尾上菊五郎・片岡仁左衛門ら出演 歌舞伎座『四月大歌舞伎』4月2日初日開幕レポート
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尾上菊五郎、片岡仁左衛門、中村錦之助、坂東亀蔵らが出演する『四月大歌舞伎』が、2018年4月2日(月)から歌舞伎座にて開幕した。本公演は今年が明治元年から満150年に当たる年ということで、明治への道を開いた物語を皮切りに、悪を題材に取った通し狂言2本を上演する。
昼の部では練り直され久々の上演となる『裏表先代萩(うらおもてせんだいはぎ)』、夜の部では片岡仁左衛門が一世一代と銘打ち演じ納めとなる『絵本合法衢』と、注目の演目が揃っている。また、昼の部の幕開きを飾るのは、明治百五十年記念『西郷と勝(さいごうとかつ)』だ。激動の時代のなかで、江戸城無血開城を決断した西郷隆盛を尾上松緑が、勝海舟を中村錦之助で上演する。『西郷と勝』は江戸の庶民の生活を守るために奮闘した英傑二人を描き出す物語だ。
二幕目は、音羽屋にゆかりの深い通し狂言『裏表先代萩』を上演する。伊達家の御家騒動を題材に、謀反を企む執権仁木弾正の陰謀を「表」、下男小助による医者殺しを「裏」とした二つの視点で進む物語だ。今公演では、時代物の実悪仁木弾正と世話物の悪党小助、異なる悪の二役を尾上菊五郎が23年ぶりに演じるにあたり菊五郎自ら台本を練り直し、よりドラマチックな展開に仕上げた見逃せない舞台となっている。また、我が子を犠牲にしてまで忠義を尽くす女方の大役、政岡を中村時蔵が初役にて勤める。
一方、夜の部は、鶴屋南北が描く悪の世界『絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ) 』を通し狂言として見ることができる。御家横領を狙う左枝大学之助と強欲な無頼漢太平次を、片岡仁左衛門が二役で勤める。大望成就のためなら手段を選ばない大名侍と市井の悪党、立場の違う二人の悪人の演じ分けが見どころだ。すべての幕で残忍な殺しの場面が描かれ、南北作品ならではの退廃的な気分と江戸時代の爛熟した雰囲気を楽しむことができる。大学之助と太平次を演じるのは、5度目となる仁左衛門、今回「一世一代」と銘打ち演じ納めとなる。
いずれも見どころ溢れる充実した内容だ。歌舞伎座で待望の初上演、極められた悪の美を堪能しよう。
公演情報
日時:2018年4月2日(月)~4月26日(木)
会場:歌舞伎座
出演:尾上菊五郎、片岡仁左衛門 、中村錦之助、坂東亀蔵ほか
【昼の部】
明治百五十年記念
真山青果作「江戸城総攻」より
大場正昭 演出
一、西郷と勝(さいごうとかつ)
梅照葉錦伊達織
二、裏表先代萩(うらおもてせんだいはぎ)
大場道益宅
足利家御殿
同 床下
小助対決
仁木刃傷
四世鶴屋南北 作
奈河彰輔 補綴・演出
片岡仁左衛門 監修
通し狂言
絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)
立場の太平次
片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候
序 幕 第一場 多賀家水門口の場
第二場 多賀領鷹野の場
第三場 多賀家陣屋の場
第二場 今出川道具屋の場
第三場 妙覚寺裏手の場
第二場 倉狩峠一つ家の場
第三場 倉狩峠古宮の場
第四場 元の一つ家の場
第二場 閻魔堂の場
1階桟敷席 20,000円