漫画家・桜沢エリカ、バレエ愛・ハンブルク愛・リアブコ愛を語る!
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桜沢エリカ (撮影:高村直希)
『メイキン・ハッピィ』などの代表作で知られ、自宅での出産や専業主夫の夫との子育てを描くエッセイも人気の漫画家、桜沢エリカは大のバレエ好き!昨年には自身初となるバレエ漫画『バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ』が単行本化され、現在は「女性自身」にて『スタアの時代外伝・バレエで世界に挑んだ男』を連載中。そんな彼女が現在最も楽しみにしているのが、開幕まで1か月を切ったハンブルク・バレエ団の来日公演だ。『ニジンスキー』に至っては全日分購入済(!)の桜沢が語る、同バレエ団の魅力とは……?
桜沢エリカ『バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ』 (C)桜沢エリカ/祥伝社フィールコミックス
実は20年来のバレエオタク!
――ブログを拝読したのですが、ものすごく頻繁にバレエをご覧になっているのですね!
ものすごくではないですが(笑)、観てますね。私よりディープな方はたくさんいらっしゃいますけど、私も十分“オタク”だと思います、同じ公演をアホみたいに何回も観に行ったりしますから(笑)。30歳を越えたくらいの時って、仕事がひと段落して、よくみんなお稽古事を始めたり歯の矯正をし出したりするじゃないですか。私の場合はそれがバレエ鑑賞で、1998~99年あたりから頻繁に観るようになったんです。ほかの舞台芸術も観てはみたんですが、私にとっては、観ていていちばん気持ちがいいのがバレエだったんですよね。
――気持ちがいいというと、具体的にどんなところが?
まず、バレエダンサーの身体が素晴らしい!身体そのものが芸術、というのはほかの舞台にないものだと思います。それと、オーケストラの生の音を浴びるのも気持ちがよくて。音合わせも好きで、客電が落ちてシーンとなった瞬間には大きな高揚感がありますね。あとは、言葉がないところ。セリフも字幕もないから、純粋にその世界に入り込めるんです。言葉がないとストーリーが分からなくて楽しめない、という方もいるかもしれないですが、私の場合「とりあえず観てしまえ」という感じ(笑)。あとからパンフレットで確認することもありますけど、まずは観てしまったほうが、ストーリーも入ってきやすいと思います。
――特にどういう系統の作品あるいはバレエ団が好き、というのはありますか? ブログを拝読する限りだと、万遍なくご覧になっている印象ですが。
万遍なく観ていると、「ここが好き」というのは出てくるものですよね(笑)。バレエ団全体の雰囲気や姿勢で好きになることもあるけれど、多いのはやっぱり、いいダンサーがいるから好き、という場合。私はイケメン好きだから(笑)、マチュー・ガニオみたいな正統派ももちろん大好きなんだけど、味のある人にも惹かれます。今その意味で特に好きなのが、アメリカン・バレエ・シアターのマルセロ・ゴメスと、ハンブルク・バレエ団のアレクサンドル・リアブコ。リアブコはね、見た目はほぼエガちゃんなんですよ(笑)! でも表現力が素晴らしくて、特に狂気をはらんだ演技で、彼の右に出る人はいないんじゃないかな。
漫画と舞台のリンクに感動
――今回の来日公演で上演される『ニジンスキー』は、まさにリアブコの“狂気をはらんだ演技”が存分に観られる演目ですね。
実はね、この作品を全幕で観るのは初めてなんです。去年の3月に、ハンブルクまで観に行こうとして
桜沢エリカ『バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ』 (C)桜沢エリカ/祥伝社フィールコミックス
――『ニジンスキー』でその人生が描かれるニジンスキーと、彼がいた伝説のバレエ団バレエ・リュスは、桜沢さんが手掛けられたバレエ漫画の題材でもあります。
そうなんです。バレエ漫画はずっと描きたい描きたいと思っていたものの、なかなか機会がなくて、ようやく描けたのが『バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ』でした。史実を忠実に追ってはいますけど、今までのディアギレフ像とかニジンスキー像とは、ちょっと違って描けたかなと思っています。『春の祭典』の本番中に、ニジンスキーが舞台袖でテンポを取っているというシーンがあるんですけど、『ジョン・ノイマイヤーの世界』で観た『ニジンスキー』にもそのシーンがあった時は感動しましたね。実は、自分がハンブルクに行くまでに単行本化して、持って行って団員の皆さんに渡そうと計画してたんですよ。行かないことにしたら、気持ちが緩んで出すのが遅れちゃったんですけど(笑)。
――この来日公演は、いよいよ渡すチャンスですね!
