、場内に“キャー”という黄色い歓声に“ウォー”と叫ぶ男たちの低いわめき声が重なる。アルバムを出して、明らかに男性ファンが増えた。
「トーキョー。始めようぜ!」。1曲目から、SHINの身体からパワフルな歌とサウンドが溢れ出し、みなぎるようなエネルギーが会場に集まった人々にみるみる伝わっていく。すごい熱量だ。「飛ぶぞ!」とSHINが声を弾ませて叫べば、それに対してフロアは全力でレスポンスを返す。ライブはのっけから想像していた以上に演者とオーディエンス、両者の熱いパフォーマンスが繰り広げられていく。SHINならではの色気を醸し出しながらも、以前よりもワイルドな男らしさを前面に打ち出したルックス。アッパー中心の、軽快でダイナミックなギターロックをメインにした曲を、太い地声を使ったパワーボイスを使って歌い上げる歌唱。“元ViViDのシン”を感じさせるものはそこにはない。
配信で真っ先に届けられた「jack the ripper」はSHINがギターを弾きながらパフォーマンス。これが実にかっこよくて、オーディエンスはコブシを振り上げ、大興奮。続けて「dirty hurry」が始まると、場内のテンションがさらに上がり、観客たちがハンドクラップで応戦。SHINが「たまらないなー」という表情で心底楽しそうな笑顔をむき出しにする。いま目の前でステージに立っているSHINに、もはや迷いや不安は微塵も感じられなかった。
SHIN 2017.9.4 恵比寿リキッドルーム 撮影=菅沼剛弘
短い挨拶を告げた後、「1年前の今日、行き先も何も決まってないなか、EX THEATER ROPPONGIのライブを発表しました」といって、SHINが感慨深そうにこの1年を振り返る。バンド解散から605日が過ぎたこの日、決死の覚悟で、自らの音楽人生を賭けて2016年12月24日に自主開催で挑んだ東京・EX THEATER ROPPONGIのワンマンライブ『約束』。だが、このライブをきっかけに、運命は激変。長い間止まっていたSHINの音楽人生の歯車がやっと動き出した。
「EXが終わって、いまの事務所にお世話になることが決まって。そこから配信をやったり、イベントや対バンのライブも何本かやって。アルバムも出せた。ツアーも始まって。その初日、僕の誕生日にみんなに会えました」とSHINが伝えると「おめでとう」という声が自然とあがった。そして「ここ何年かは悔しさだったりもどかしさだったり、みんなに会えないせつなさ、マイナスなものばかりを力に変えてきた」と言葉を続けた。その間に味わったどん底の苦しみ、歌いたい想い、全てを赤裸々に描き、詰め込んだのが彼の1stアルバム『Good Morning Dreamer』だ。どん底のときは「みんなにもう会えなくなることまで想像した」というSHIN。「でもいまはステージに立てて幸せ(笑顔)。みんながいるから僕はここに立てる。みんなは、僕が生きてきた証。みんなは僕の人生の財産。あの頃、どん底でウジウジしてた僕にこの景色を見せたい」といって、自分が少しだけ前を向くきっかけとなった曲「WEAKEND」を大事に届けていった。
そこからライブは後半戦へ。自分のなかのドロッとした感情をダークサイドな楽曲に乗せたナンバーを次々と歌い上げていった後、クライマックスにやってきたのは、アルバムの中でもとびきり光に包まれていた「restart」。明るいライトに照らされ、圧倒的なポジティヴィティーに包まれたサウンドと躍動感あるリズムで、どん底から這い上がり、未来へと走り出す自分を高らかに歌う。そして、発売したばかりの1stアルバムについて「僕の過去と現在と未来をつなぐアルバム」だと説明していったSHIN。ここでいう過去とは、すなわちバンド時代のことだ。「あんまり過去の話はしたくないけど」と前置きをしながら、あの頃があるからいまの自分があることを伝え「過去は大切で感謝もしてる。でも、僕の目標はEX THEATERでもいったように、もう1回みんなを日本武道館に連れていくこと。1回立っているからこそ難しいことは分かってる。でも絶対みんなともう一度行きたい」とEX THEATERに続き、再び宣言。そうして「自分の音楽と、みんなにだけは嘘つかない。だから、もう1回俺についてきて欲しい。ホント簡単じゃないんだよ。そんなの分かってる。でもチャレンジしたいんだ! ついてきてくれる? 絶対に裏切らないから。何があっても。これが、僕からの約束です」と武道館にかける思いをエモーショナルに訴えかけると、会場のあちこちに希望に満ちた笑顔が溢れた。
SHIN 2017.9.4 恵比寿リキッドルーム 撮影=菅沼剛弘
そして、自分の過去を糧にこれからは未来を生きていくという意味も込めて、アルバムの中で唯一、ViViD時代の曲調や歌い方を彷彿させる大事なバラード「2015.4.29」をパフォーマンス。こうして、いまのSHINはフラットな気持ちで自分の過去を受け入れ、未来へと向かって生きている。その生き様をライブを通して伝えていったのだ。
この日のアンコール。バンドメンバーがバースデーソングを演奏し、スタッフがケーキを持ってくるというSHINへのバースデーサプライズが仕掛けられたものの「実はみんながコソコソ打ち合わせしてるのが聞こえてた」と本人の口から語られ、場内はいっきに和やかなムードに包まれていった。
バンドが解散してからは糖質をカットした生活で体を絞っていたが、今年は誕生日がきた夜中の12時に「おめでとう」の味噌ラーメンを一人で食べ「お腹が痛くなりました」とお茶目な表情を見せ、女性ファンをキュンとさせた。
いよいよ本格的に始動を開始したSHIN。ツアーは今後も続くので是非足を運んで、ミュージシャン・SHINをその目で確かめて欲しい。
取材・文=東條祥恵 撮影=菅沼剛弘
2017年8月23日発売
【プレス限定盤A】[CD+DVD]EAZZ-0178 ¥2,800+税
【プレス限定盤B】[CD+PHOTO BOOKLET仕様(28ページ)]EAZZ-0179 ¥2,500+税
<CD収録曲>
1.jack the ripper
2.why not?
3.just going true side
4.4444
5.WEAKEND
6.TERRITORY
7.dirty hurry
8.restart
9.2015.4.29
<DVD収録内容>
01. MUSIC VIDEO「just going true side」
02. LIVE MUSIC VIDEO「WEAKEND」
2016/12/24 SHIN 1st LIVE 20161224「約束」@EX THEATER ROPPONGI
03. アーティスト写真撮影&MUSIC VIDEO「just going true side」オフショット映像
■収録内容など詳細はオフィシャルサイトへ https://shin-project.jp/contents/105632
開場18:15/開演19:00
オールスタンディング ¥4,860 (税込/D別)
※3歳以上必要
◆9月9日(土) 松本Sound Hall a.C
開場17:30/開演18:00
オールスタンディング ¥4,860 (税込/D別)
※3歳以上必要
◆9月15日(金) 仙台darwin
開場18:30/開演19:00
オールスタンディング ¥4,860 (税込/D別)
※3歳以上必要
◆10月6日(金) 梅田TRAD
開場18:15/開演19:00
オールスタンディング ¥4,860 (税込/D別)
※3歳以上必要
◆10月7日(土) 名古屋ReNY limited
開場17:15/開演18:00
オールスタンディング ¥4,860 (税込/D別)
※3歳以上必要
<SHIN サポートメンバー>
Gt.YOUSAY
Ba. Miro
Dr. RYUGA