渋谷を熱くさせるベンドラメ礼生 日本代表そして東京五輪のその先へ向けた思いとは?
-
ポスト -
シェア - 送る
SR渋谷に所属するベンドラメ礼生選手。2年目の今季は何を思い試合に挑んでいるのか
日々新たなカルチャーが発信される渋谷。
そんな渋谷に拠点を構えるプロバスケットチームが「サンロッカーズ渋谷」だ。
チームカラーの黄色は、多くの人々が行き交うこの街でも人目を引く存在感を放ち、週末は渋谷でバスケを観て過ごす人も増えた。
サンロッカーズ渋谷には日本のバスケ界の次世代を担う選手がいる。
背番号9を背負うベンドラメ礼生。
今回は彼の想いやチームについて探ってみた。
今シーズンはSGに、目指すべきプレーとは?
同級生の島根・岡本飛竜と対決するベンドラメ礼生選手 (C)SUNROCKERS SHIBUYA
ベンドラメは2016年にサンロッカーズ渋谷で初となるアーリーエントリーでチームに加入し、昨シーズンはプロ選手としてのキャリアを、B.LEAGUE開幕と同時にスタートさせた。シーズン途中に肩の怪我で一時戦線を離脱したが、最終的に49試合に出場。
チームをチャンピオンシップ出場に導く活躍を見せ、この年の新人賞を獲得した。
そして迎えた2年目の今シーズン。
ベンドラメは本来のポジションであるPG(ポイントガード)ではなく、SG(シューティングガード)で出場する機会が増えている。
すなわち得点力を求められているということだ。
ベンドラメは現在のプレースタイルを、昨シーズンと比べてこう話す。
「昨シーズンはボールを運んで、パスを回して、(ドリブルで)行ける時は行くという感じでした。今はPGが作った流れの中で来たボールを、そのまま得点に結びつけています。もともと積極的なプレーというのは僕の強みなんですけど、より積極的に得点を取ることに集中できています」
今シーズンのベンドラメは3ポイントで流れを変えたり、欲しい場面で得点を決めたりと、印象に残るプレーで会場を沸かせている。
中でも大きな盛り上がりを見せたのが、B1リーグ第9節の島根スサノオマジック戦における、岡本飛竜との1on1での勝負だ。
ベンドラメと岡本は同級生で、高校は同じ延岡学園に在籍。
さらにポジションも被るという、お互いに意識をしあう関係である。
島根戦は2試合とも双方譲れない1on1を繰り広げ、両チームのブースターはこのプレーに大きな声援を送った。
やはり1対1の勝負は誰が見ても熱くなれる場面で、バスケではそれが1on1になる。
ベンドラメはブースターを熱くさせた1on1に対し、「できるならしていきたい」としながらも、「どこか遠慮してしまいますね、エース同士がそういうことをするなら問題ないんですが」と、まだ自分の中に迷いがあることを明かしている。
しかし、今後ベンドラメが成長するにつれて、1on1を始めとした会場を楽しませるようなプレーが見られると思うと、期待せずにいられない。
「Bリーグの顔になりたい」……昨シーズンの新人賞獲得で芽生えた自覚
2年目の今季はチームの中心として自覚がより強くなったと話す
2年目のシーズンで変わったのはプレーだけではない。
気持ちの面でも変化は現れている。
「ルーキーではないのでチームの中心選手、勝敗に関わる選手だと思うようになりました。今は若手としてチームの中にいますけど、今後はチームの中心となって『サンロッカーズといえばベンドラメ』と言われるようになりたいです」
さらに、ベンドラメはチームの枠を超えたある目標を口にしている。
それは「B.LEAGUEの顔になりたい」というもの。
「B.LEAGUEの顔になって、日本代表として戦いたいです。そして自分の姿を見て、子ども達がバスケット選手を目指すような存在になりたいです。プロになったからといって満足はしていません」
ベンドラメは日本代表の経験がまだないが、この高い目標を持ち続けていれば、代表入りも時間の問題だろう。
日の丸を背負った時、ベンドラメはコートでどんなプレーを見せてくれるのか。
「やっぱり得点を取りたいです。ピックアンドロールとかを使って、相手の不意をついてシュートを決めたいですね。チャンスは一瞬しかないと思うので、その一瞬を確実にとらえるようなシュートを打ちたいです」
彼が国際試合でネットを揺らす瞬間を楽しみに待ちたいが、代表の次は自ずと東京オリンピックが見えてくる。
だがベンドラメはその先のことも重要だと話す。
「もちろん東京オリンピックは大事ですが、それが終わった時にみんなが目標を失ってはいけないと思うんですよね。(今の勢いを)続けて行かないと、今までのバスケと変わらないというか、元どおりになってしまうと思います」
常に先のことを見据えているベンドラメだが、オリンピックが終わった後、自身の未来像はどのように描いているのか。
「海外でやってみたいという思いはありますし、いろんな所でバスケをしてみたいと思います」
ここでNBAとプレーをする場所を断言しないところに、ベンドラメ選手のスケールの大きさが感じられる。
リーグ屈指の堅守を誇るSR渋谷。その中で注目ポイントは
今シーズンのプレーについて自信をのぞかせる
サンロッカーズ渋谷は12月9日の千葉ジェッツ戦を終えた際に、B.LEAGUEではチーム初となる10連勝を達成した。
取材を行った時点でリーグ最少失点数を誇り、今シーズンはここまで守備の堅さが目立っている。
ここまでチームとしてやりたいディフェンスは出来ているとベンドラメは話し、それがチームの強みだと明かす。
「サクレにハレルソンと、あれだけ大きい選手がいるので、インサイドは他のチームと比べて強いのかなと思いますね」
インサイドとはつまりゴール下のことを指すわけだが、バスケットボールではゴール下でどれだけ競えるかがチームの強さの1つの証となる。
この強力な2人の外国人プレイヤーがいるのだから、失点が少ないのも頷ける。
そんな状態のいいチームの状況だが、ベンドラメに気の緩みはない。
それは1位をひた走るアルバルク東京をはじめとした、上位チームとの対戦がこれから控えており、ここで勝ちを積み重ねてこそ本当の強さと言えるからだ。
そして、これからの戦いで注目すべき点は、「ファーストブレイク(ディフェンスからオフェンスへの切り替え)」だと話している。
では、彼らと戦ううえで、サンロッカーズ渋谷のプレーの中でも、注目してほしいポイントとは何だろうか?
「個人としてはドライブをしてシュートを決めるところだったり、サクレのダンクだったり、伊藤、山内さんとのディフェンスは、観ていて面白いところかなと思います」
渋谷という街に今までありそうでなかったスポーツというカルチャー。
都心に本拠地を構えるサンロッカーズ渋谷のブースターは、「新しい人が次々と来る」とベンドラメが話すように、常に新しい刺激を求めに来る。
そんなブースターに刺激を与え続けているチームの中心選手として期待され、B.LEAGUEを代表する選手を目指すベンドラメの今後の活躍に目が離せない。