KEYTALKの素顔に迫る・第4回「巨匠・寺中友将編」
KEYTALKのメンバーひとりひとりの音楽的ルーツやバンドへの想いに迫る「個人インタビュー企画」。3人目はボーカル&ギターを担当する、巨匠こと寺中友将に迫る。現在も某トレーニングジムに通っていることを公開したり(取材時もプロテインを摂取してました)、ステージ上で破天荒なパフォーマンスを繰り出したりと、常にエンタメ性を忘れない彼のキャラクターはどこから生まれたのか。小学生時代から今後にいたるまでたっぷり語ってくれた。
――巨匠(寺中)は、最初は楽器志向ですか、歌志向ですか。
「えーっと、同時ですね。きっかけは小学生の時なんですけど、すごく仲の良かった友達が転校することになって、クラスでお別れ会を開くことになったんですけど、当時ゆずが流行っていて。当時ちょうど新曲の「友達の唄」という新曲が出たところで、ぴったりだなと思って、もう一人の友達を誘って歌ったのがきっかけですね。もともと母親がギターを弾ける人で、家にギターがあったので、親に教えてもらいました。バレーコードを簡単なものに変えてもらったりして、4つのコードぐらいで弾けるようにしてやりましたね」
――それに味をしめて、これは楽しいぞと。
「はい。これは面白いと思って、そのあともずっと続けて行った感じです。二人組で」
――ちなみに名前は?
「鍋焼姫(笑)。特に意味はなくて、“かぐや姫”みたいなのがいいかなって。全然わかんないです(笑)」
――小学生でギター・デュオというのは、かなり早熟じゃないですか。
「始めたのはその頃ですけど、ちゃんと活動するようになったのは中学からです。学校の文化祭とか、祭りやイベント出させてもらったりとか。中学の時には、熊本ローカルですけど、地元の塾のCMソングとか歌ってました」
――すごい。有名人じゃないですか。
「そんなこともないですけど……当時は結構いろいろやってました」
――その頃ですか、尾崎豊が好きになったのは。
「中学生の時ですね。鍋焼姫の相方に薦められて聴き始めて、ものすごく影響されました。「ダンスホール」という曲があるんですけど、それが今でも目標です。“いつかああいう曲を作りたい”という」
――その頃はもうプロ志向というか、ほぼプロですよね。
「音楽をやっていきたいというのは、ずっと思ってました。でも鍋焼姫の相方とは高校が別になって、あまり活動ができなくなって、時々集まって路上ライブをしたぐらいですね。高校の時はほとんどギターを触らなくて、ぽっかり空いてた感じです。高校3年間は完全にボクシングにのめりこんでました。たぶん、一回音楽に飽きちゃったんでしょうね。部活でも吹奏楽部に入って、ずっと音楽漬けだったから、高校ではスポーツをやりたいなと思って。ボクシングをやってるうちに、ギターには触らなくなったんです。カラオケは好きでよく行ってましたけど」
――時期によってガラリと変わるんですね。やりたいことが。
「そうですね。大学進学を考える時に、ボクシングの推薦もあったんですよ。部活のメンバーはみんな推薦で大学に行ったんですけど、大学でボクシングをやるのはちょっとキツイなと思った時に、“やっぱり音楽かな”と。それからいろんな音楽大学の試験の過去問題を取り寄せまくって。高校3年間まったく音楽の勉強をしてなかったのはヤバイと思って、半年ぐらい猛勉強しました。国語の授業の時も、教科書に音楽の試験問題をはさんでたりとか」
――やる時はやると。
「バーッとハマッちゃう時は、やるみたいです(笑)」
――そして昭和音楽大学に合格して、上京して、KEYTALKのメンバーと出会うことになる。
「僕がまだ加入していない、3人の頃のライブも観に行ってました。武正がボーカルで、めっちゃヘタだった(笑)。でも演奏はすごいカッコよかった。今のKEYTALKよりももっとテクニカル志向で、変拍子入れまくりで決めまくり、みたいな感じでした。武正が歌詞を書かなかったらしくて、適当英語の曲が多かったですね」
――それから巨匠が加入して、曲も書いて、歌うようになって。より歌ものに近づいていくというか。
「だんだん、今の方向性になっていきましたね」
――曲作りで影響を受けたアーティストというと、話に出たゆずとか尾崎豊とか、そのあたりがルーツになりますか。
「そうですね。でもあんまり当時は……今は意識していろんなものを聴こうとしてるんですけど、当時はあんまり広くは聴いてなかったですね。ゆずとか尾崎は別にして、流行りのJ-POPをよく聴いてました。トップ10を毎週チェックして、CDを借りて聴いてました。だからルーツは完全に90年代から2000年代初めのJ-POPですね」
