日本が世界に誇るドラマー/パーカッショニスト・石川直にインタビュー! 2018年夏の超大型イベント『ワンピース音宴』出演に懸ける想いとは
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パーカッショニストの石川直
今年8月に世界初演されるブラス・エンターテイメント『ワンピース音宴〜イーストブルー編~』。パフォーマーのダンスやアクション、そしてミュージシャンの演奏により、大ヒットアニメ『ONE PIECE』の世界を表現するかつてないステージだ。本作への出演が発表された、世界屈指のドラマー/パーカッショニストである石川直(いしかわ・なおき)に舞台への思いなどを聞いた。
面白いものになるのは間違いない
パーカッショニストの石川直
――『ワンピース音宴』に出演が決まった時の率直な気持ちを教えてください。
どういうものになるのかまだ見えていない、世界初演でこれから創るということなので、そういった意味でワクワクするところがありますね。僕も『ONE PIECE』の存在は昔から知っているのですが、そこまで詳しくはありません。でも昔から興味は持っていたので、これを機に『ONE PIECE』を色々学んでいきたいです。
あと、アニメーション映像と、僕らマーチングあがりの人間たちのライブパフォーマンスと、役者さんの演技とがコラボレーションします。このバランスは新たな試みだと思います。どんな感じに仕上がるのか、僕らはどんなアイディアを出していこうか、作り手としてもパフォーマーとしても色々と想像が膨らみます。面白いものになるのは間違いないだろうなと思いますね。麦わら海賊団じゃないですけど、いろいろな経歴を持っている人達が集まって一つのものを作るというおもしろさがあるんじゃないかな、と。『ONE PIECE』は世界中にファンがいる作品ですから、もともとの作品の良さを僕らのパフォーマンスで世界観を広げられるような、もしくは伝えられるようなものにしていきたいし、していかないといけないと思います。
――『ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー』を昨年拝見したのですが、本当に素晴らしかったです。石川さんのご活躍もあって、最近パーカッションが改めて注目されているのかなと思うのですが、いかがでしょうか?
どうですかね……僕は日々の自分のやるべきことに追われていて。淡々と仕事をこなしながら日々を送るという感じなので……(笑)。注目していただけるのは素晴らしいことですし、僕らのような仕事をしている人間から見れば、どんどん盛り上げていきたいという気持ちはあります。
今回共演する中部敬之なんかは、パフォーマンス集団を自分で作るなど、まだ若いのに精力的に真面目にやっている素晴らしい若者なので、彼と一緒にこういうツアー作品に参加できて製作を一緒にやれるのは楽しみで、嬉しい機会です。
あと、演出の金谷かほりさんとご一緒できるのも嬉しいですね。かねがね噂は聞いておりましたし、そういった意味でもライブパーカッション、ライブパフォーマンスを含めて、違った形で「こう言うのもありなんだ!」というのを皆さんに知っていただけたら、僕らとしても嬉しいです。
「一目惚れ」からキャリアが始まる
パーカッショニストの石川直
――15歳からパーカッションを始められたそうですね。
そうですね。15歳ぐらいからアメリカで始めました。マーチングのドラムがやりたくて、パーカッションを始めたんです。最初はマーチングのドラムのグループには入れてもらえなかったので、最初はレッスンを受けながらだったんですが、今、自分がやっているものに、一目惚れしました。これをやりたいと思ったのが、マーチングのドラムラインだったんです。
――15歳から夢を追い続けて、それを現に叶えてらっしゃる。そのモチベーションは何でしょう? 一線に立ち続けるのはかなり大変だと思うのですが……
そうですね。楽な仕事ではないかなと思います。ミュージシャンとアスリートの間に位置するような感じだなと自分では思っています。ハードだからこそ超えた時の達成感であったり、続けた後に得られる経験値であったり……心身ともに鍛えられるんですよ。技を磨いて、経験値をためて、新たなものができるようになるというのが、僕としてはプラスになっている。
なので、夢を追ってというよりかは……分かりやすく夢を追っていたのは20歳そこそこぐらいまでかな。それ以降は分りやすい目標というものがなくて。そういう意味ではひとつなぎの秘宝を追い続けるルフィたちが羨ましくもありますね。今の状況の中でおそらく自分が行きたいのは、こっちの方向なんじゃないのかなと模索しながら選んでいって、行った先で一番いい形を作られるようにやっています。
それぞれのグループに入って、グループの中でポジションを頂いたり、それがたまたま日本でまた呼ばれるようになり。日本での活動がスタートして、そこからまた色々な方に出会って、例えば『ブラスト!』を見ていただいて、そこから舞台『Endless SHOCK』の誘いを頂いたりして。目指していったというより、流れが生まれていったという感じでしょうか。自分なりにやれることをやらせていただいて、色々な流れで今に至ります。やっぱり出会いだと思うんですよね、今回のお話を頂いて『ONE PIECE』を読み込んでみて、そこに凄く共感しました。
――今回読み込んで『ONE PIECE』で好きなシーンや、キャラクターなどはいましたか?
