対バンイベントの“台風の目”となるべく、SiM主催『THE EYEWALL NiGHT vol.1』がついに開催

レポート
音楽
2017.10.17
『THE EYEWALL NiGHT vol.1』

『THE EYEWALL NiGHT vol.1』

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THE EYEWALL NiGHT vol.1 2017.10.15 神戸ワールド記念ホール

10月15日、兵庫・ワールド記念ホールにてSiMが主催する対バンイベント『THE EYEWALL NiGHT vol.1』が開催された。本イベントは「デカ箱でも対バンライブをしたい」、「デカ箱はワンマンかフェスでしか成立しないのか?」というSiMの思いから企画されたもので、今回は「野外フェス主催バンド」をテーマに『DEAD POP FESTiVAL』主催のSiM、『京都大作戦』主催の10-FEET、『YON FES』主催の04 Limited Sazabysの3組が出演。当初は9月17日に開催を予定していたが、皮肉にもイベントコンセプトのイラスト通り台風18号の直撃により開催見送りの事態に……。それでも急ピッチでスケジュール調整が行われ、ひと月を待たずに振替公演が開催されたのは、SiMをはじめとする3組のアーティストたちのイベントに懸ける思いが大きかったからに違いない。ロックシーンにまた新たな風穴を開けようと戦う彼らのステージの模様を届けたい。

10-FEET

10-FEET

イベント当日は冷たい雨が降るも会場の熱気はすでに熱く、サウンドチェックから拳を突き上げ大合唱を始めるオーディエンスの姿も見られる。開演時間ちょうど、スクリーンにトップバッター、10-FEETの名前が映し出されるとフロアから怒号のような歓声が沸き起こる。お馴染みのSE「そして伝説へ…」が流れメンバーが登場すると思いきやステージにその姿はない……。まさかの天井から3人が宙づりになっての登場! 初っ端から痛快なサプライズを仕掛けていくと、「リベンジ行くぞーー!  お前ら溜まってんやろ! かかってこい!」と、1曲目「VIBES BY VIBES」へ。タイトルのまま、最高のバイブスをぶつけられオーディエンスは早々にダイブ&モッシュと、3人が打ち出す音に全身で応えていく。

10-FEET

10-FEET

続く「STONE COLD BREAK」、刺激たっぷりの強靭なサウンドにスタンディングエリアの各所でサークルモッシュが乱発! 観客の余りの暴れっぷりにTAKUMA(Vo&Gt)は思わず「初っ端からそんなペースで、アホやなぁ」と嬉しそうに笑みを浮かべる。そして、「今日はどこまで行けるかな~。待たされた分、おもくそ飛ばそうぜ!」と「RIVER」「super stomper」と、低音をがっつりと唸らせ豪快な爆ぜっぷりを見せつけ、オーディエンスと一緒になって高みを目指していく。

10-FEET

10-FEET

ステージ中盤にはTAKUMAがノーマイクで会場に向かって「めっちゃ楽しい! やばい!」と昂る思いを叫び、そのまま豪快なステージへと進むかと思いきや「アンテナラスト」「太陽4号」と高い熱を孕んだまま、感情を込めた楽曲で魅せる。嘘のない感情を詠った楽曲、それを歌う人間に嘘がないことを知っているからこそ、より心に染み込み、心と繋がっていくのを感じられるのだろう。そして、しっかりと思いを伝えた後は、とことん遊ぶだけ! 

10-FEET

10-FEET

お馴染みのKOUICHI(Dr)のエコーMC(大事なことを話しているんだろうけど、ふざけすぎて驚くほど耳に入らない!!)の後は、TAKUMAが「周れ周れ」とジェスチャーで伝え、「ヒトリセカイ」「goes on」へ。くっしゃくしゃの笑顔を見せながらサークルモッシュやダイブで暴れるオーディエンスにトドメを刺すように、NAOKI(Ba)が剛毅なリズムで揺さぶりをかける。ラスト「CHERRY BLOSSOM」まで、一瞬のスキもなく“これぞ!”な10-FEET節をかまし、トップバッターから大いに盛り上げてくれた。

04 Limited Sazabys

04 Limited Sazabys

続いて登場したのは04 Limited Sazabys。先ほどの10-FEETの登場を越えるサプライズはあるのか!? と期待高まる中、SiM「Amy」をSEにして登場! と、思いきやSEの流れからそのまま演奏に入り、まさかのカバーからライブがスタート!  新たなサプライズに会場は狂喜乱舞して盛り上がる。そしてそのまま「fiction」へ。交差する眩い照明がヒリヒリとテンションを高めていく。

04 Limited Sazabys

04 Limited Sazabys

先輩バンドに挟まれる形での登場となった彼らは頭から勝負をかけにきたようで、続く「escape」ではRYU-TA(Gt)、HIROKAZ(Gt)の急速的にエッジを効かせたギターが会場に大きな一体感を生み出していく。GEN(Ba&Vo)は「(先輩からの)重いバトンが回ってきました! 一緒にライブしてください」と、観客とのより大きな一体感を望み、続く「Chicken race」へ。ポップなメロで踊らせる、魅せる場所を熟知した“ズルイ”楽曲で会場を沸かす。「Remenber」ではKOUHEI(Dr)のタイトなリズムが、「drops」ではHIROKAZの軽快なメロがオーディエンスの足を止めることを許さず、もう何度モッシュし、何度ダイブしたのか……。疲れを通りこしてハイにキマった観客の姿は何とも楽しそうだ。