――そして大学二年の頃、小野くんの発案でデモCDを作って各方面に配布したり、バンド活動が本格化していきます。
「そうですね。その時は武正がバンドを引っ張ってくれていて、僕が入った頃は“週1本ライブをやっていこう”という話で。そのぐらいじゃないとノルマも大変で、お金もキツかったんですよ。でもいつのまにか週3本とかになって、武正に引っ張られるままにやっていた感じはありますね。デモを送る時もそうでした。“ああ、そういう風にするんだ”と思って」
――最後に加入して、引っ張られる側だった巨匠が、やがて曲作りや歌の面でバンドをリードする立場に変わっていくわけですけど。
「変わってきたというか、決まってきたというか」
――巨匠は自分で、KEYTALKの中で何の役割だと思ってますか。
「そこなんですよね(笑)。いろいろ考えるんですけど、何だろうな……自分から見て3人の立ち位置は、“こういうことをやる人だ”というのがすごくわかるんですけど、自分のことはよくわかんないんですよ。たぶんずっとわからないものなんだって、自分に言い聞かせてる感じですかね。メンバー4人でやってる中で、何かしら役割は揃っていると思うので、僕は“面白いことやる担当”とかでいいのかなと。曲中で、ギターソロの時間にビール一気飲みしたら面白そうだなと思って、フェスでやってみて盛り上げたり。“ギターソロとビールソロ”とか言ってやってるんですけど」
――面白いけれど、演奏と全然関係ない(笑)。むしろ演奏に支障をきたすんじゃないか(笑)。
「確かに、飲まないほうが全然歌えます(笑)。でもそれ以上に盛り上がります。そっちのほうがうれしいんです」
――もともと、人を喜ばせたい性分なんですかね。
「人が喜んでくれてるのはうれしいです。けっこう緊張しいで、人前に立つのが好きというわけでもないんですけどね。バッと人に注目されると嬉しいんですけど、それを表情に出したくないみたいな。「恥ずかしいです」みたいな顔をしちゃう。そこは自分でもよくわかんないですけど、やっぱり“面白いことをやる担当”ですかね。そう、いまライザップに通ってるんですけど……」
――おおっ。結果にコミットしますか(笑)。
「武道館に合わせて、肉体改造をしようと思って。そのあとに考えてるのは。プロボクサーのライセンスを取ろうかなと思っていて。ライセンス取って公式戦をしたら、面白いんじゃないかな?と思って。あわよくば、ランキング10位ぐらいになれるんじゃないか?とか」
――面白いけれど、それも演奏とは関係ない(笑)。でも“何か面白いことをしたい”という思考は一貫してますね。
「今のところ、それですね。あとは、東京マラソンに出たいとか」
――ミュージシャンのインタビューとは思えない展開ですが(笑)。でも真面目な話、いろんなことをやりたい人生なんですか。音楽に限定せずに。
「そうですね。今までの自分を考えた時に、中学校の時にずっと音楽をやり続けたあと、スポーツをやりたいと思って、一回音楽を投げ出して、ボクシングをして。やっぱり音楽かなと思って……って、たぶん一つのことをやっていたら続かない気がしていて。だから今は音楽をちゃんとやりつつ、ほかにも何か一つ頑張ってるものがあったほうが、音楽を続けられるのかな?と」
――ああ、なるほど。
「意識して、常に別のことを頑張る環境を作っていきたいなと思っているので。しかも中途半端ではなく、やる時はガチでやる」
――巨匠の人間性が見えてきた気がします。だからギターソロとビールソロも両立できると。
「そう(笑)。でも映像で見ると、いつも俺のほうが(カメラに)抜かれるんですよ。武正のギターソロが映らない(笑)。そこはもうちょっとバランスを取りたいなと思ってるんですけど」
――では最後に、巨匠にとってKEYTALKとは?
「たぶん今話したように、“音楽をちゃんとやる”というのは“KEYTALKをちゃんとやる”ということだと思うので。KEYTALKに支えられてるからこそ、ほかのこともすごく楽しめてるのかなと思っています。定番ですけど、僕にとっての支えみたいなものですね。KEYTALKがなかったら、ライザップにも行ってないし、プロボクサーも目指さないと思うので」
インタビュー=宮本英夫 撮影=風間大洋
6th SINGLE「スターリングスター」
「スターリングスター」
1.スターリングスター
フジテレビ系アニメ「ドラゴンボール超(スーパー)」エンディング・テーマ(10月4日〜)
2.鏡花水月
3. summer end
グッズ付き(「KEYTALKオリジナルネックストラップ付きパスケース」)
10,000枚完全限定生産盤(CD+GOODS) VIZL-887 ¥2,200+税
通常盤(CD) VICL-37103 ¥1,200+税