“ゼロ”から生み出される音楽の魅力とは? 始動した『ZEROICHI LIVE!!』をレポート
ZEROICHI LIVE!!
『ZEROICHI LIVE!! Supported by FM OH!』2017.11.17.(FRI) 大阪・梅田Zeela
11月17日、大阪・梅田Zeelaにて『ZEROICHI LIVE!! Supported by FM OH!』が開催された。本イベントはミューベンツジャパン(キョードー関西グループ)と2mographicが手を組み、“何もないところから、何かを生み出す”ことをコンプトに、全国に潜在する才能溢れるアーティストとの出会いから新たな感動を生みだそうと企画されたもの。出演アーティストは新しいファンと、オーディエンスは新しいアーティストと、そしてライブハウスは新しいオーディエンスやアーティストに、オーガナイザーは新しいアーティストと出会うことで、“ゼロ”から生み出されたチカラを見つけることができるのか? 関西のラジオ局FM OH!協力のもと、この日記念すべき第1回目を迎えることに。出演はNOTHING TO DECLARE、AIRFLIP、嘘とカメレオン、ヤグルマギク、そしてオープニングアクトにLiberal Artsの5組。ほぼ初顔合わせのバンド同士が生み出す、“ゼロ”から始まる波のうねりはどう広がるのか? 当日の模様をレポートしたい。
Liberal Arts 撮影=森好弘
まずオープニングアクトとして登場したのは、大阪出身の3人組・Liberal Arts。壮大なSEをバックに、フラッグを掲げながらステージに登場した彼らは「楽しむ準備は出来てますか? トップバッター、かまします!」と、1曲目「IMITATION」からタフなバンドサウンドで会場を揺らす。ポップなメロを聴かせたかと思えば豪快なシャウトをかますなど、1曲の中で多彩な表情を見せる楽曲で、オーディエンスの目をひきつけていく。
Liberal Arts 撮影=森好弘
TOMOYA(Vo&Gt)、KOUSUKE(Ba)はステージでぶつかり合うように音をぶつけ、TOMO(Dr)はそこへ打点の多いリズムで楽曲をさらに煽っていく。MCではライブハウスの楽しさなどありったけの思いを叫び、ラストまで全力のパフォーマンスで走り抜け、全4曲と短いながらもしっかりと爪痕を残すステージを見せてくれた。
ヤグルマギク 撮影=森好弘
続いて登場したのは神戸発の3人組歌ものギターロックバンド・ヤグルマギク。「やり残したことをやり尽くしたい!」と、前身バンドBaby Leafのうめもと(Vo&Gt)を中心に今年9月に始動したばかりの彼ら。楽曲は前バンドのものを引き継ぎながらも、より研ぎ澄まされた世界観を届けようと、真摯なパフォーマンスで観客を魅了していく。「シンデレラ。」で始まったステージ、芯の強さを感じさせるうめもとの歌声、浮遊感を感じさせるメロディーで聴く者の心に訴えかけていく。
ヤグルマギク 撮影=森好弘
続く「僕が枯れる。」では楽曲が意志を持とうとする様が感じとれ、観客はただ静かに彼らの姿に見入っている。「夢を諦めたくない」と語り、バンドを変えてでも大切にしてきた楽曲を届けたいと新バンドに懸ける思いを語った彼ら。熱い想いを胸に抱き、邁進する姿に注目したい。
NOTHING TO DECLARE 撮影=森好弘
この日のイベントは“ロック”というジャンルのみ出演者で選出されているが、これほどまでに異種格闘技になるのかと驚かされたのがNOTHING TO DECLAREのステージだ。1曲目「Savior」からメロディアスながらも重低音を効かせたサウンドで観客に絶大なインパクトを打ち出すと、次々にアグレッシブなサウンドを投下。国内外、シーンを問わず幅広い活動を続ける彼ら。その経験値の高さからか、臨場感溢れるサウンドでオーディエンスの心をがっちりと掴む、見事なアジテートっぷりを見せつけていく。
NOTHING TO DECLARE 撮影=森好弘
Mas Kimura(Vo&Gt)の感情を剥き出しにした歌声は時に色香や哀愁を感じ、英詞ながらもその世界観がしっかりと目に浮かぶ。「We Stand Alone」「The Life, The Death」とクライマックスに向けて強靭な楽曲陣で会場を揺さぶり、全6曲を走り抜けた。
ステージ転換中には、ライブ終わり直後のアーティストが登場するMCコーナーも展開。興奮冷めやらぬなか、初開催となった『ZEROICHI LIVE!! Supported by FM OH!』に懸ける思いや今後の活動についてを語ってくれた。
嘘とカメレオン 撮影=森好弘
そしてイベントも中盤、嘘とカメレオンは5人5様の個性あふれるステージングで楽しませてくれた。渡辺壮亮(Gt&Cho)による、アンニュイなポエムリーディングから始まったステージ。「ゼロをイチにする覚悟はできてるか!!」と煽りの言葉を放つと、1曲目「N氏について」へ。屈強な男性メンバーに囲まれつつも、紅一点のチャム(Vo)は可愛さと艶を持ち合わせた歌声で楽曲により強固なインパクトを与えていく。
嘘とカメレオン 撮影=森好弘
MCでは、「ゼロがイチになる貴重な瞬間に呼んでもらってうれしい。色んな出会いがあるこの日、素晴らしい日になるように!」と、新たな出会いに感謝の気持ちを伝え、「Lapis」へ続いていく。さらに、MVが話題となった「されど奇術師は賽を振る」では、中毒性あるメロで観客を魅了! この日が関西地方最後のライブとなった彼ら、来年への活躍に期待せざるを得ない全力のステージングが幕を閉じた。
AIRFLIP 撮影=森好弘
イベントは早くもトリのステージへ! 大阪発のポップパンクバンド・AIRFLIPは突き抜ける爽快感が心地良いライブで楽しませてくれた。Ritsuya(Dr)の軽快なリズムが印象的な「Hopeless Good Day」から始まると、あっという間にAIRFLIPサウンドで会場を覆っていく。ただひたすらに音楽と向き合う姿が印象的な「Summer Settle」、メンバーの無邪気な笑顔につられ、気付けば初めて彼らのライブを観るであろうオーディエンスが徐々にステージへと足を寄せていく。
AIRFLIP 撮影=森好弘
Gucci(Gt)のポップなメロが会場を揺らす「Butter Kids」を起爆剤に、ライブ後半へ向けて加速度は増していく。「知らない人もいるだろうけど、曲を詰め込んでやっていきたい!」と開放感高まる新曲をプレイすると、Satoshi(Vo&Gt)は客席フロアへ突入! 自らサークルを作り出し、観客を巻き込んで“ゼロ”の客をバンドへ引きつけていく。楽しい感情は伝染するのも早く、ラスト「Brand New Day」では観客もシンガロングで応戦。全6曲、全力で向き合った時間はあっという間に終わりを迎えてしまった。
“ゼロ”から始まったこの日のイベント、アーティストやオーディエンスに新しい出会いがあったのは間違いない。その新しい出会いがまた次なる動きを見せ、より大きなムーブメントになることを期待したい。なお、次回の『ZEROICHI LIVE!! Supported by FM OH!』は“歌い手”をテーマに、来年1月8日大阪MUSEにて、JUON、村上佳佑、中村千尋らの出演が決定している。
レポート・文=黒田奈保子 撮影=森好弘
【会場】 OSAKAMUSE
e+ アーティスト先行受付 11/19(日) 10:00〜 11/26(日) 23:59