04 Limited Sazabys

04 Limited Sazabys

MCでは初めてのワールド記念ホールでのライブの感触や、イベントに誘ってくれたSiMに感謝の気持ちを伝えつつ、「悪魔払いをしにきたんで!」と次にステージへ出てくるSiMへ挑発の言葉をかける。そして「このままDeepに行くけど、遊べますか?」と「monolith」「knife」と大胆不敵なナンバーでフロアを大いに乱れさせる! もちろん、攻めるだけでなく「mahoroba」では雄々しさの中に色気を含ませた楽曲を聴かせるなど、緩急心地よい楽曲陣を次々に投下。

04 Limited Sazabys

04 Limited Sazabys

その後は「Squall」「swim」と軽快なビートがより多幸感を生みだす楽曲でオーディエンスに思いをぶつける。と、ここでキレイに締めくくってライブは終わりかと思いきや、メンバー同士が演奏中のミスを攻め合い、ステージ上で掴みあいのケンカが勃発。と思いきや、まさかのKOUHEIが宙づりに!! しかもステージの最後のシメを鳴らすドラマーが宙づり状態だからとステージにSiMのGODRi(Dr)が登場し、新メンバーを気取って豪快にドラムロールを叩きステージを締めてしまった。いきなりのメンバーチェンジという破天荒すぎるサプライズに会場からは大きな拍手が。これで最後のステージ、ますます期待高まりそうだ。

SiM

SiM

いよいよトリのSiMの登場。ライブはもちろん、どんな演出で楽しませてくれるのかと期待が高まる。スタンディングエリアには隙間もないほどギッチギチにオーディエンスが集まり、幕の開ける瞬間を待ち望んでいた。

SiM

SiM

「待たせたな、神戸!」、MAH(Vo)が一言発するだけで会場からは大きな歓声が沸き起こり、1曲目「Blah Blah Blah」へ。もう一時も休ませるつもりはないんだな、瞬間でそう感じるほど、4人が放つ轟音でフロアは波打つようにヘッドバンキングで揺れる。大きく中指をおっ立て、不敵な笑みを浮かべながら「I HATE U」へ。

SiM

SiM

GODRIとSIN(Ba)のボディブローのように重く決まるリズム、そこへさらに攻撃力を高めるSHOW-HATE(g)の刻みまくったギターリフがオーディエンスの興奮を高める。音に乗り体を揺らし、ハーコーモッシュで大いに暴れ、ステップを刻み踊る。思い思いに楽しむオーディエンスの姿を見ても、メンバーはまだ物足りないのか、「Abel ans Cain」では心地よいレゲエのグルーヴで全身に音を塗れさせる。

SiM

SiM

「お待たせしました!」と、待ちわびたイベントの開催に集ったくれた観客へ感謝の言葉をかけるMAH。台風で中止となったあの日、すでに集まっていたファンへ中止を告げる時の悔しさを語りつつ、「あの時の気持ちの分だけぶっ飛ばしていきます!」と、「THE EYEWALL NiGHT」の記念すべき1回目をより伝説級のものにしようと「GUNSHOTS」から飴と鞭を使い分けたような緩急するどい楽曲陣で魅せていく。

SiM

SiM

さらに、明暗がくっきりとした音楽は「Life is Beautiful」からさらに色が濃くなっていく。スクリーンには4人の姿がモノクロで映し出され、これまでとは違う艶のある世界で魅せ、ステージでのライブが一枚の絵のようにも感じられ、なんとも不思議な感覚に捕らわれてしまう。それでも、やはり彼らのライブはエネルギッシュに攻めてこそ。「アホみたいに踊れるか?」と「PSYCHO」からさらに攻めの姿勢でライブを展開。「Amy」「JACK.B」と怒涛の攻めっぷりでオーディエンスを圧巻していく。

SiM

SiM

アンコールでは集まったオーディエンス、そしてバンドに感謝の気持ちを伝えるMAH。しかし、その姿には違和感が……。そう、彼の衣装にも宙づりをするためのハーネスがつけらえていたのだ! そしてステージには04 Limited Sazabys10-FEETも登場。しかし、10-FEETメンバーはパネルでの登場。実は10-FEETは別イベント出演のためにライブ直後に退出していたのだ。しかも、04 Limited Sazabysもライブ当日に沖縄から神戸入りするなど、この日の振替公演が急ピッチで決められたスケジュールであることを改めて知らされる。それでも何とかイベントを成功させようとバンドが躍起になって動いたのは、集まってくれたオーディエンスのため。改めて感謝の気持ちを告げ、MAHは宙づり状態のまま出演者が集まっての記念撮影に! そして、ホールならではの遊びを取り入れつつ、今後も不定期ながらもイベントを開催していけたらと今後の展開を誓い、アンコールへ。

SiM

SiM

「思い残すことはありますか?」とオーディエンスを煽ると、彼らのライブの鉄板とも言うべき「KiLLiNG ME」「f.a.i.t.h」へ。巨大なウォールオブデスを作り上げ、フロアをよりカオスな状況へと導くと、トドメを刺すようにスクリームし、全11曲のステージが終了。

「おかげで忘れられない1日になりました! 台風18号君、ありがとう。またやろうぜ!」。MAHの言葉の通り、『THE EYEWALL NiGHT』の記念すべき第1回目は記憶に濃く残る伝説の日となった。

レポート・文=黒田奈保子 撮影=半田安政(Showcase

イベント情報
THE EYEWALL NiGHT vol.1 
出演:10-FEET / SiM / 04 Limited Sazabys
日時:2017年10月15日(日)開場13:00 開演14:00 終演18:00予定
会場:神戸ワールド記念ホール
前売料金: 1Fスタンディング(ブロック指定) ¥6,500(税別) 2Fスタンド席  ¥6,200(税別)

 

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