木野花演出の「クラウドナイン」、三浦貴大「間違ってなかったんだ」
モチロン・プロデュース「クラウドナイン」より。(撮影:引地信彦)
モチロン・プロデュース「クラウドナイン」が、12月1日に東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて開幕した。
イギリス植民地時代にアフリカに移住した破天荒な一家を描く本作は、キャリル・チャーチルの代表作。1幕ではヴィクトリア朝時代、2幕ではその100年後の現代、ロンドンを舞台とした物語を展開する。また1幕と2幕でそれぞれの登場人物を演じるキャストが変わり、さらに登場人物の性別と演じる役者の性別が変わるという演出が見どころだ。
1幕では三浦貴大がドレスを着て女性役に挑戦し、高嶋政宏演じる家長クライヴの妻・ベティを演じる。1幕で威厳のある家長を演じていた高嶋は、2幕で心は乙女なゲイの役を演じ、現在47歳の正名僕蔵が5歳の少女役を担当している。
演出の木野花は「初日に間に合わせようと、猛スピードで稽古を進めてきました。誰一人脱落することなく、追いついてくれたことに感謝」とコメント。高嶋は「ほくそ笑んでいる人、真顔でじっと見つめてる人など、このシアターイーストという小空間ですべての観客が自分たちの生き様の目撃者なんだなと。決して大劇場では味わえない一体感に喜びを感じております」と興奮気味に語っている。
伊勢志摩は「今回は普段私が出ている芝居とはちょっと違います。芝居を固めたり、決めたりせずに挑まなければいけないのです。それが木野さんに言われている大前提なのです。日々新鮮な気持ちでという構えで行かねばならないと思っています。怖いです」と心中を明かした。
三浦は「初日が明けたら、お客さんからの反応があって、できてる・できていないというよりも、自分が稽古でやってきたことが間違ってなかったんだなと思いました。毎日緊張しっぱなしですが、初日でお客さんが楽しんでくれていたのを感じられたので、全部のステージで楽しんでもらえるようにしなければと、気合いを入れなおしました」と初日を振り返った。
正名は「このお芝居では、8人の役者それぞれに、役の上である種のムチャぶりがされています。そのムチャぶりにそれぞれがどう受けて立っているか、劇場にお越しいただいて、目撃していただけたら、幸いです」と呼びかけた。
平岩紙は「演者とお客様の間に線がないというか。自分も演じてるんだか、ただ生きてるんだか、わからなくなります。スリリングで楽しいです」と述べ、宍戸美和公は「お客様の反応をやっと感じることができて、今は少し安心しています。でも、まだまだ課題はあるなぁ」と感慨深げ。石橋けいは「気がついたら、初日が終わっていました。まさにクラウドナインハイ状態です(笑)」と心境を明かす。
そして入江雅人は「アフリカを舞台にした1幕は、まるで大劇場のお芝居を観ているかのようなスケールで、2幕はオフブロードウェイの芝居みたいです。オフブロードウェイの芝居、知らないけど……。たぶんそんな感じです」とコメントしている。東京公演は12月17日まで。大阪公演は12月22日から24日まで大阪・大阪ビジネスパーク円形ホールにて上演される。
モチロン・プロデュース「クラウドナイン」
2017年12月1日(金)~17日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト
2017年12月22日(金)~24日(日)
大阪府 大阪ビジネスパーク円形ホール
作:キャリル・チャーチル
訳:松岡和子
演出:木野花
出演:高嶋政宏、伊勢志摩、三浦貴大、正名僕蔵、平岩紙、宍戸美和公、石橋けい、入江雅人
※高嶋政宏の「高」ははしごだかが正式表記。