「くるりをやっててよかった」9回目の京都音楽博覧会、大成功で幕
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「京都音楽博覧会2015 IN 梅小路公園」で行われたくるりのステージの様子。(撮影:久保憲司)
9月20日に京都・梅小路公園 芝生広場にてくるり主催の野外ライブイベント「京都音楽博覧会2015 IN 梅小路公園」が開催された。
9回目の開催を迎えた今回は、くるりの岸田繁(Vo, G)、佐藤征史(B)の2人による開会宣言からスタート。産休中のファンファン(Tp, Key, Vo)から届いたという応援メールを読み上げた岸田は、出演アーティストを紹介し「皆さんを夢の世界へお連れします」と自信をのぞかせた。挨拶が終了し、一番手の高野寛がステージに笑顔で登場。心地よい風が吹く青空の下、弾き語りで楽曲を披露する。中盤には「歌詞が今の日本の状況にぴったりだった」と述べてボブ・ディラン「時代は変る」を自ら訳したという日本語詞でカバーした。そして「僕の曲で一番ヒットしたナンバー」と言ってCMソング「グリーンダカラちゃんのうた」を歌って観客を楽しませ、続けてくるりの「ワンダーフォーゲル」をカバー。「『音博』でこの曲が演奏できて最高」と語った。
高野と同じく単身でステージに立ったイギリス出身の25歳、コスモ・シェルドレイクは直立して機材を操りながら歌うという素朴なたたずまいでパフォーマンスを繰り広げる。彼は世界各国の生活音など多種多彩な音色で構成されたトラックをその場で作りながらクリアな歌声を届けていった。3組目の木村カエラはくるりをバックバンドに従えてライブを展開。まずは岸田と2人で力強く「EGG」を歌い上げ、「3年ぶりにここで歌うけれど、やっぱり最高です」と笑顔を見せる。続いて佐藤、松本大樹(G)、野崎泰弘(Key)、mabanua(Dr)を招き入れてバンドセットで「Sun shower」をプレイ。そして「Butterfly」ではタンバリンを手にしたBOBOも飛び入りし、幸福感に満ちたアンサンブルが展開された。最後にカエラは再び岸田の伴奏にあわせて、くるり「奇跡」を伸びやかな声で歌い上げた。
サウンドチェックの際に「雫に恋して」を歌ったindigo la Endは、ライブにて「心ふたつ」「幸せが溢れたら」「夏夜のマジック」といった楽曲を情感たっぷりにプレイ。ラストの「素晴らしい世界」の際には川谷絵音(Vo, G)によるアカペラの独唱で楽曲を終え、聴衆は静かにその歌声に耳をかたむけた。次のましまろのアクトでは真城めぐみ(Vo)が「はじめまして!」と言い、パーカッションを演奏しながらリラックスした様子で歌唱していく。このユニットの初作品となる「ガランとしてる」の演奏が始まると、真城と真島昌利(G, Vo)が重ねる歌声にあわせて観客は手拍子を打った。
黒い衣装に身を包んだ手練のバンドメンバー4名を従え、さわやかなライトブルーのドレスをまとって登場した八代亜紀は抑揚を効かせた声で歌唱し喝采を浴びる。彼女はジャズのスタンダードナンバーを艶やかに歌い上げる一方で、MCでは天気について「これって八代亜紀晴れって言うのよね」と冗談を挟んで観客を楽しませる。最新のアレンジが施された「雨の慕情」「舟唄」を披露して会場を盛り上げた八代は、その様子をステージ脇で見守っていたくるりに「『音博』ずっと続けてね!」と呼びかけた。そしてトリ前を飾ったブラジルからの出演者、アントニオ・ロウレイロはグランドピアノ1台の弾き語りでライブを行い、華麗な手さばきできめ細かな旋律を奏でる。彼は後半に自身の祖父がこの日逝去したことを告白し、自身の楽曲「Boi」を故人へ捧げるべく演奏。歌を届ける彼の姿に観客が涙を拭う様子も見られた。
夕日が徐々に落ち始めるタイミングで、主催者のくるりが登場。岸田、佐藤、松本、野崎と、昨年の「音博」に出演したアルゼンチン人アーティスト、トミ・レブレロ(バンドネオン)を交えた編成で軽やかに「Time」「ブレーメン」を演奏する。そしてmabanuaを呼び込んでから岸田が「サンフジンズっていう新人バンドの“カバー”やります」と自身が参加するサンフジンズの「パン屋さん」をプレイし、続けて未発表の2曲を初披露した。その後岸田は八代がステージにて「自分で自分のことを褒めるのは大事」と話していたことに触れ、「自分を褒めるのはなんか嫌ですけど(笑)、この『音博』は褒めてあげたいですね。こんなフェスティバルほかにありません。今日来てくれたお客さんも最高や」と話して温かい拍手を浴びた。
その後は最新シングル曲「ふたつの世界」やファンから募集したリクエストでの人気曲「真昼の人魚」、トミの歌唱からスタートした「キャメル」が披露される。彼らはジャジーなアレンジを施した「京都の大学生」を届けてからオーディエンスに「このイベントも来年で10回目、くるりも結成20周年を迎えますが、まだまだお祝いには早いぜ」と「Baby I Love You」「ペンギンさん」を演奏する。そして「『音博』やっててよかった、くるりをやっててよかった」と岸田が万感の思いを表したあと、バンドは「宿はなし」で今年の「音博」をフィナーレを彩った。
なお「音博」終演後にくるりは会場に隣接する京都水族館とのコラボイベントとして「『京都音楽博覧会 presents Quruli aQuarium』~ 京都音楽博覧会 公開打ち上げ~」を開催した。このイベントでは同館内「イルカスタジアム」にて、くるりの「ワンダーフォーゲル」「ふたつの世界」をBGMにしたイルカショー、くるりのレギュラーラジオ番組「FLAG RADIO」の公開収録が行われたほか、ウエットスーツ姿のくるりによる「ばらの花」、高野寛をゲストに交えた「ワンダーフォーゲル」のパフォーマンスも実施された。
「京都音楽博覧会2015 IN 梅小路公園」
2015年9月20日 梅小路公園 芝生広場 セットリスト
高野寛
01. 虹の都へ
02. Dog Year, Good Year
03. 時代は変る
04. ワンダーフォーゲル
05. ベステンダンク
06. 確かな光
コスモ・シェルドレイク
01. Prefusify
02. The moss
03. Tardigrade song
04. Rich (Ft. Anndreyah Vargas)
05. Solar
木村カエラ
01. EGG
02. Sun shower
03. Butterfly
04. 奇跡
indigo la End
01. 心ふたつ
02. 幸せが溢れたら
03. 夏夜のマジック
04. 素晴らしい世界
ましまろ
01. 体温
02. ぼくと山ちゃん
03. 公園
04. ガランとしてる
八代亜紀
01. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
02. クライ・ミー・ア・リヴァー
03. 雨の慕情
04. ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
05. ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー
06. 舟唄
アントニオ・ロウレイロ
01. Despedidas
02. Jequitiba
03. Cabe na Minbha Ciranda
04. Livre
05. Milagreiro
06. Boi
07. Oriente
くるり
01. Time
02. ブレーメン
03. パン屋さん
04. 新曲A(タイトル未定)
05. 新曲B(タイトル未定)
06. ふたつの世界
07. 真夏の人魚
08. キャメル
09. 京都の大学生
10. Baby I Love You
11. ペンギンさん
12. 宿はなし