METライブビューイングに鬼才トーマス・アデスの現代オペラ『皆殺しの天使』登場~ブニュエルの不条理映画を完全オペラ化
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METライブビューイング『皆殺しの天使』
ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されるオペラが世界中の映画館に配信される「METライブビューイング」に、2018年1月、途轍もない不条理オペラが登場する。現代屈指の英国人オペラ作曲家トーマス・アデス作曲による『皆殺しの天使(The Exterminating Angel)』(全3幕)である。
本作はシュールレアリスム映画の巨匠ルイス・ブニュエル監督が1962年にメキシコで作った同名映画を下敷きにしている。オペラ鑑賞帰りのホームパーティで、なぜか客間から出られなくなった紳士淑女たちを待ち受ける地獄が描かれる。オペラ化にあたってはザルツブルク音楽祭、MET、英国ロイヤル・オペラ・ハウス、デンマーク王立劇場が共同で委嘱し、台本はアデスと、演出家のトム・ケアンズが共同で執筆した。
METライブビューイング『皆殺しの天使』
2016年7月28日にザルツブルク音楽祭で世界初演、ロイヤル・オペラ・ハウス(2017年4月~)の上演を経て、2017年10月26日よりメトロポリタン歌劇場で上演された。今回のライブビューイングで配信されるのは2017年11月18日の舞台である。指揮はアデス本人、演出はトム・ケアンズ。歌手は、オードリー・ルーナ、アマンダ・エシャラズ、サリー・マシューズ、アリス・クート、クリスティン・ライス、イェスティン・デイヴィーズ、ソフィー・ベヴァン、ジョゼフ・カイザーら。
METライブビューイング『皆殺しの天使』
アデスは1971年ロンドン生まれ。その早熟の天才ぶりは、同じイギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンの再来と言われるほどだ。METに登場するのは前作『テンペスト』(2004年ロイヤル・オペラ・ハウスで世界初演、METでは2012年にロベール・ルパージュ演出で上演された)以来となる。
METライブビューイング『皆殺しの天使』
閉鎖空間の中に不可解に追い詰められた人々の心理をスリリングな音楽と共にえぐる、常軌を逸した問題作である。時にエロスが迸る場面もある。いわゆるオペラ・ファンだけでなく、演劇全般あるいは映画全般の愛好家にも今回の上映はぜひ観て欲しい。
METライブビューイング『皆殺しの天使』
なお、原作となっているブニュエルの同名映画を観たことがないという人には吉報がある。渋谷のイメージフォーラムにて、2017年12月23日より「ルイス・ブニュエル監督特集/『皆殺しの天使』『ビリディアナ』『砂漠のシモン』」が上映中なのだ(関西でも大阪シネ・ヌーヴォと京都みなみ会館で近日上映予定)。三作品はいずれもメキシコ時代の傑作だが(なお『砂漠のシモン』には、衝撃のデビュー作品『アンダルシアの犬』も併映される)、まず何をおいても『皆殺しの天使』を観ておけば、準備万端でオペラ版のライブビューイング鑑賞に臨むことができることだろう。
『皆殺しの天使』あらすじ
オペラ『ランメルモールのルチア』の帰り、ブルジョワ階級の知人グループがリーダー格の夫妻のホームパーティに招かれる。だが邸宅の使用人は、執事を残してみな去っていた。ディナーが終わり、明け方になったが、一同はなぜか客間から出られない。時間が経つにつれ人々は憔悴し、水や食料も底を尽き、喧嘩や自殺が勃発する。また、羊や熊が室内に現れる謎深さ。ソプラノ歌手が、この状況が始まった時、皆が何をしていたか再現してみようと提案し、その時を再現できた瞬間、一同はようやく自由になれる。だが災難はそれだけでは終わらなかった……。
METライブビューイング『皆殺しの天使』
■演出:トム・ケアンズ
■出演:
レティシア:オードリー・ルーナ
ルチア:アマンダ・エシャラズ
シルヴィア:サリー・マシューズ
レオノーラ:アリス・クート
ブランカ:クリスティン・ライス
フランシスコ:イェスティン・デイヴィーズ
ベアトリズ:ソフィー・ベヴァン
エドムンド・ジョセフ・カイザー
他
■上映時間:2時間41分(予定)(休憩1回)
■MET上演収録日:2017年11月18日
■言語:英語(日本語字幕付き)
■上映館:
北海道 札幌シネマフロンティア 011-209-5400 10:00~
宮城 MOVIX仙台 022-304-3700 10:00~
千葉 MOVIX柏の葉 050-6865-3401 11:30~
埼玉 MOVIXさいたま 048-600-6300 11:20~
東京 東劇 03-3541-2711 18:30~
東京 新宿ピカデリー 03-5367-1144 10:00~
東京 MOVIX昭島 050-6861-0325 10:00~
東京 109シネマズ二子玉川 0570-077-109 10:00~
東京 T・ジョイPRINCE品川NEW 03-5421-1113 11:00~
神奈川 109シネマズ川崎 0570-007-109 11:00~
神奈川 横浜ブルク13 045-222-6222 11:00~
神奈川 109シネマズ湘南NEW 0570-016-109 10:00~
愛知 ミッドランドスクエアシネマ 052-527-8808 10:00~
京都 MOVIX京都 075-254-3215 10:00~
大阪 大阪ステーションシティシネマ 06-6346-3215 09:50~
大阪 なんばパークスシネマ 050-6864-7125 18:30~
兵庫 神戸国際松竹 078-230-3580 10:00~
広島 109シネマズ広島 0570-002-109 10:00~
福岡 福岡中洲大洋 092-291-4058 10:00~
※座席指定券の発売スケジュールは各上映劇場に問合せのこと
※確定時間とタイムスケジュールは各演目の公開直前に最新情報に掲載
■公式サイト:http://www.shochiku.co.jp/met/program/89/
ルイス・ブニュエル監督特集/「皆殺しの天使」「ビリディアナ」「砂漠のシモン」
■上映期間&上映館:
東京 2017年12月23日(土)~ シアター・イメージフォーラム
大阪 上映日未定 シネ・ヌーヴォ
京都 上映日未定 京都みなみ会館
日本語字幕:金谷重朗
1962年 94分 メキシコ
©1991 Video Mercury Films
監督:ルイス・ブニュエル
脚色:ルイス・ブニュエル
原案:ルイス・アルコリサ、ルイス・ブニュエル
撮影:ガブリエル・フィゲロア
編集:カルロス・サバチ
美術:ヘスス・ブラチョ
音楽:ラウル・ラビスタ
録音:ホセ・B.カルラス
製作:グスタボ・アラトリステ
レティシア<ワルキューレ>:シルビア・ピナル
エドムンド・ノビレ:エンリケ・ランバル
アリシア:ジャクリーヌ・アンデレ
レアンドロ:ホセ・バビエラ
コンデ医師:アウグスト・ベネディコ
クリスティアン:ルイス・ベリスタイン
ルセル:アントニオ・ブラボ
執事フリオ:クラウディオ・ブルック
アルバロ大佐:セサル・デル・カンポ
シルビア:ロサ・エレナ・ドゥルヘル
ルシア:ルシー・ガリャルド
アルベルト:エンリケ・ガルシア・アルバレス
フアナ:オフェリア・ギルマイン
アナ:ナディア・アロ・オリバ
ラウル:ティト・フンコ
ほか
■公式サイト:http://www.ivc-tokyo.co.jp/bunuelangel/
■イメージフォーラム:http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/1160/