バロックは自由で楽しい! ロックな作曲家のヴィヴァルディを、Eテレ『ららら♪クラシック』で
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「大作のオペラなども1曲とカウントして、800曲以上作品が確認されているヴィヴァルディはスゴイ!」と、話しが盛り上がる。左から、司会の牛田茉友アナと高橋克典、ゲストの宮川彬良
12月15日(金)の、NHK Eテレ『ららら♪クラシック』は、アントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)のヴァイオリン協奏曲『四季』から『冬』を取り上げ、彼の人生や独創的な作曲術を通じてバロック作品の魅力に迫る。
東京のスタジオを飛び出して、埼玉県上尾市文化センターで公開収録された。若手古楽オーケストラのラ・ムジカ・コッラーナ(以下、ムジカ)に古楽器の特徴を教わったり、作曲家の宮川彬良がチェンバロに初挑戦するなど、お楽しみもいっぱい。
ヴィヴァルディは、今から約300年ほど前にイタリアの水都・ヴェネチアを拠点に活躍した作曲家・ヴァイオリニスト。多作家で、これまでに800曲以上の作品が確認されている。
ロックな生き方は作品にも反映、ヴァイオリンの名手で聖職者だったヴィヴァルディ
ゲストの宮川は驚いて「僕は朝ドラの『ひよっこ』の音楽だけで100曲くらい書いているんですよ。なのに、ヴィヴァルディの800曲というのは、オペラなども1曲とカウントされているんです!」。
まさに宇宙人的創作ぶりのヴィヴァルディ。スゴ腕のヴァイオリニストで、聖職者でもあり、20代からピエタ教会の孤児院の女子にヴァイオリンを教え、ハイレベルの女性楽団を結成。教会で演奏させて収益確保に貢献していたほどで、観光客が聴きに来る人気ぶりだったそうだ。
そんなヴィヴァルディの作品から、「このメロディーは何を表しているか?」を観客に質問するクイズコーナーが用意されていた。楽譜に説明が添えられている象徴的なフレーズをピックアップして、ムジカに演奏してもらい、司会の高橋克典が客席に降りて、回答を拾っていく。公開収録ならではの和やかなひとときだ。観客の回答に呼応して、宮川がステージでジェスチャーをしたりも。大いに盛り上がった。
クイズコーナーでは、客席で回答をきいた高橋。宮川のコミカルなジェスチャーに、観客とサイコーの笑顔!
ムジカのリーダーでヴァイオリニストの丸山韶が「当時のヴァイオリンは羊の腸でできたガット弦で、あご当てもついていません。チェロはエンドピンがなくて、足で支えて弾いています」などと、現代の楽器との違いも説明。宮川が驚いて「えっ、チェロを足で挟んでるの!?」
また、楽譜に書かれた説明は多岐にわたり、例えば「アドリブで演奏」とか「装飾音を入れる」など、奏者に委ねるところが多々あることも明らかに。現代のジャズに通じるような、自由度の高い音楽だったのである。曲中に同じ旋律があると「1回目は原曲で、2回目はアドリブで弾いたりします」と丸山。当時の作曲家や演奏家のアドリブ旋律が楽譜に書き込まれていると、参考にするそうだ。
舞台に新たに用意されたチェンバロで、宮川がムジカと『冬』の一部をアドリブ演奏。原曲を弾き示してから、自身のアレンジで演奏したのだが、丸山との演奏では「二人の息づかいを感じて、空気をクリエイトする感じだった」と感激。ムジカ全員との演奏でも「音楽の再現ではなく、生まれてくる!」と、感動しきりだった。
ロッカーやジャズマンのような自由な精神を感じるヴィヴァルディの音楽から、バロックの楽しみ方を知ることができる貴重な30分!
国内外で活躍する若手古楽器奏者からなる、ラ・ムジカ・コッラーナ。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、チェンバロ、バロックギターやリュートなどを自在に操る。丸山(vn)は、左から2番目
文=原納暢子
■日時:NHK Eテレ 12月15日(金)午後9時30分~ 午後10時00分
■出演:司会 高橋克典(俳優)、牛田茉友(NHKアナウンサー)
ラ・ムジカ・コッラーナ(古楽オーケストラ)、宮川彬良(作曲家)
■演奏曲
「“田園風協奏曲”第3楽章」ヴィヴァルディ:作曲
「“冬”第1楽章」ヴィヴァルディ:作曲
「“冬”第2楽章」ヴィヴァルディ:作曲
「“冬”第3楽章」ヴィヴァルディ:作曲
■公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/lalala/