『Sing N' Play』卓越した歌とギタープレイで魅了した女性若手シンガーAnlyとReiが共演した大阪の夜
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左:Rei 右:Anly 撮影=森好弘
『Sing N' Play』2017.9.1(FRI)大阪・umeda TRAD
ポップス、ブルーズ、ロックといった多ジャンルをギターとパワフルかつファンキーな歌声で響かせながらも、どこか沖縄県出身らしいゆったりとした空気もまとうAnly。そして、卓越したギタープレイとキャッチーかつポップなメロディとボーカルで快進撃を続けるRei。そんな今注目の2人のシンガーソングライターによるツーマンライブ『Sing N' Play』が9月1日(金)umeda TRADにて開催された。2つの若き才能がタッグを組んだ熱い夜をレポートする。
会場内ステージ
今回は着席スタイルで、ステージにはランタンやチェストなどが置かれ、部屋を再現したセット。いつものライブとはひと味違った空気が開演前から漂う。見回せば、“ベテラン・ミュージックラバー”の姿も多く、そこからも2人の音楽性の高さがうかがえる。
Anly
そして19:30開演。先に姿を見せたのはAnly。今回の世界観を表すように「Boys blues」から鳴らし始める。持ち味の力強さと20歳には思えない艶やかさも併せ持った歌声を響かせると、続く「Bye-Bye」でテンポアップ。手拍子も起こりアッパーなムードに変えて笑顔も見せると「盛り上がってますか?」の呼びかけに歓声もあがる。さらに自己紹介と「大阪が大好きで…」の嬉しいひと言も挟み、スキマスイッチとコラボレーションした「この闇を照らす光のむこうに」へ。そのアカペラパートでは静かで熱いクリアなボーカルが会場を包み込むようだ。
Anly
と、ここで「エド・シーランで知ったんです」とループペダルを登場させる。コーラスやギターを次々に重ねてベースを作り上げ、彼のカバー「Don’t」、そして同じくループペダルで「Coffee」と「Manual」という2曲を続けて、一人とは思えない音世界を広げる。「Don’t」の英語詞で、また異なるボーカルの魅力を感じさせたかと思えば、「Coffee」では少しラフかつキュートなイメージを。手拍子も大きくなり中盤の盛り上がりどころ! といった具合だ。また高校時代の思い出を描いた「Manual」では、若い彼女ならではの衝動を音に乗せ、「一緒に歌ってくれますか?」とコール&レスポンス。しかも「もっと!」と煽り大歓声と拍手を起こす。
Anly
またMCでは「(今日のために)新しい服を着て来ました(笑)」と、少女らしさも残るコメントでちょっとほっこりさせてくれるAnly。そんな和やかな小休止も演出しつつ再びカバーへ。今度はザ・ビートルズの「Come together」だ。トリッキーかつアグレシッブなギターで“Anly色”もプラスして、次は「みんなと盛り上がる曲を」と、曲前にピースサインの練習。準備が整って始まった「PEACE」では声も体も弾ませてポジティブな詞の世界を表現し、「大阪最高!」の声もあげて気分も最高潮に。そしてラストは「みなさんが大切な人を思い出す、空を見上げるきっかけになったらうれしいな」と新曲「北斗七星」を感情たっぷりに歌い上げた。その優しい声とギターは、会場では見えないはず星空を見せてくれるようだった。
左:Rei 右:Anly 撮影=森好弘
そして、今回のイベントのお楽しみでもあるこの時間! Reiのステージへのバトンタッチは2人の共演!! 「初めて会った時から、周りの人と話が合わない(私の)気持ちが(Reiにも)わかるんだろうな~って(笑)」と、ひと笑い起しながらAnlyがReiを呼び込むと「やりたい曲があって」(Anly)、「この曲、来たか!って感じ」(Rei)と、レッド・ツェッペリンの代表曲「Stairway to Heaven」を。それぞれが挑発的に熱量たっぷりのプレイでぐいぐい引っ張り、“炸裂”の言葉が似合う聴きごたえある1曲に仕立て上げた。
Rei
そんな冷めない興奮を、ピリリと心地いい緊張感に変えてReiのステージは「Pay Day」からスタート! たっぷりとギターを轟かせ、吠える&ささやくと、変幻自在なボーカルワークで自己紹介代わり! といった様相だ。そこから、今度はクラップを巻き込んでの「MOSHI MOSHI」、「Love Sick」、そして「COCOA」へとつなぎ、観客の心拍数をどんどん上昇させていく。「MOSHI MOSHI」の華麗なギタープレイで目と耳を釘付けにしたかと思えば、「Love Sick」では、「I love you baby」のキュートなボーカルに男性ならずとも骨抜き決定。さらに「COCOA」では彼女ならではのキレあるギターでさらに大きなクラップを起こし、その中毒性あるサビが頭の中をぐるぐるとリピートし始める。しかし表情豊かな“Reiワールド”は、「Cinnamon Girl」で、また別のカラーを打ち出す。滑らかなギターサウンドでリラックスしたムードを作ると、次の「Long Way to Go」では静寂のなかのアカペラから、後半の躍動するギターへと緩急のあるステージングで、グッと観客を引きつけ夢中にさせる。
Rei
そして舞台は中盤のMCタイムへ。Anlyとの出会いを振り返り、「音楽の趣味が重なっていて、うれしいな…と」と“相思相愛”であることを明かす。そのちょっと、はにかむようなトーンに、再びドキリとさせられるが、MC明けは「JUMP」で空気も気分も跳ねさせる。Rei自身もバウンドするようにリズムを取り、ラップテイストのボーカルもバシッとキメて、ラストへ向かってスパートを開始! まず疾走感を倍増させて高速のギターでリードする「my mama」では、ステージを端から端へ移動してプレイ、続く「Route 246」では、どこかコミカルな色合いも感じさせるボーカルに楽しさもあふれ出す。そして「BLACK BANANA」では、鋭いリズムと「BANANA NA・NA・NA・NA…」のサビが、会場を突き抜けて爽快感も高揚感もマックスに! 締めはReiの大ジャンプで、気持ちよくフィニッシュ!! 全10曲を走り抜けた。
Rei
左:Rei 右:Anly 撮影=森好弘
だが、今夜はお楽しみがなんともう一回! 今度はReiがAnlyを呼び込む。「Reiさんかっこよかったです~!」(Anly)。「とんでもないです~」(Rei)と、どこかほんわかしたやり取りで一度クールダウン。そして、「ずっと(一緒に)やりたくて…。(共演が)実現できてよかったです!」(Anly)。「こちらこそ、ありがとうございます!」(Rei)と再度、今日のライブへの熱を上げ、「最後はノリのいい曲を!」(Rei)、「みんな立って聴く? Yeah!」(Anly)とスタンディングに。イントロから会場に「お~!」の声があがったその曲はチャック・ベリーのカバーで「Roll Over Beethoven」。王道のロックナンバーを2人が向き合って会話するようにギターをプレイし、視線を合わせながら歌う姿は、今日だけの特別な景色。観客も自由に体を揺らして2人の音楽を最後の最後まで楽しみ尽くし、まさにスペシャルな一夜は大興奮のうちに幕を下ろした。
レポート・文=服田昌子 撮影=森好弘
12月16日(土)愛知名古屋 K.Dハポン -空き地-
【料金】¥3,500-(+1 Drink)
※全自由/整理番号付 ※一部立ち見あり