【動画あり】待望の再演!日本発オリジナル・ミュージカルの傑作『HEADS UP!』製作発表会見レポート
ミュージカル『HEADS UP!』のキャストら
動画 ミュージカル 「HEADS UP!」ミニライブ 2017/09/26
バックステージで働く舞台スタッフの奮闘を描いた日本発のミュージカル『HEADS UP!』が2017年12月からKAAT神奈川芸術劇場など全国6会場で上演される。ラサール石井が10年以上構想を温め続けた本作は、2015年に初演され大好評を博し、第23回読売演劇大賞の優秀演出家賞を受賞した。待望の再演に際しての製作発表が2017年9月26日、東京都内で行われた。その様子をお届けする。
ミュージカル『HEADS UP!』の製作記者会見でミニライブをするキャストら
ミュージカル『HEADS UP!』の製作記者会見でミニライブをする中川晃教(中央)
ミュージカル『HEADS UP!』の製作記者会見でミニライブをする哀川翔(中央)
ミュージカル『HEADS UP!』の製作記者会見でミニライブをするキャストら
ミュージカル『HEADS UP!』の製作記者会見でミニライブをするキャストら
ミュージカル『HEADS UP!』の製作記者会見でミニライブをするキャストら
ミュージカル『HEADS UP!』の製作記者会見でミニライブをするキャストら
ミュージカル『HEADS UP!』の製作記者会見でミニライブをするキャストら
会見の冒頭は『HEADS UP!』のミニライブが披露された。劇場付雑用係の熊川義男役を演じる中川晃教のソロ『劇場で起こること』から始まり、代表曲の『HEADS UP』、『は売れている』、舞台監督の加賀美賢治役を演じる哀川翔のソロが印象的な『古い劇場』の4曲がメドレー形式でアレンジされた。初演のメンバーが多いこともあってか、緊張感が漂うことが多い製作発表の場であっても、キャスト陣は和気藹々とした雰囲気で、生き生きと楽しそうに歌っていた。
哀川翔
初演で初めてのミュージカルに挑んだ哀川翔は「舞台の世界をあまり知らない自分が、いきなり稽古場に行って、皆さんの歌声を聴いた時に、正直言って驚きました。なんて声が大きいんだ!人ってこんなに声が出るの!ってね」とその様子を振り返る。「本当に皆さんの温かいご支援・ご声援を受けまして、大成功のうちに終わった『HEADS UP!』です。キャストの皆さんとも約2年ぶりにお会いできて、嬉しく思います。素敵な作品なので、ぜひ見ていただければ幸いです」と挨拶した。
もしスタッフをやるならどんな役職がいいか尋ねられると、哀川は迷うことなく「舞台監督」と答え、「結構仕切るの好きで。何もしないのに仕切るのが大好きだから、向いているのかなと思う」とその理由を語った。
相葉裕樹
新人舞台監督の新藤祐介役を演じる相葉裕樹は「2年ぶりに楽曲を披露させてもらい、色々なことを思い出しました。みんなが楽しくなるような楽曲が盛りだくさんで、舞台の仕込み・バラシを見せていくエンターテイメントはなかなかないんじゃないかなと思います。また皆さんと楽しい時間を共有していけたらなと思います」と語った。
相葉はもしスタッフをやるとしたら「メイクさん」だという。「舞台監督とは違うセクションを興味持ってきました。知らないことを知っていくのは楽しいと思っていまして」と話していた。
中川晃教
中川晃教は「日本からこういうミュージカルが生まれるというドキドキワクワクを体験できたということが、僕にとって何よりもの財産でした。初演を乗り越えた後に、再演が待っているという言葉を聞いた時に、逆に再演の時の方がガクブルしました。初演からの2年間、それぞれの方々のご活躍もそうですし、エンターテイメント界のさらなる進化もあって、いろんな新しさがきっとまた再演に向かって表れてくるんだろうなと感じました」と熱弁を振った。
そして「進化し続ける、それが僕たちの仕事なのかもしれません。一人一人役者だけではなく、すべての関わる方にとって、一つ一つ作り上げていくということを初演で実感したからこそ、この再演もまた新たに進化した『HEADS UP!』をお届けできるんだろうなぁと思いながら……。思いは尽きません。再演、一緒に盛り上げてください。ぜひ楽しみにしていてください」と"アッキー節"が炸裂した挨拶だった。
大空ゆうひ
