破格のライブをみせたLUNA SEAをヘッドライナーに金爆、西野カナら多彩な顔ぶれ集結 テレビ朝日ドリームフェスティバル 2017・2日目
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LUNA SEA
テレビ朝日ドリームフェスティバル 2017 DAY2 2017.10.28 さいたまスーパーアリーナ
KEYTALK
KEYTALK 撮影=岸田哲平
トップバッターのKEYTALKは、アニメ『クレヨンしんちゃん』より「オラはにんきもの」をSEにし、寺中友将(Vo/Gt)がシロの恰好をした八木優樹(Dr)のリードを引いて登場するなどネタの仕込みもバッチリで、1曲目は「Love me」。そのままオーディエンスの手拍子とともに「Summer Venus」へ突入する流れだ。この曲はメンバー全員サングラスを掛けながら演奏するのが恒例だが、どうやら小野武正(Gt)のみ「楽しくて付け忘れてた」とのこと。後に本人も話していたように、実家が近所にある彼にとってこの日は凱旋ライブともいえ、相当昂ぶっていたのだろう。
KEYTALK 撮影=岸田哲平
MCでは、アルバム『PARADISE』のリリース、全国ツアー、そして横浜アリーナでのワンマンライブ――と盛りだくさんだった2017年を振り返りながら、6月の『ミュージックステーション』出演をピックアップ。「また出たいという想いを込めて」(小野)と披露された「黄昏シンフォニー」では、リアルタイムで演奏する4人の後ろで放送時の映像が流される演出もあった。ここで和情緒滲む「桜花爛漫」へ。このくらいの尺だと、以前までは短距離走的に爆発するライブが多かったが、この日はツインボーカルを聴かせることを軸にしつつ、自然体のまま大会場で鳴らせていた印象。怒涛の1年に呑まれることなく、確かな成長を遂げたバンドの姿がそこにあった。
KEYTALK 撮影=岸田哲平
ラストはダンサー達を引き連れ、寺中&首藤義勝(Vo/Ba)&小野がバチバチ掻き鳴らすイントロから始まる「MATSURI BAYASHI」、そして鉄板の「MONSTER DANCE」で終了。ステージ上で火柱噴射、寺中が銀テープ入りバズーカを発砲、「MONSTER DANCE」終盤で全員突如一時停止、スクリーンにドアップになったメンバーの絶妙な表情に笑いが起こる……などの場面を交えながら、大きな盛り上がりを生み出した。最後まで踊りまくるオーディエンスを徹底的に笑顔にさせ、Mステで共演した盟友・THE ORAL CIGARETTESへとバトンを繋げる。
THE ORAL CIGARETTES
THE ORAL CIGARETTES 撮影=岸田哲平
THE ORAL CIGARETTESが標榜し続けるキーワードは「BKW」、すなわち「番狂わせ」の意だ。とはいえ、彼らの主戦場たるライブハウスやロックフェスでは一目も二目も置かれる存在になった今、それを起こす側というよりも、ハナから大きな期待を背負ってステージに立つことの方が多くなっていると思う。が、誤解を恐れずに言えば、初登場となったこのドリフェスでの彼らは久々に挑戦者の立場だ。それだけに一体どんなライブを見せてくれるのか?と期待していたら、ぶちかましてくれた。痛快な番狂わせを。
THE ORAL CIGARETTES 撮影=岸田哲平
山中拓也(Vo/Gt)が「ドリームフェスティバル、楽しんでいこうぜ」と口火を切ったあと「一本打って! ただ今より~」というお馴染みの口上の中で「我々なりのロックをしにきました」と宣戦布告、「リコリス」からライブをスタートさせた。性急な裏打ちとスイングする横ノリを自在に行き来して揺さぶる「Shala La」、デジタルな重低音とビート、HIP-HOP調のリズムで攻め立てる「DIP-BAP」など、曲を追うごとにアンサンブルは迫力を増し、場内のボルテージも上がる。中西雅哉(Dr)とあきらかにあきら(Ba)が磐石のグルーヴを織り成す上を、鈴木重伸(Gt)による激しく動きながらも正確なフレーズが踊り、山中は風格すら感じさせる佇まいで客席と対峙。「BLACK MEMORY」で悠然と花道へと進み、四方八方を撃ち抜くアクションで煽ったあたり、ため息が出るほど様になっていた。