やはり麦わらの一味は魅力的です。ルフィの仲間思いなところは素敵だし、ゾロのストイックな雰囲気もカッコイイ。個人的にはウソップの人間味あるところと言うか、弱い所を内包している人物像は凄く共感する部分がありますね。また、音楽家のブルックは同じ音楽で生きている人間として、登場すると凄く注目してしまいます。
パーカッショニストの石川直
波長や呼吸やリズムが合う瞬間を時空間で楽しんで
――改めて、パーカッションの魅力はどんなところですか?
単純に僕らは演奏していて楽しいし、気持ちいい。ドーパミンやアドレナリンが出まくっているんでしょうね(笑)。かなりの体力的な限界値まで追い込みながらも、自分の持っている技をぴったりと周りの人たちにからめて、リズムや音の波長、呼吸がシンクロした時、ものすごい状態が生まれるんですよね。経験したことがなければ言葉だけでは伝わりにくいものなのかなと思うんですが……。
必ずしもこれは音楽の中だけで起こることではないですよ。例えば、4、5人の飲み会で話をしていて、バラバラに喋っていたのが、5人が全く同じ温度で、同じ話題に没頭できた瞬間に生まれるあの空気感や熱ってあるじゃないですか。それは飲み会で偶発的に生まれるものだったりしますけど、作品となると、それをあえて仕込んで行って、それをかなりの高い確率で、かなりの高いクオリティーを毎回発生させていくことが求められるんです。
それがこういう作品を作っていく時の醍醐味であり面白さなのかな。やっている側も同調した時の瞬間を楽しんでいますし、お客さんたちもそれを見ることで、頭で理解するというよりも感じてすごい楽しい瞬間があるはず。時間だけでなく空間も含めた時空間的です。波長、タイミング、お客さんの空気感、演者たちの空気感、いろんなものが合致した時に生まれるんです。映像やDVDではわからない、その場にいた人が体感できるものが、その時空間なのかなと。
長年の経験値と長い期間のリハーサル期間、製作者の裏方の人間含めて作り上げてきたものを結晶化させたものをどんと解き放つ。そこでお客さんという要素が新たに刺激を加えて...という感じですかね。ライブパフォーマンス集団の醍醐味はそこにあると思います。
パーカッショニストの石川直
――最後に一言お願いします!
音楽パフォーマンスとアニメーション映像、そこに役者さんたちの演技も入ってくるという今までにない組み合わせの舞台です。この3つが合わさって、今まで作られたものがそもそもない。その上題材が世界的な大ヒット作『ONE PIECE』。アドベンチャラスなストーリーで、海賊というロマン、そして友情。『ONE PIECE』は人と人のつながりの大切さを説いていて、夢を与える作品だと思っています。アニメーションとはいえ、語っていることは普遍的なことであり、人々が忘れかけている優しさや愛情を描いている。そういうところが素晴らしいと思いますし、そういう内容だから続いていると思うんです。
物語をさらに僕らのブラス・エンターテイメント的なパフォーマンスで彩りたい。楽しいパフォーマンス、おしゃれなパフォーマンス、超絶技巧的な「すげぇ」と思っていただけるようなパフォーマンス。そういったものを混ぜていきたいです。僕らがやっている音楽パフォーマンスというのは、心の繋がりなくしては行われない。外国人のメンバーにも『ONE PIECE』の英語版でも勉強していただいて(笑)、僕ももっと勉強して、作品のファンの期待に応えられるようにしたいですね。
まずは僕らがストーリーの素晴らしさ、根底にあるものを更に理解した上でパフォーマンスにも生かしたい。相性の非常にいいブラス・エンターテイメントと『ONE PIECE』という作品、今までになかったアニメーションの融合ということで、見たことないものをお見せできるのではないかなと思っています。時空間をその場でぜひ体感していただきたいと思います!
パーカッショニストの石川直
インタビュー・文・撮影=五月女菜穂
公演情報
日時:2018年8月12日(日)〜9月2日(日) 全28公演
※3歳以下のご入場はお断り致します。
◆「ワンピース音宴」特製クリアファイル付き最速先行販売:イープラスにて3月2日(金)まで受付中
◆先行販売:各プレイガイドより3月3日(土) 10:00~販売開始
◆公式ホームページ: https://otoutage.com