のん　“楽しくて仕方ない音楽の世界” 無垢で真っ直ぐな彼女に迫るインタビュー

本人いわく｢音楽を真剣にやりたい｣という想いから、2017年8月に自主レーベルKAIWA(RE)CORDを立ち上げる。『WORLD HAPPINESS 2017』にスペシャルゲストとしての出演も経て、11月には1stシングル｢スーパーヒーローになりたい｣を発表。年明け1月1日には、早くも2ndシングル｢RUN!!!｣も発表と勢いづく彼女。初めて逢ったが、とにかく音楽という新しい活動が楽しくてたまらないという強い気持ち強い愛が伝わってきた。そして、自身が作詞作曲する楽曲では、世の中へのストレートなメッセージが赤裸々に表現されている。ただただ楽しいだけではなく、確実に的確に伝えたいメッセージがあるというのは本当に頼もしい。若干24歳。まだまだ彼女はスポンジの様に、色々な事を吸収して大きく成長するに違いない。どうしても2018年は1stアルバムも期待してしまうが、今彼女が想っている事を全て語ってもらったので、是非ともインタビューを読んで頂きたい。

――今日、初めてお会いするので色々とお聞かせください。まず、2017年夏の話になりますが、『WORLD HAPPINESS 2017』に出演されたのは音楽好きの間では大変話題になりました。改めて、出演されてみていかがでしたか。

ビビりましたね……。高橋幸宏さん、鈴木慶一さんという錚々たる方と一緒にステージに上がれるなんて……。何で決まっちゃったんだろうって（笑）。でも、楽しい事ですからね。最初はコトリンゴさんのステージにお邪魔して、最後は幸宏さんと慶一さんとでしたが、ジワジワ嬉しくなっていきましたね。

――ジワジワ嬉しいって、良いですね。特に幸宏さん、慶一さんとサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにおねがい」をカバーされた時の衣装が凄く派手で僕、大好きだったんですよ。

あの衣装良いですよね！　派手な方が良いですよね。派手思考というか（笑）。あれは「タイムマシンにおねがい」の歌詞の内容を詰め込んだんです。ティラノザウルスの尻尾や鹿鳴館っぽいドレスだったり、ポンパドールで髪を作ってみたりとか。

――僕は映像でしか観れていないのですが、大御所たちと堂々と同じステージに若い女の子が立っているのが凄いなと思いました。舞台度胸があるなと。

袖で待っている時は、むちゃくちゃ緊張しました。でも、みなさんの演奏を聴いているとワクワクしてきて楽しくなってましたね。

――幸宏さんや慶一さん、それに1stシングル｢スーパーヒーローになりたい｣(2017年11月22日発売)の作詞作曲を手掛けられた高野寛さんにしても、みなさん温かく見守っている感じも良いなって思うんです。

親みたい（笑）！　高野さんもラフに優しく接してくれましたね。曲もインタビューしてから作りたいと言って頂いたので、一度お話をしました。「最近、何しているの？」とか「どういう音楽が好きなの？」とか世間話みたいな事でしたけど。「いつからギター弾いてるの？」とも聞かれたので、「中学生からで、高校生の時にはひとりで弾いていました」と答えたりしていました。それを高野さんがパソコンにパチパチパチと打ち込んでおられました。その時に、スーパーヒーローが大好きというお話をしたりして。沢田研二さんの「TOKIO」みたいな華やかな楽曲をお願いして、最初は「真夜中の野生」という楽曲を作ってもらいました。凄くかっこいいんですけど、真夜中って大人の女性のイメージがあって、私には早いかなと思ったんです。で、次に作ってもらったのが、スーパーヒーローとか、よりキャッチーな歌詞を盛り込んだ「スーパーヒーローになりたい」でした。

――確かに｢スーパーヒーローになりたい｣というフレーズはキャッチーでパンチがありますよね。より弾けた感じがするというか。

そうですね。高野さんにもパンクプリンセスと言ってもらえて、凄い嬉しかったです！

――のんさんにとって、理想のスーパーヒーロー像ってありますか？

映画を観るのが好きなんで、「アイアンマン」とかですかね。スーパーヒーローを好きになったのは、最近ですね。言葉自体が好きで｣

――なるほど。1stシングルでRCサクセションの「I LIKE YOU」をカバーされていますが、僕ら世代からしたら忌野清志郎さんはスーパーヒーローなんですね。のんさん世代が、どうやって清志郎さんさんの音楽に辿り着いたのかも興味深くて。

清志郎さんは矢野顕子さんを研究している時に出会ったんです。矢野さんの歌い方を研究して真似している時に「ひとつだけ」を見つけて、清志郎さんの研究も毎晩していて。

――『WORLD HAPPINESS 2017』の時の衣装も｢スーパーヒーローになりたい｣のジャケットの衣装も、実は僕、清志郎さんの衣装を凄く想い出していたんです。