「渡す」と言っても、直接面会とかは私、恥ずかしくてできないんですけどね……。インスタでは、自分が描いたイラストをダンサーにタグ付けして載せたりとか、はた迷惑なことをしてるくせに(笑)。テレビ局でいかりや長介さんとかビートたけしさんを見かけても声をかけられないのと同じで、ダンサーに対しては「は~っ!」ってなっちゃうんですよ。だからこの作品も、楽屋の備品として一冊ずつ置いてもらえたら嬉しいなと思ってます(笑)。
桜沢エリカ『バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ』 (C)桜沢エリカ/祥伝社フィールコミックス
ノイマイヤーはやっぱりすごい!
――今回上演される『ニジンスキー』以外の演目についても、ぜひ桜沢さんなりの“ここが楽しみ”ポイントを教えてください。まず、『椿姫』はいかがですか?
前回の来日公演で観た時は、アルマン役のリアブコがもうエガちゃん過ぎて! これ、誉め言葉ですよ(笑)。マルグリットの足元にバタンって倒れたフリをするシーンの面白さが特に印象に残ってるんですけど、ロベルト・ボッレがアルマンを演じた映像を見たら、見え方が全然違ったんですよね。今回リアブコが演じるのは、アルマンじゃなくデ・グリューのほう。ダンサーによる違いを楽しむのもバレエの面白さだから、リアブコのデ・グリュー役はもちろん、今回のアルマン役たちがそのシーンでどう見えるのかも楽しみですね。
――では、先ほども少し話が出た『ジョン・ノイマイヤーの世界』については。
ガラと言ってもただの切り貼りじゃなく、ノイマイヤー役の人がいたりノイマイヤーご本人も登場したりして、ものすご~く良かったです。ベジャールの『くるみ割り人形』とかもそうですけど、振付家が過去の自分を振り返って作る系の作品って、観ていて寂しくなることがありますよね。この『ジョン・ノイマイヤーの世界』にもそういう部分はあるんですけど、それでも観ておいたほうがいいと思える素敵な作品です。
――深いバレエ愛が伝わるお話をありがとうございました!最後に、桜沢さんの思う今のハンブルク・バレエ団の魅力について、改めてお聞かせいただければと思います。
ダンサーも今すごくいいけれど、やっぱりノイマイヤーがすごいんだと思いますね。バレエの新しい潮流、歴史というものを、現在進行形で生み出している人。そんな人が今生きている、というのは本当に貴重なことなので、なるべく多く観ておきたいバレエ団です。そんなバレエ団が来てくれるというんですから、それは全日程買ってしまうというものですよ(笑)。
取材・文=町田麻子 撮影=高村直希
(C)桜沢エリカ/祥伝社フィールコミックス
■会場:東京文化会館 大ホール(東京都)
■日程:2/2(金)~2/4(日)
■振付・演出:ジョン・ノイマイヤー
■美術・装置:ユルゲン・ローゼ
■演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
■日程:2/7(水)
■振付・演出・語り:ジョン・ノイマイヤー
■演奏:特別録音による音源を使用
■会場::東京文化会館 大ホール(東京都)
■日程:2/10(土)~2/12(月・祝)
■振付・舞台装置・衣裳:ジョン・ノイマイヤー
■演奏:特別録音による音源を使用
■料金:S席:¥23,000 A席:¥20,000 B席:¥17,000 C席:¥14,000 D席:¥11,000 E席:¥8,000
※出演者はダンサーの怪我、カンパニーの都合や芸術的判断等で変更になる場合があります。出演者変更にともなう
※未就学児童入場不可
■後援:ドイツ連邦共和国大使館
■問い合わせ:NBS
■公式サイト:http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/-2018.html
■キャンペーン期間:2018/01/17(水)~1/27(土)18:00
■対象公演日 「ニジンスキー」2018/02/10、2018/02/11 2公演のみ
■販売席種:S席:¥23,000、A席:¥20,000
■特典内容:キャンペーン期間内に対象公演のS席、またはA席を購入の方限定で、
桜沢エリカ先生の「バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ 」(祥伝社)をプレゼント!
※1枚購入の方に1冊プレゼントいたします。
※特典の引換は当日会場にて引換券と交換いたします。
※特典引換=観劇日当日「特典引換所」予定
ガラ公演<ジョン・ノイマイヤーの世界>
■会場:ロームシアター京都 メインホール
■
※ユース
※未就学児童入場不可
■出演:ハンブルク・バレエ団
■予定演目:『キャンディード序曲』、『アイ・ガット・リズム』、『くるみ割り人形』、『ヴェニスに死す』、『ペール・ギュント』、『マタイ受難曲』、『クリスマス・オラトリオⅠ-Ⅵ』、『ニジンスキー』、『ハムレット』、『椿姫』、『作品100―モーリスのために』、『マーラー交響曲第3番』
※特別録音による音源を使用
■問合せ先:ロームシアター京都
TEL.075-746-3201(10:00~19:00、年中無休)
■公式サイト:http://rohmtheatrekyoto.jp/program/6776/