女子プロゴルフも残るはあと7戦 賞金女王経験者と初戴冠を目指すニューカマーの戦いに注目だ
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富士通所属の柏原明日架。今や遅しと初優勝が期待される選手なだけに、スポンサーの主催大会でその栄冠を掴みたい
今年、全38戦あるJLPGAツアーも早いもので、13日(金)から開催される「富士通レディース2017」(東急セブンハンドレッドクラブ西コース)を入れてあと7戦となった。競馬で言えば、ステイヤー(3,000メートル級レース)の最終コーナーも、あとラスト3ハロン(約600メートル)といったところ。賞金女王レースもがぜん熱を帯びてきた。
昨年は松森彩夏の初優勝が話題となった同大会だが、その後の大会では全美貞、申ジエ、フォン・シャンシャン、イ・ボミ、テレサ・ルー、キム・ハヌルとすべて外国勢が優勝をさらっていった。今年も韓国のキム・ハヌルが獲得賞金約1億1,000万円とトーナメントをリードしており、3位以下にイ・ミニョン、申ジエ、テレサ・ルーと続いている。外国勢優位は今年も変わっていない。
そんな中で気を吐いているのが、昨年の賞金ランキング5位で、今年も2位につけている鈴木愛だ。鈴木は先の日本女子オープンで単独4位に入り、約1,100万円を積み上げキム・ハヌルに約500万円差と肉薄中(約1億500万円)。負けん気の強さとパット巧者も相まって、トーナメントリーダーに躍り出る可能性も出てきた。その日本女子オープンでまさかの予選落ちを喫したものの、今季待望の1勝を挙げた川岸史果もランキング6位(約7,300万円)につけているだけに、日本勢の巻き返しに期待がかかる。
日本参戦初年の今年、2勝を挙げて好調を維持するのがイ・ミニョンだ。柔らかい体を上手く使い、ドロー全盛の女子プロ界にあって、飛距離も出るパワーフェードが持ち味だ。今週日曜日に行われたスタンレーレディースも18番のパットがボール1個それてプレーオフに持ち込めなかったが、それでも2位タイに入り約700万円を積み上げた。これで約1億円(あと10万円ほどで到達)と賞金女王レースでも3位に位置しており、キム・ハヌル、鈴木愛を含めたこの3人が頭一つ抜け出している状況だ。7位以下には李知姫、成田美寿々、比嘉真美子、全美貞と実力者、復活者などがずらりと名を連ねており、この賞金女王レーストップ10を中心に白熱した戦いが予想される。この富士通レディースの結果が、後半戦の各選手の動向に影響を与えるのは必至だ。
過去の同大会の傾向を見てみると面白い。会場の東急セブンハンドレッドと相性のいい選手が何人かいることに気づく。昨年最終日に崩れ(2位)、松森彩夏に優勝を譲った笠りつ子は、一昨年は8位、2014年は22位タイ、2013年は15位タイ、2011年も13位タイに入っている。大山志保、森田理香子(いずれも今回は不出場)、アン・ソンジュ、岡山絵里、成田美寿々、藤本麻子らもこのコースを得意としている。特にスタンレーレディースの終盤、まさかの失速で2勝目がするりと逃げた藤本麻子はこの大会でリベンジを誓っていることだろう。
過去6年間の優勝者を見てみると、(昨年から)松森彩夏、テレサ・ルー、アン・ソンジュ、イ・ナリ、成田美寿々、藤田幸希という顔ぶれになっているが、こう見るとテレサ・ルー、アン・ソンジュ、成田美寿々の3選手は今季、いずれも勝利を挙げていて相性の良い富士通で2勝目(テレサ・ルーは3勝目)を密かに狙っているに違いない。
そんな中、注目したいのは今季未勝利組だ。実力者の笠りつ子は今季8度もトップテンに入っており、難しいセッティングの日本女子オープンでも12位タイと好調を維持している。そろそろ“りっちゃんスマイル”を見たいというファンも多いだろう。大型プレーヤーの柏原明日架は日本女子オープンで期待通りに5位入賞を果たし、堀琴音も現在賞金ランキング15位と上位常連組になっている。特に柏原明日架は富士通所属選手で、この大会での初優勝がスポンサーへの最高のプレゼントとなる。ともかくこの2人は初勝利がいつかと周りの期待が高いだけに、終盤戦のプレーぶりから目が離せない。
この2人と同期生(86期、2014年入会)の永峰咲希も、ここ東急セブンハンドレッドとは好相性。昨年は6位タイ、一昨年は25位タイとまずまずの成績を残している。1年下の87期生、岡山絵里も昨年11位タイ、一昨年は25位タイとなかなかの好相性で、初優勝をこの富士通レディスで遂げたいところだ。同じく87期生で、サントリーレディスやマンシングウェアレディース東海クラシックの予選ラウンドで首位を走り、マスコミの注目も一気に上がった辻梨恵も、昨年13位と気を吐いただけに初優勝を期待したいところ。こうした若い世代の台頭は大いに歓迎したい。
東急セブンハンドレッド西コースはフェアウェイは広いが、飛ばし屋有利にはしないコース改良なども施しており、どちらかと言えばショットメーカー向きのコース。賞金女王レースや期待の若手の初優勝、ベテランの復活優勝など、見所満載の富士通レディース。後半戦のシード権争いもからみ、ここでの一勝は自身のキャリアにも大きく貢献する。各選手のギアが上がる同大会は、否が応でも注目したくなる一戦だ。
(※記事内の順位等は2017年10月8日現在のもの)