THE ORAL CIGARETTES 撮影=岸田哲平
跳びはねるオーディエンスの波が会場を揺るがした不動のキラーチューン「狂乱 Hey Kids!!」では、コール&レスポンスからのラスサビで火花が噴出。他にも巨大セットやレーザー照射など大会場ならではの仕掛けを含んだライブであったが、それに呑まれることなく余裕で乗りこなす4人の姿と場内の盛り上がりは、結構な回数彼らのライブを観ている筆者も目を見張るものであった。
テレビとかにはあまり出ないバンドだけど、大事にしているライブで絶対に多くの人に自分たちの音と存在を届けてみせる、と語り大きな拍手に包まれた山中は、続いて「いつかここでワンマンライブがやりたい」と野望を掲げ、晴れやかな表情で「トナリアウ」を歌い上げて、ステージを降りた。
西野カナ
西野カナ 撮影=岸田哲平
3番目に登場したのは西野カナ。開演時刻を迎えた頃には、西野本人、おそろいの衣装を纏った女性ダンサー、サポートバンドが既にスタンバイしていた。1曲目は「GIRLS GIRLS」。サポートバンドはDJを擁した編成であるため、クラブミュージック色がかなり強い。女性特有の腹黒さを描くリリックをラップに乗せるオープニングに意表を突かれるも束の間、曲が終わっても途切れることのなかったビートはそのまま加速していき(ここで十八番の早着替えも披露)、「UNZARI」へと繋げていく。この日の出演者のうち、唯一の女性ソロアーティストだった西野だが、パブリックイメージとは異なるクールな一面を見せることによって、彼女はオーディエンスを惹きつけてみせたのだ。花道をランウェイのように歩く西野の姿にみんなもうすっかり釘付け。「ちょっとアウェイなんちゃうかな?ってドキドキしてたんですけど、普段とは違うアーティストさんとご一緒できるということを楽しみにしてきました」と、彼女は笑う。
西野カナ 撮影=岸田哲平
一転、「Have a nice day」ではジェスチャーを交えながらバタついた平日の日常をキュートに唄い上げ、壮大なスケールで届けた「Girls」では<花のように強く/風のように優しく/雨の日も美しく/それが女の子なの>と伝えていく。頑張りが報われない人に寄り添う優しさを持ちながらも、ただ甘やかすことはせず、聴き手一人ひとりを尊重し、最後にはその背を押すのが彼女流。私たちと同じような日常を過ごす女の子であると同時に、ストイックなパフォーマンスを見せるアーティストでもある、この近くて遠いような絶妙な距離感が、彼女の創るステージにはそのまま表れているのだ。
西野カナ 撮影=岸田哲平
デビュー10年目の心境を綴った「手をつなぐ理由」をしっとりと届けたあと、ピンク色のテープが舞った「トリセツ」の温かな幸福感でライブは終了。<これからもどうぞよろしくね。/こんな私だけど笑って許して>というフレーズは、アーティスト・西野カナの魅力を多面的に見せたこの日のステージを象徴しているようだった。
ゴールデンボンバー
ゴールデンボンバー 撮影=岸田哲平
2014年以来のドリフェス出演を果たしたゴールデンボンバーは、3日間15組の出演者の中で、ある意味最も何が起きるのか予測不能で、でもそれが間違いなく盛り上がるんだろうなぁと確信できる存在である。もちろん、彼らはその期待を裏切らなかったし、はるか斜め上をゆくパフォーマンスが繰り広げられたのだった。
出演者アナウンスの映像が終わるやいなや、バッキバキのサウンドに乗って走り出た鬼龍院翔、喜屋武豊、歌広場淳、樽美酒研二。鬼龍院と樽美酒が渾身のシャウトで客席を焚きつけ、「#CDが売れないこんな世の中じゃ」、「元カレ殺ス」と全力のパフォーマンスで駆け出した。お立ち台で伸びやかに歌声を響かせる鬼龍院を中心に、各々のパートを半ば放棄して目まぐるしく動き回る他の3人。仕様上、立ち位置の制約がないことを存分に活かした、広大なステージをフルに使うライブは彼らの真骨頂だ。もちろん、ギターソロが来るぞ、と散々煽っておいて喜屋武が水を飲んで終わり、といった小ネタを挟むのも忘れない。
ゴールデンボンバー 撮影=岸田哲平