女優の真昼野ひかる役を演じる大空ゆうひは「2年ぶりにこのメンバーと一緒に歌って、すぐに蘇りました。楽しいナンバーがたくさんあるミュージカルで、お客様も必ず帰りには歌っていただけるようなナンバーがたくさん入っています」と作品の魅力を話す。
「ラサールさんが何本もの仕込みやバラシを見に行って作ったそうです。私は女優側の役なんですが、裏方さんたちの仕込みがナンバーになっているという、本当に面白くて見所が多い作品です。今回は新しいメンバーも加わって、また新しい風が加わって、どんな『HEADS UP!』になるのかなとワクワクしています。私も皆さんのキャラクターの濃さに負けずに頑張っていきたいと思います」。
橋本じゅん
演出部の久米長一郎役を演じる橋本じゅんは「仕込みとバラシを舞台の内幕を見ていただく機会はほぼないと思うんです。どの世代の方に見ていただいても、皆さんに分かっていただけて、そして楽曲も楽しくて。それぞれのパフォーマーのレベルもとても高い。意気込んで挑んでいきます」と作品について語る。
そして「僕はたとえ、今再演立ち向かうメンバーがどんどん新陳代謝で変わっていっても、この作品は残るべきだと思う。日本にこれだけしかない作品をやらせていただけることを光栄に感じています。ご覧になっていない方は一度バックステージの世界を旅していただきたいと思います。涙あり、笑いあり。劇場で体感していただければと思います」と話した。
青木さやか
制作の本庄まさこ役を演じる青木さやかは、初演時の印象について「お客様が楽しんで興奮していることが、毎日舞台上で伝わってきました。子供たちの笑い声が舞台まで聞こえてきて、本当に楽しんでいるんだなと思いました。当時うちの子供は当時6歳で、楽曲を覚えて帰り道に口ずさんで帰るぐらいに楽しんでいました」と語る。
「もちろん大人が見ても感じることがたくさんあると思うんですが、是非お子さんにも見てほしいなぁと思います。再演も初演を超えられるように頑張りたいと思います」と意気込んだ。
池田純矢
今回から参加する池田純矢は、アルバイトの佐野慎也役を演じる。初演時は観客として舞台を見たといい、「本当に感動しました。心から楽しみました。ワクワク、ウキウキした気持ちを今でも覚えています」と話す。
「その時に感じたワクワク感など、お客さんとして受け取った純粋なその思いを今度は自分が届けられるように頑張りたいです」と意気込みつつ、「(初演時のメンバーは)みなさんとても仲がいいから、寂しいじゃないですか。なので、本番前までにみなさんに愛していただくと同時に、できれば本番に入る前に翔さんにカブトムシかメダカを頂きたいと思います」と話して笑いを誘った。
今拓哉
老俳優の小山田丈太郎役の今拓哉は、初演の稽古前にラサール石井に「78歳、少々認知症が進んでいる、そして相手役の女優とは深い関係になる艶っぽい人」という3つのお題を出されたといい、「劇中劇の主演俳優なんですが、そこで歌うナンバーを見た人は必ず口ずさんでくれました。愛されているんだなぁということを実感して嬉しかったことを覚えています」と述懐する。
「78歳になった時もこの役をやってみたいという欲が出てきたので、まずは再演頑張りたいと思います。このミュージカルが日本のスタンダードになって、長く続いていくことを願っています。僕が倒れても、小山田をやってくれる人は出てくると思うので、この作品が続くことを願っています」と役への思いを語っていた。
芋洗坂係長
演出部の滝幸男役の芋洗坂係長は、作品について「ラサール石井さんの舞台に対する愛情がとにかく深いということを感じさせられる舞台で、舞台に携わっている人なら、もう本当に分かってくれるはず。舞台の裏側を知らない方も、こんな風になっているんだと楽しんでもらえると思います」と太鼓判を押す。
カンパニーについては「仲がいいですよね。ファミリーです。哀川翔さんを公私共々兄貴と呼ばせていただいていて、この2年間もグループラインが途絶えることがなかった」と裏話を披露した。今公演から参加するメンバーに対しては「我々が2年間ファミリーで居続けられたということで、すぐにファミリーになれますよ。まずは友達からよろしくお願いします」と話し、会場は笑いに包まれた。
オレノグラフィティ
