ワクワク肉片残酷ゲームが13年の時を経て完全復活!『ジグソウ:ソウ・レガシー』#野水映画“俺たちスーパーウォッチメン”第四十回
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(C)2017Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
TVアニメ『デート・ア・ライブ DATE A LIVE』シリーズや、『艦隊これくしょん -艦これ-』への出演で知られる声優・野水伊織。女優・歌手としても活躍中の才人だが、彼女の映画フリークとしての顔をご存じだろうか?『ロンドンゾンビ紀行』から『ムカデ人間』シリーズ、スマッシュヒットした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』まで……野水は寝る間を惜しんで映画を鑑賞し、その本数は劇場・DVDあわせて年間200本にのぼるという。この企画は、映画に対する尋常ならざる情熱を持つ野水が、独自の観点で今オススメの作品を語るコーナーである。
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夏が過ぎて秋になり、早くも冬の気配すら感じ始めるこの季節、ホラーやスリラーが熱い。日本ではホラー=夏の風物詩というイメージが強いが、むしろ海外では、ハロウィン前後のこの時期のほうがホラーな季節なのかもしれない。実際に毎年ハロウィンの時期に新作を公開してきたホラー寄りのスリラー作品がある。それが『ソウ』シリーズだ。一旦シリーズの幕を閉じた2010年の『ソウ ザ・ファイナル 3D』から7年経った今年、新章とも言える最新作『ジグソウ:ソウ・レガシー』が公開されている。
バケツを頭からかぶせられ、鎖につながれた5人の男女。その鎖の先の壁には無数の丸鋸の刃が付いている。5人が目覚めると、「さぁゲームをしよう。お前たちは嘘をついてきた罪を告白せよ……」という音声が流れる。同じ頃、公園の真ん中でバケツを頭からかぶった死体が発見された。検視官のローガンとエレノアは解剖すると、死体はあごから上が無く、首の皮膚はジグソーパズル型に切り取られていた。そのやり口から、容疑者として死んだはずの連続殺人犯・ジグソウの姿が浮かび上がる。そして、死体の傷から抜き出したUSBスティックをパソコンで起動すると、「ゲームは始まった」と、ジグソウの声が響き渡るのだった。
ワクワク残酷ゲームが完全復活!
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『ソウ』は2004年の第1作から、これまでに7作製作されてきた。連続殺人犯・ジグソウによって密室に閉じ込められた人間たちが、命を賭けて脱出する“ゲーム”に参加せられるのが毎回ストーリーの主軸となっている。しかし、『ソウ』シリーズをすべて観てきた私にとって、4作目あたりからジグソウの後継者争いでドラマがごたごたしてしまい、肝心の“ゲーム”がおざなりになってきている感が否めないのが、残念なポイントだった。とはいえ、「シリーズが続く以上は途中で観賞を止めるわけには!」とばかりに、私は毎回“ゲーム”でのエグいシーンだけを拠りどころにしてきた節がある。
そんな経緯があったため、今回新作が公開されると聞いて「まだ続くのかー」と複雑な気持ちでいたのだが、実際に観てみると、冒頭で『ソウ』が好きな方ならわかるであろう、おなじみのメインテーマ曲を耳にして、否が応でもテンションが上がってしまった。これぞパブロフの犬。
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そして、本作はシリーズに対して複雑な思いを抱える私の期待にも、しっかりと応えてくれた。今回の“ゲーム”のトラップは、鎖やワイヤーを使ったアナログで地味にも感じるものが多く、それがまた1作目の雰囲気を彷彿とさせる。そして、そんな古典的なトラップにかかった者はみなえげつない最期を迎える。傷口はぐっしゃぐしゃで、最終的に肉片になるようなものがほとんどだ。こうしてメインとなる“ゲーム”をしっかりと見せつつ、犯人を追い詰める流れもきっちりと見せてくれる。私は、このバランスの取れたストーリーこそが『ソウ』らしさだと思う。観終わった後は、これだ!これなんだよ!最初に『ソウ』を観た時に感じた気持ちは!と、心の中で拍手喝采した。
本作で初めて『ソウ』に触れる方には、新作のスリラーとして新鮮で、歴代シリーズのファンにとっては原点回帰と感じるのではないだろうか。
最大の謎・ジグソウ復活!?
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本作最大の見どころは、やはり死んだはずの連続殺人犯・ジグソウの復活とその謎だ。これまでのシリーズで明かされているが、ジグソウの正体はジョン・クレイマーという高齢の男性。彼は完治不能の病に侵され、余命わずかになったことでひとつの死生観を得て、人の命を顧みない者たちに“ゲーム”を仕掛けるようになった人物だ。しかし、『ソウ』シリーズの時系列では十数年前には死んでいるはず。なのになぜ、今回の“ゲーム”で彼の音声が使われたのか? 後継者を頼りに、生前に新しい“ゲーム”の準備をしていたのだろうか? そんな私の想像はいい意味で裏切られ、ジグソウ役のトビン・ベルが登場してからの戸惑いも、トリックが明かされた時に気持ちよく昇華された。皆さんにも、まさにジグソーパズルのピースがカチッとハマるような爽快さを味わってほしい。
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さらにラストシーンは、私としてはシリーズ中もっともエグく、もっとも「カッコいい!」と思えるものだった。観終わって、タコさんウィンナーを食べたくなった……とだけ書いておこう。副題にある“レガシー”=先人から受け継いだもの、に相応しいラストをご堪能いただきたい。
『ジグソウ:ソウ・レガシー』は公開中。
(2017年/アメリカ/92分/スコープサイズ/5.1chサラウンド)
原題:JIGSAW
【ストーリー】
密室に集められた5人の男女。頭には目の部分がくり貫かれたバケツが被せられ、 身体には鎖が繋がれている。その鎖は対面する壁に繋がっており、 壁には一面に丸鋸刃(まるのこは)が付いている。“さあゲームをしよう、 お前たちは嘘をついてきた罪を告白せよ、真実のみがお前らを自由にする 生きるか死ぬか、お前たち次第だ”ゲームは始まった・・・ 遺体安置室の検視台に半裸の男。それは街中の公園で見つかった死体。 死体を見つめる刑事のハロランとキース、検視官のローガンとエレノア。 男が被っているバケツを外すと、顔半分がはがれ顎から上が無い。 首の皮膚はジグソウパズル型に切り取られている。伝説の連続殺人犯 “ジグソウ”のやり口――殺害したのはジグソウの模倣犯か? 傷の奥から抜きだしたUSBスティックをパソコンで起動すると、 「ゲームは始まった。4人の罪人が犯した罪が償われるまで終わらない」 その声はまさしくジグソウ。彼は10年前に死んだはずなのに……。
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