あ～、幸宏さんにも『WORLD HAPPINESS』の時に「清志郎っぽいね！」と言っていただきました。清志郎さんのスタイリストをされていたヤッコさん(高橋靖子)にも言っていただいて、そう言って頂けるのは本当に嬉しいです。髪もポンパドールで立てたりしましたし。

――そうなんですよ、あの髪の立ち方も清志郎さんを想い出したんです。でも、本当に何をするにしても楽しくて堪らないというのが凄く伝わってくるんですよ。

楽しいです！　まぁ、でもここまでハイスピードでやっているので、色々問題も生じてきているんですが、何か実感が無くて（笑）。みんなでテンヤワンヤしているのが、凄く楽しいんです！！　笑けてくる感じですね（笑）。大変な事があっても、結局は楽しさが勝つんです。ふとした時に「私、こんなに手広くやって！」と思うんですけど、全部やりたいんです、やりたい事は。やってしまうんです。

――1stシングルのカップリング曲｢へーんなのっ｣と2ndシングル｢RUN!!!｣(2018年1月1日発表)のカップリング曲｢ストレート街道｣を、のんさん自身が作詞作曲されていますよね。両曲とも歌詞が凄く強い気持ちが込められていて好きなんです。思った事をシンプルにストレートに強く投げかける感じと言うか。メッセージソングですよね、完全に。

一貫していますね。違う事を書きたいと思うんですが、どうしても似てきちゃうんです。気を抜くと感じ悪い歌詞になるので気を付けています（笑）。「へーんなのっ」は初の作詞作曲なんで、「ポップで可愛い歌にするぞ！」と最初は息巻いていたんですが、気を抜くと全部メッセージになるんです。

――特に｢ストレート街道｣は、そのタイトル通り、どんどんストレートさを増していますよね。

そうですね。「ストレート街道」の方が赤裸々なので恥ずかしいです（笑）。

――いやいや僕は、このまま突き進んで欲しいです。色々な人に作ってもらうのと、自分自身で作るという二本柱があるのはデカイですから。後、もう一点、どうしてもお伺いしたい事があるんですが、のんさんが出演されていたLINEモバイルのCMが凄く好きなんです。元々、キリンジが大好きで、｢エイリアンズ｣という曲が大好きなのもあるんですが。のんさんが壁の前に立たれていて、後ろで｢エイリアンズ｣が流れるという本当に、ただただシンプルなCMなんですが、凄いインパクトがあるんですよ。沁みるんです、あのCM。

わぁ、嬉しいです！　最初に絵コンテを見た時に本当にシンプルだったのですが、映像として想像した時にむちゃくちゃ素敵だなと思いました。同じ画角で、ずっと私がいて「エイリアンズ」が流れて……。究極にシンプルで時が止まるというか……。ちょうど喫茶店で普通にご飯を食べている時に、テレビでサッカー中継が流れていたんですね。そしたら、あのCMが流れた時に一気に1分ほどシーンとなって（笑）。あの1分間は凄かったです……。まぁ、自分が出ているのでむず痒さはあるんですが（笑）。

――（笑）。でも、良い話ですね。あの静寂で惹きつける感じが凄いんですよね、あのCM。

ありがとうございます。本当に「エイリアンズ」は凄い曲ですね。

――のんさんが実際カバーされている｢エイリアンズ｣も凄く素敵なんで、是非とも音源化して欲しいんです。アルバムに入ったりしたら本当に嬉しいのですが、現段階でアルバムに向けて楽曲作りはされていますか？

曲はあります。10数曲はストックがあるので。実は、4曲はレコーディングが済んでいるんですよ。アルバムびっくりすると思いますよ。豪華なんで！

――お節みたいな豪華なアルバムになりそうですね！

お節！！　本当にそうですね（笑）。全部素晴らしいんですよ。1stシングルの時からダメもとで凄い人たちに頼んでいますが、嬉しいことに受けていただいて。私、「怖いもの知らずでいこう！」と思っていて。生意気でいいんだなって。何やっているかわからない夢のような時間を本当に過ごせていますね。

――しっかりと敬意があるわけですから、良い意味で怖いもの知らずで大御所にお願いするのは何の問題も無いですよ。例えばですけど、ローリングストーンズも怖いもの知らずで頼んだら出てくれるかもですよ（笑）。

ローリングストーンズ！！　それは凄いです！　これからが楽しみ過ぎるので、とにかく一生懸命がんばります！

――いやぁ、本当にお聞きしたい事は全てお聴き出来ました。とにかくアルバムを楽しみにしています。ありがとうございました。

ありがとうございました！

取材・文＝鈴木淳史　撮影＝渡邊一生