MCではKEYTALKやオーラルを例に出し、勢いのある若手が怖い、不倫しろ!とブラックなネタも投下。さらに「LUNA SEAは嵐を呼ぶバンド」(喜屋武)、「西野カナの大ファンなんです」(樽美酒)という共演者に関する話題も出たが、お察しの通りこれらは前フリ。直後の「抱きしめてシュヴァルツ」で、嵐(強風)に吹かれた喜屋武の衣装が飛ばされてパンイチになり、西野カナ風衣装をまとった樽美酒もやはりパンイチ(Tバック)に。歌広場が必死に隠そうとするも及ばず、彼はセンターステージで堂々とワレ目を晒してみせたのだった。
ゴールデンボンバー 撮影=岸田哲平
その後もライブ初披露となった47都道府県ごとのバージョンが存在する新曲の埼玉Ver.「やんややんやNight~踊ろよ埼玉~」や、V系ライブあるある的に盛り上がり要素を詰め込んだ「毒グモ女」など、40分の持ち時間が一瞬に感じられるほど、全身全霊を捧げて、踊り、騒ぎ、ふざけ、盛り上げ続けて、いつの間にか会場中を巻き込んでしまっていた金爆。ラストはお待ちかねの「女々しくて」でたまアリを揺るがしてフィニッシュ。シーンに比肩する者のない、エンターテインメント・エアバンドの真髄を見せつけてくれた。
WANIMA
WANIMA 撮影=岸田哲平
2日目もいよいよ終盤へ。ここでWANIMAの登場だ。彼らがこのさいたまスーパーアリーナでライブをするのは今年3月、自身のワンマンライブ以来とのこと。しかしSEが始まり、KENTA(Vo/Ba)、KO-SHIN(Gu/Cho)、FUJI(Dr/Cho)の3人が登場するや否や、黄色い声も野太い声も飛び交っている様子を見る限り、心配など無用。「みんな元気にしてるかー⁉」(KENTA)とそれぞれが楽器を掻き鳴らし、「ドリフェス」コールを起こした頃には、曲が始まる前にも関わらずものすごい一体感である。太陽のようなこのバンドの明るさには、人と人とをギュッと近づけてしまう力があるようだ。
WANIMA 撮影=岸田哲平
「ドリームフェスティバル2017、WANIMA、開催しまーす!」とオーディエンスと声を合わせ、演奏スタート。ドラえもんのマネをしたFUJIのタイトルコールで始まった「THANX」から早速、<始まったばかり 主役はお前 準備は出来たんですかい?>という言葉通り、陽性のメロコアサウンドはオーディエンスを大いに飛び跳ねさせ、唄わせ、笑顔にさせる。ライブハウスの熱さと温かさを保ったまま、その景色をデカくしていっている彼ららしいスタートだ。続くは、新曲「ヒューマン」。苦しみを乗り越えて光を手繰り寄せる、というWANIMA印のスピリットが効いた一曲だが、終わった直後にKENTA、思わず「緊張した~!」と泣きそうな声で告白していた。
WANIMA 撮影=岸田哲平
以降は調子を取り戻し、「あとは自由にやります!」という宣言通り、オーディエンスにスマホライトを灯すようそれとなく指示したり、「1000円払うから拳上げて」というどうしようもないおねだりをしていたのだが、光の海の中で「ともに」をシンガロングした思い出は、この会場にいる一人ひとりにとってかけがえのない宝物となったことだろう。「この続きはまたWANIMAのツアーで。またライブハウスで会いましょう!」とラストに届けた「CHARM」まで全6曲。一人ひとりに明日への活力をチャージさせにいくような、まさしくCHARM=お守りのようなライブだった。
LUNA SEA
LUNA SEA・RYUICHI
2日目のトリを飾るのはやはりこの人たち。定刻になった瞬間、もう待ちきれない場内のどこかから自然発生的に手拍子が沸き起こり、数分後、大音声とともにLUNA SEAの登場が告げられた。
LUNA SEA・SUGIZO
SEのベートーヴェン「月光」が静かに流れ出し、一人一人ゆったりと登場して手を挙げ声援に応えてから位置につくメンバーたち。最後にRYUICHIが現れると、静謐な雰囲気を切り裂くように、要塞のようなドラムセットの向こうから真矢(Dr)が怒涛のビートを叩き込んで、「Anthem of Light」からライブが始まった。分厚いバンドアンサンブルではあるものの、どこか軽快さを併せ持ったポジティヴな響きが印象的な幕開けだ。続く「TONIGHT」ではINORAN(Gt)が中央に歩み出てイントロを奏でた直後にキャノン砲が轟き、そのままINORANがセンターステージへ。SUGIZO(Gt)とJ(Ba)が上/下手の花道先端に大きく翼を広げるように陣取り、ちょうどRYUICHIを中心とした十字架のようなフォーメーションに。その中央から放たれる、高音域までシームレスに伸びていく歌声はまさしく圧巻だ。
