浅丘ルリ子主演 新国立劇場演劇公演『プライムたちの夜』フォトコール「会うなら裕ちゃんとひばりさんかな」
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浅丘ルリ子
アメリカの新進作家ジョーダン・ハリソンの戯曲『プライムたちの夜』が、新国立劇場小劇場で上演される(2017年11月7日~26日。29日に兵庫公演もあり)。日本初演。初日を前に行われたフォトコールと囲み取材の様子をお伝えする。
宮田慶子、相島一之、浅丘ルリ子、香寿たつき、佐川和正(左から)
本作は、2014年ロサンゼルスでの初演直後から反響を巻き起こし、15年にピュリッツァー賞最終候補作品となり、オフ・ブロードウェイでの再演、さらには映画化もされた作品。「世界は今…」をキーワードに、海外の演劇シーンから様々な戯曲を紹介してきた新国立劇場の企画シリーズの一環で日本初演となる。今回、85歳のマージョリー役を演じるのが浅丘ルリ子。マージョリーの娘テス役を香寿たつき、テスの夫ジョン役を相島一之、「亡き夫の若き日の姿に似せたアンドロイド」のウォルター役を佐川和正が演じる。親子、夫婦の葛藤を描く家庭劇でもあり、「プライム」と呼ばれるアンドロイドが登場するSF劇だ。
この日、報道陣に公開されたのは1幕2場の途中。テスとジョンが口論をしている時に、マージョリーが会話に加わるシーンで、およそ10分間公開された。
浅丘ルリ子(左)、佐川和正
初日を前にした心境を問われた浅丘は「新国立劇場に初めて出させていただきます。300人というお客様も初めて。出演者が4人というのも初めて。初めて一緒にやらせていただく方ばかりですし、プライムになるのも初めて」と"初めて尽くし"の状況を説明。「最初はすごく戸惑いましたけれど、やっていくうちに、あぁこれは不思議な舞台だなぁと。お客様にはどう見ていただけるのか……もしかしたら寝てしまう人もいるかも……まぁそんなことはない(笑)。一つ一つセリフを聞いてくださると、面白いお話だと思います。家族愛を描いたお話です」。物忘れの激しい85歳のマージョリーを演じることについては「難しくないです。私も人の名前忘れますから(笑)。すごく楽しいです。いろんなことができるし、わがまま言える」と笑った。
香寿は「大尊敬する浅丘さんとご一緒できるということで、すごく緊張しています。最初にお会いした時からすごいオーラで、役作りも解釈も学ぶことがいっぱいです。もし眠くなることがあったとしたら、それは私が喋っているところでしょう(笑)。AIのテクノロジーの話で、お客様に興味を持っていただける作品だと思うので、精一杯頑張りたいです」と意気込む。
相島一之(左)、浅丘ルリ子
佐川は「お話いただいた時から、浅丘さん、香寿さん、相島さんと素晴らしい方々とご一緒させていただけることで、とにかく稽古中とても贅沢なプロセスを経て、ようやく本番を迎えます。お客様の前でお披露目することがとても楽しみです。個人的には人間じゃない役をやるのは初めてで……学生の頃にはクマの役はあるんですけど(笑)。どんな反応をいただけるのか楽しみです」と語った。
相島は「浅丘ルリ子さんとご一緒できるというのが何よりも嬉しく、光栄なことです。伝説の女優と同じ舞台に立って、そこでいろんなことを見たり聞いたりできるというのが、俳優としてすごく財産だなと思っています。このお話は不思議なお話なんですが、切なかったり、ハートウォーミングになったりするお話です。今の最先端の戯曲なんですよね。相島はそれに四苦八苦していおりますが、ぜひ劇場へ」と語る。そして、オフの日に出演者でカラオケに行ったといい、「『銀座の恋の物語』をご本人の映像を見ながら、僕はルリ子さんと歌いました。もう誰に自慢しよう〜!?みたいな感じです(笑)」という裏話を話した。
香寿たつき(左)、相島一之
演出の宮田慶子は「最近はAIのことがよくニュースで取り上げられます。このお話は今よりちょっとだけ未来の、AIがアンドロイドという形で人間の姿をして家庭の中に入り込んじゃったことによる家族の物語なんです。我々の日常にある、夫婦の問題、親子の問題、高齢者社会の問題などを、果たしてAIはそれを解決できるのか。そんなことをテーマにしています」と作品について語る。
浅丘に一度オファーを断られ、膝詰め談判で宮田が直訴したことを明かした上で、宮田は「この大先輩の柔軟さ、自由さ、芝居に対する情熱。たくさんいろんなことを学ばせていただく稽古場になった。浅丘さんのおかげでこのカンパニーが一つの家族としてまとまりが出来たんじゃないかなと思っています」と感謝の意を述べた。
最後に、「もしアンドロイドを家に呼べるとしたら」という問いかけに対し、浅丘は「まず裕ちゃん(石原裕次郎)かな。そしてひばりさん(美空ひばり)かな〜。まだいっぱいいるけど、まず会いたいな」と答えた。
そして、「いよいよ明日から初日。お客様がどういう反応をしてくださるのか。拍手をいただけるように頑張って精一杯やらせていただきます」と結んだ。
取材・文・撮影=五月女菜穂
■作:ジョーダン・ハリソン
■翻訳:常田景子
■演出:宮田慶子
■会場:新国立劇場 小劇場 (東京都)
■日程:2017/11/7(火)~2017/11/26(日)
■公式サイト:http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/16_009663.html
■会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール (兵庫県)
■日程:2017/11/29(水)13:00
■公式サイト:http://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=4292412351&sid=0000000001