篠田麻里子、片岡鶴太郎が下町のとび一家に! 宅間孝行の「タクフェス春のコメディ祭!『笑う巨塔』」稽古場レポート
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宅間孝行率いるタクフェスの『春のコメディ祭!「笑う巨塔」』が、2018年3月29日より4月8日にかけて東京グローブ座で上演される。キャストには、脚本・演出も手がける宅間の他、篠田麻里子、松本享恭、かとうかず子、鳥居みゆき、そして片岡鶴太郎が名を連ねる。プレス向けに公開された稽古の模様をレポートする。
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傑作コメディ6年ぶりの再演
稽古場には病院の待合室のセットが組まれ、中央には長椅子がいくつか並ぶ。上手にはナースステーションか受付と思われるカウンターがあった。長椅子に腰かけたナースの洋子(梛野里佳子)が、ちょっとした誤解から交際中の医師と無事に仲直りしたらしいシーンの稽古中。宅間は「その役を生きれば、テンションはもっと高いはず」と演出を重ね、時には自身で演じてみせ、キャストたちはそれに応えるべく何度もそのシーンに挑んでいた。
『笑う巨塔』は、2012年まで宅間を中心に活動していた劇団「東京セレソンデラックス」の解散公演で上演された作品で、今回が6年ぶりの再演となる。『白い巨塔』を連想させるタイトルのとおり、物語の舞台は病院。都内のとある場所にある四王病院のロビーで、患者、見舞い客、医者、看護師、水道屋に代議士やその秘書など、様々な立場の登場人物の想いや事情が交錯し、平穏だった病院でとんでもない事態が巻き起こるという。
個性的でありつつも、どこかで会ったことのあるような親しみやすいキャラクターたちが、リアルタイムで入れ替わり立ちかわり登場するノンストップのシチュエーションコメディだ。そのテンポ感は、取材中にも見る間にブラッシュアップされ、心地よい笑いが生まれる瞬間に何度も立ち会うことができた。
片岡は、とびの親方・花田浩美の役。本作は25年ぶりの舞台出演だというが、ステージパフォーマンスにおけるセンスはさすが。近年の“片岡鶴太郎”といえば、画業やヨガに向かうストイックな印象が強いように思われる。しかしタクフェスの稽古場の片岡は、自身の出番になればスッと下町のおやじに早がわり。江戸っ子らしい言葉つきと愛嬌いっぱいの表情が、自然なおかしみを醸し出す。劇中、トイレから出てきて待合室を通過していくだけのシーンでさえ、皆の笑いをがっつりとさらっていた。
(左から)片岡鶴太郎、佐藤祐基 威勢の良いべらんめえ口調で、アイスクリームについてお小言中
四王病院の看護師長・絹枝を演じるのは、鳥居みゆき。師長としてのキャラをしっかり務めつつ、いかにも鳥居らしいエキセントリックな魅力も惜しみなく発揮。越路吹雪の名曲を歌い上げるシーンは、何度観ても笑わずにはいられない。そんな鳥居とも安定感のある掛け合いをみせていたのは、宅間孝行作品でお馴染みの越村友一。独自の存在感でタクフェスの世界にスパイスを加えていた。
鳥居みゆき こちらも深刻な表情にみえるが、実は大爆笑の一幕
篠田は、浩美(片岡)の娘・ふみ役を屈託のない笑顔で演じ、佐藤祐基や堀川絵美らとともに、人情味あふれる“とび一家”の空気感を作っていた。取材後にスタッフの方より聞かされて驚いたのは、片岡と篠田にとって本格的な稽古はこの日が初めてだったということ。篠田も片岡も、そうとは思えない溶け込みようだった。宅間の演出を受けながら、本番に向けどう仕上がっていくのか期待が膨らむ。
(左から)篠田まり子、宅間孝行 劇中は溌剌とした笑顔だったが、演出を受けるときの表情は真剣
先述の梛野のシーンには、長台詞も特別なアクションもない。ともすれば日常生活でもありえる何気ない場面だった。しかし宅間は人物のテンションや仕草にも強くこだわっていた。その丹念な演出の理由は、次の場面をみることで「なるほど!」と納得。練り込まれた脚本と演出の中では、何気ないと思われた1つ1つの要素が、違和感のない流れと次の笑いに続く作用をもっていたと分ったからだ。キャストが集中力を切らすことなく、役柄に挑みつづけられるのは、作品の確固たる正解が宅間の中にあると知っているからにちがいない。
本作では篠田麻里子や松本享恭といった若手キャストの他、かとうかず子、石井愃一、梅垣義明といったベテラン勢も出演する。石井とかとうが若手のシーンを見守りながら「(振り返りが)逆、逆!」「そうそう」など、思わず小声でエールをおくる姿は印象的だった。
稽古が終了すると、台本を手に宅間のもとに駆け寄る出演者。その一方では、松本ら出演者が和気あいあいと何やら準備をはじめている様子も見られた(この日は稽古場で軽く慰労会があったそう!)。このカンパニーが、メリハリのある空気の中、心も体も頭もフル回転で最高の笑いとエンタテイメントを目指しているのを感じられる取材となった。
門出の季節をめいっぱい笑って迎えたい方にぜひ観てほしい『タクフェス春のコメディ祭!笑う巨塔』。東京公演は3月29日から4月8日まで。その後、愛知、兵庫、愛媛、福井を巡演する予定。
松本享恭は、代議士の息子であり秘書の山之内蓮太郎役
公演情報
■作・演出:宅間孝行
■出演:宅間孝行、篠田麻里子、片岡鶴太郎 ほか
■公演日時・会場
【東京公演】2018年3月29日(木)~4月8日(日)東京グローブ座
【愛知公演】2018年4月13日(金)~15日(日)ウインクあいち大ホール
【兵庫公演】2018年4月17日(火)~22日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【愛媛公演】2018年4月24日(火)ひめぎんホール サブホール
【福井公演】2018年4月30日(月・休)越前市文化センター 大ホール
■アフタートーク登壇者
【東京・東京グローブ座】
3月30日(金)14時公演 宅間孝行、篠田麻里子、石井愃一、佐藤祐基、堀川絵美
4月2日(月)14時公演 宅間孝行、松本享恭、越村友一、豊泉志織、かとうかず子
4月3日(火)14時公演 宅間孝行、梅垣義明、想乃、渡辺碧斗、鳥居みゆき
4月6日(金)14時公演 宅間孝行、梛野里佳子、北代高士、片岡鶴太郎
※登壇者は変更の可能性があります。
■公式サイト:http://takufes.jp/kyotou/