LUNA SEA・INORAN
MCでも言っていたようにもうすぐ結成30周年になるLUNA SEAは、ベテラン・バンドの領域といっていい。だが、この日みせたキレや激しさは、RYUICHIが「とってもワクワクしながら観ていた」というこの日出演した後輩たちにまったく引けを取らないどころか、追いつかせる気などさらさらない、と言わんばかり。疾走する2ビートが切れ味抜群の「Déjàvu」や、ダークで重厚なサイケデリアが支配する「FACE TO FACE」など、比較的初期の楽曲たちもキャリアを重ねる中で鮮やかに更新/再構築されていた印象だ。また、ドリフェスという場に相応しく幅広い層に刺さる楽曲としては、中盤に並べられた「I for You」「STORM」「DESIRE」あたりで胸を熱くした人、少なくないだろう。時折楽しそうに笑みを浮かべながら最前列まで出て煽るJ、耳元で軽く言葉を交わしながら向かい合うINORANとSUGIZOなど、視覚的に嬉しく刺激的な瞬間も多数。「TIME IS DEAD」では、SUGIZOがセンターステージでのギターソロで沸かせたあと、フロントの4人がピッタリ並んで返しのスピーカーに足をかけ、大喝采を浴びる一幕もあった。
LUNA SEA・J
攻めの姿勢で走り抜けた本編、「お前ら全員でかかってこい!!」と奏でられたラストナンバーは「WISH」。宙に放たれた銀テープがキラキラと煌めきを放つ中、「ラララ」のシンガロングをアリーナに鳴り響かせると、とどめはアンコールで披露された「ROSIER」で2日目の熱演を締めくくった。
元々彼らは5つの個性が火花を散らすスリリングなバンドという印象だが、終幕/再始動から数年が経ったいま、その個性が溶け合うでも反発し合うでもなく、互いに作用しあうことでよりバンドとしての高みへと上り詰めていっているのではないか。熟練のワザやタフネスと、なおも内に秘めた青き衝動を兼ね備えたモンスターバンド・LUNA SEAここにあり。そう強く刻みつける一夜となった。
取材・文=蜂須賀ちなみ(KEYTALK、西野カナ、WANIMA)、風間大洋(THE ORAL CIGARETTES、ゴールデンボンバー、LUNA SEA) 撮影=岸田哲平(KEYTALK、THE ORAL CIGARETTES、西野カナ、ゴールデンボンバー、WANIMA)、山内洋枝(LUNA SEA)、田辺佳子(LUNA SEA)
LUNA SEA・真矢
1.Love me
2.Summer Venus
3.黄昏シンフォニー
4.桜花爛漫
5.MATSURI BAYASHI
6.MONSTER DANCE
THE ORAL CIGARETTES
1. リコリス
2. Shala La
3. 気づけよBaby
4. DIP-BAP
5. BLACK MEMORY
6. カンタンナコト
7. 狂乱 Hey Kids!!
8. トナリアウ
西野カナ
1.GIRLS GIRLS~UNZARI(メドレー)
2.No.1
3.Have a nice day
4.Girls
5.One More Time
6.手をつなぐ理由
7.トリセツ
ゴールデンボンバー
1. #CDが売れないこんな世の中じゃ
2. 元カレ殺ス
3. 抱きしめてシュヴァルツ
4. やんややんやNight~踊ろよ埼玉~
5. 毒グモ女(萌え燃え編)
6. まさし
7. 女々しくて
WANIMA
1.THANX
2.ヒューマン
3.ともに
4.オドルヨル
5.いいから
6.CHARM
LUNA SEA
1. Anthem of Light
2. TONIGHT
3. Déjàvu
4. JESUS
5. FACE TO FACE
6. I for You
7. STORM
8. DESIRE
9. TIME IS DEAD
10. WISH
[ENCORE]
11. ROSIER