【山人音楽祭クイックレポ】マキシマム ザ ホルモン 後半戦の幕開けに混沌と熱狂、到来
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マキシマム ザ ホルモン
山人音楽祭2017 【赤城ステージ】 マキシマム ザ ホルモン
アリーナの通路で息絶え絶えのオーディエンスもいる中、開演ギリギリになってもなお続々と流れ込む人の群れ。まるでワンマンかのようにミッチミチにフロアが埋まる光景は、さすがマキシマム ザ ホルモン。場内が暗転し、ビジョンにバンド名が映るだけで怒涛の大歓声だ。ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)のデスボイスからの強烈な重低音を機にフロア全体が一個の生物のようにヘドバンを起こす「シミ」が、冒頭からカオスを巻き起こす。
マキシマム ザ ホルモン
マキシマム ザ ホルモン
1曲終わると同時に絶叫で感謝を述べるナヲ(ドラムと女声と姉)は、そのテンションのまま4年ぶりの出演を素直に喜ぶ。その後も「「F」」、「便所サンダルダンス」とキラーチューンを投下しては、そのラウドやファンク、時にポップを高濃度でハイブリッドしたサウンドを一音一音を研ぎ澄ました演奏で繰り出し、見ているこちらの人間的・人体的なポテンシャルの限界に挑戦させる。いや、勝手に挑戦してしまうのだ。それぐらい今のホルモンの演奏はソリッドで重い。カオスなのに隙間がある。それが体感としても快感に直結して、最前線にたどり着けようが着けまいがダイバーは果敢に挑む。なんてプリミティヴで幸福な空間なんだろう。
マキシマム ザ ホルモン
マキシマム ザ ホルモン
アップデートされた「ぶっ生き返す!!」に血湧き肉躍っていると、ナヲがもう次でラストだという。いきなり安室奈美恵の「Body Feels Exit」(タイムリー!)を歌い出し、「安室ちゃんを2曲歌うか、(持ち曲を)もう1曲やるか」と問いかける彼女のエンタテインメントも幸福感を増幅させる。結果、「恋のスペルマ」を演奏したのだが、“恋のおまじない”「麺カタこってり!」をセキュリティにも強要(しっかりビジョンに映し出されたセキュリティの皆さん、お疲れ様です)。ヘヴィリフも魅力だが、人力テクノポップ的なニュアンスを作り出すマキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)と上ちゃん(4弦)が、より音楽的にアグレッシヴに見えたのも頼もしい。今の力で山人を盛り上げる気概と、オーディエンスの気持ちを全部背負って余りある、濃厚で愛ある時間はあっという間に過ぎ去った。
取材・文=石角友香 撮影=浜野カズシ
1. シミ
2. 「F」
3. 便所サンダルダンス
4. 包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ
5. ぶっ生き返す!!
6. 恋のスペルマ