演出部の九条六平役を演じ、今回が初参加となるオレノグラフィティ。劇団鹿殺しに所属するオレノグラフィティは「いつもスタッフさんの凄さは間近で見ているが、その凄さは観客のみなさんに伝わらないなぁと思っていました」と語り、「『HEADS UP!』という作品は、実際何もない素舞台から一つの舞台が立ち上がる過程をエンターテイメントとして見せてしまう。ものすごいことだなと度肝を抜かれました。とにかく精一杯楽しみながら、いろんな愛嬌を伝えていけたらなと思っております」と意気込みを話した。
陰山泰
高所恐怖症の照明家である飯塚浩二役の陰山泰は「この作品は、舞台づくりの真っ只中にいる人しか書けない。舞台づくりの中で感じたことがセリフになっているので、本当に素直に熱くなっていける作品だと思います。再演は初演よりもパワーアップするだろうと確信しています」と述べた。
外岡えりか
衣装助手の朝倉まき役の外岡えりかは、今回初参加。劇場で初演を見たといい、「なんて素敵な作品なんだろうと思いまして、今でも全身で感動する感覚が残っているぐらいです。皆さんと一緒に並んでいることが夢のよう。愛がすごく詰まった作品なので、その一員として舞台にしっかり立てるように、必死に食らいついていきたいと思います」と語った。
ラサール石井 製作発表後の囲み会見では「初日二日前に降板者が出ないように願ってます(笑)」とも
本作品の構想を10年以上温めてきたラサール石井は「初演からこんなに早く再演ができて、さらにこれだけのキャストが残って5ヶ月の拘束を受けていただいたのはありがたいこと。作品が好きでいてくれるのもあるが、ひとえに主演の哀川翔さんの魅力じゃないかなと思います」と感慨深げ。
キャスト陣の活躍を挙げながら「各人が成長しているし、池田純矢さん、オレノグラフィティさん、外岡えりかさんにも新しい風を吹き込んで頂く。初演で見た方が『これこれ、これなんだよ〜』という形にしたいので、ものすごく演出を変えるつもりはない。分からないぐらいのところをブラッシュアップして、実はちょっと良くなっているようにしたい」と話した。
大空ゆうひ、相葉裕樹、哀川翔、中川晃教、橋本じゅん(前列左から)、池田純矢、青木さやか(後列左から)
なお、KAAT神奈川芸術劇場の眞野純館長も会見に登壇。「この作品は、ラサールさんとずっと温めて2015年の上演に至った思い出深い作品。初演時は12回ほどでしたが、劇場始まって以来の観客動員を記録致しました。またそれ以降も、もう一度見たいということを色んな方面からお言葉をいただいた。この度、皆さんのご尽力を頂きまして、長い期間、かなり多い回数を各地で上演することができました。公共劇場発としては、かつてないほど大きな作品となっているのだと思います」と喜びの言葉を述べた。
動画 哀川翔 相葉裕樹 中川晃教 大空ゆうひ 橋本じゅん 青木さやか 池田純矢
動画 今拓哉 芋洗坂係長 オレノグラフィティ 陰山泰 外岡えりか
動画 倉持裕 玉麻尚一 ラサール石井
取材・文・スチール撮影=五月女菜穂 動画撮影・編集=登坂義之
■脚本:倉持裕
■原案・作詞・演出:ラサール石井
■作曲・音楽監督:玉麻尚一
■振付:川崎悦子
■出演:
哀川翔 相葉裕樹 橋本じゅん 青木さやか 池田純矢
今拓哉、芋洗坂係長、オレノグラフィティ、陰山泰、岡田誠、河本章宏、井上珠美、新良エツ子、外岡えりか、福永吉洋、大竹浩一、森内翔大、香月彩里、谷那美子、伊藤結花、小林佑里花、
大空ゆうひ 中川晃教
【神奈川公演】
■日時:2017年12月14日~17日
■会場:KAAT神奈川芸術劇場
【東京公演】
■日時:2018年3月2日~12日
■会場:TBS赤坂ACTシアター
【富山公演】
■日時:2018年1月20日
■会場:オーバード・ホール(富山市芸術文化ホール)
【長野公演】
■日時:2018年1月26日~27日
■会場:サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)大ホール
【大阪公演】
■日時:2018年2月2日~4日
■会場:新歌舞伎座
【名古屋公演】
■日時:2018年2月15日~16日
■会場:刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
■公式サイト:http://m-headsup.com/