佐藤竹善　大人でアットホームな空間で、歌と音楽とトークを楽しむ3days開幕

佐藤竹善Special Living Live『TheDuo 佐藤竹善 with 秋田慎治』
2017.10.3(TUE)LIVING ROOM CAFE & DINING

佐藤竹善が東京・LIVING ROOM CAFE & DININGで、『Special Living Live』を開催。自宅のリビングにいるようなリラックスした雰囲気で食事と音楽を楽しむという空間で、10月3日から5日にかけての3日間、歌と音楽とトークという異なるメニューで繰り広げるもので、初日となった3日は『The Duo 佐藤竹善 with 秋田慎治』と題して、ピアニストの秋田慎治を迎え洋楽のカバーをピアノとアコギをバックに披露。また、スペシャルゲストの露崎春女との素晴らしいデュエットも聴かせ、実に大人でアットホームな空間で、レアな歌声を響かせた。

温かな拍手で迎え入れられた佐藤は「美味しい食事は楽しまれていますか？ リラックスして最後まで楽しんでくださいね」と集まった観客に声をかけ、和やかな雰囲気でライブがスタートした。

まずはピアノの弾き語りで、挨拶代わりにとばかりにSing Like Talkingのヒットナンバー「Spirit Of Love」を聴かせる。しっとりとしたピアノに重なる力強い歌声がソウルを感じさせ、N.Y.のバーにでも来たようなオシャレな空気が会場に広がった。この日はビリー・ジョエル、マンハッタン・トランスファー、ビートルズなど洋楽のカバーを中心にしたセットリストで、楽曲にまつわるエピソードと共に披露し、通常のライブとは違った雰囲気で楽しませた。

リチャード・マークスの「Now And Forever」は、秋田のピアノをバッキングに、自らアコギの弾き語りで披露して、本家にも負けない美しいファルセットを聴かせた。曲の最後にはふっと秋田と目を見合わせて最後を決めると、「ピアノが優しい！ 塩谷とは違うね(笑)」と、SALT & SUGARの相方＝塩谷哲を引き合いに出して笑いを取った。

また、前日に急逝したトム・ペティのことに触れ、「1月にグラミー賞を見に行ったんです。トム・ペティは＜MusiCares Person Of The Year＞という偉大なアーティストに贈られる賞を受賞していて、その日はランディ・ニューマンという、これもまた素晴らしいアーティストがトム・ペティの曲をパフォーマンスしていて。トムも“ランディが僕の曲を歌ってくれたよ！”なんて喜んでいて、すごく嬉しそうだったのが印象的で……」とエピソードを話し、「トム・ペティに捧げるつもりで、このランディ・ニューマンの曲を歌います」と「Losing You」を歌った。佐藤は、トム・ペティを追悼するように目を閉じてピアノに聴き入る様子もあり、美しい歌声を天に響かせるように歌い上げた。

スペシャルゲストの露崎春女は、自身のヒット曲「キセキノハナ」を秋田のピアノをバックに披露した他、佐藤と素晴らしいデュエットも聴かせた。アーロン・ネヴィルとリンダ・ロンシュタットのデュエット曲「Don’t Know Much」では、美しいハイトーンボイスで、絶妙なハーモニーを響かせる。曲を終えると佐藤は、「本当はもっとこういう歌い方だったんだよね」と、本家アーロンの独特な歌い回しをものまねして笑いを取るという、ちょっとお茶目な一面も見せた。またライブの最後には、22年前に佐藤とデュエットした露崎の楽曲「In This Love」を歌い、22年前より深みと厚みを増した歌声で観客を圧倒し、最後は大きな拍手で会場が包まれた。

MCでは常にユーモア溢れる口調で、笑いを交えながら観客を楽しませた佐藤。Sing Like Talkingの「6月の青い空」を歌う際には、同曲が主題になっている映画『Music Of My Life』について話し、「僕らは演技なんか出来るわけがないので、ライブ映像で出演してるんですけど。ファンから寄せられた実話を忠実に映像化しました。その主題歌で、曲と自分の間にある人生が感じられる曲です」と紹介。話の途中で上映する映画館の名前をど忘れして、観客から教えてもらって場内に笑いがこぼれる場面も。さらに秋田と露崎のイタズラで、観客に「佐藤くーん」と呼び込まれ、「佐藤くんなんて呼ばれたのは、小学校の時以来だよ」と言って照れくさそうに笑うなど、実にアットホームな空間が広がっていた。

他では絶対に見ることの出来ないスペシャルライブ。4日に『佐藤竹善と大儀見元のビートルズナイト！』、5日に『佐藤竹善 with 寺岡呼人 トークライブ』と題して開催。どんな歌声とトークと笑いが飛び出すのだろうか？

取材・文＝榑林史章　撮影＝鈴木 恵