劇団番町ボーイズ☆『眠れない羊』安井一真、糸川耀士郎、二葉勇クロストーク「11回目の本公演は初の会話劇!」
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(左から)二葉勇、安井一真、糸川耀士郎
劇団番町ボーイズ☆が2018年5月16日(水)より、第11回本公演『眠れない羊~番町ボーイズ☆の場合~』を上演する。脚本&演出に空想組曲のほさかようを迎えた本作は、とあるお屋敷に仕える執事たちの物語を描くミステリーだ。
出演するメンバーを代表して、安井一真、糸川耀士郎、二葉勇に話を聞いた。
(左から)二葉勇、糸川耀士郎、安井一真
主が事故で亡くなってから1年
森の中に佇む屋敷には、
生前彼に仕えていた従順で忠実な執事達が集まっていた。
主を偲び、厳かに夜会が開かれる。
屋敷での思い出を語り合いながら、静かに夜が更けていく。
しかし、梟が鳴く頃、紅茶を注ぎながら一人の執事が言った。
「ご主人様は、殺されて当然の方でございました」
こぼれた紅茶の染みはテーブルクロスに広がり、
足元を濡らし、やがてそれぞれが抱える秘密と共に
ゆっくりと屋敷を沈めていく……
役者としての成長を感じる日々
ーー番町ボーイズ☆の本公演も11回目となりました、最初の頃と比べて、自分自身の変化を感じますか?
全員:感じますねー!
安井:最初の頃はただ台本を読んでいる状態でしたが、今は台詞の中でその役を「生きる」ことができるようになりました。もちろんまだまだできていないところもたくさんありますが。
二葉:本読みの時点でその場の景色や皆の空気感が想像できるようになったので、稽古場でいろいろなチャレンジができるようになりました。ここでアドリブ入れてみようかなって自然に分かるようになりましたね。
糸川:(二葉)勇に似ているんですけど、僕も演出家さんにこうしてみたい、と自分の意見を言うことができるようになりました。最近は、2.5次元の外部舞台に出ることが多いんですが、そういう場だと原作をまず大事にして、自分は2.5次元のキャラクターとしてできることを探ったり……。そこで役者としてどういう自分でいればいいかを考えるようになれました。
ーー「役者」としてステップアップした皆さんが迎える11回目の舞台ですが、今回は番町ボーイズ☆内オーディションをせず、ご指名で出演者が決まったそうですね。その時の心境など教えてください。
安井:役をいただいたことより、自分の名前が最初に書かれていたことの方が驚きで!緊張が走りましたね。今まではそれこそ(糸川)耀士郎とか、勇とかの名前が先に出ていて僕らを引っ張ってくれていたのに、今後は僕が先陣を切る立場。自分の中でも成長できる機会にしたいですね。
ーートップクレジットってやはり緊張しますよね。「座長」とお呼びしてもよろしいでしょうか?
二葉・糸川:「座長」でいいでしょう(笑)!
安井:止めてくれよ~(笑)。
ーーさて、糸川さんと二葉さんにも同じ質問を。このお仕事をいただいたときの心境は?
糸川:舞台『空空漠漠明明白白』の時くらい少人数でやる舞台であり、会話劇です。『空空~』のときもそうだったんですが、こういう作品はメンバーの成長の見せどころだなと感じています。これで舞台が成立できればファンの方だけでなく、同業者の方からも「あ、番町ボーイズ☆っておもしろい芝居をするんだね」と思ってもらえるチャンスですし。
二葉:僕はこの『眠れない羊』が会話劇だと聞いてすごく嬉しかったです。以前からプロデューサーの方に会話劇をやりたいと言っていたので。自分で言うのも何なんですが、自分は会話劇がいちばん自分のポテンシャルを出せると思っていて、これまでいろいろな勉強をしてきたんです。だからこそ会話劇をやりたかった、という強い想いがありました。この作品で僕の新たな一面を見ていただきたいです。
(左から)二葉勇、糸川耀士郎
ーー二葉さんが会話劇に興味を持ったのはどんな作品がきっかけでしたか?
二葉:もともと映画作品での会話劇から入ったんです。舞台作品にもなっていますが三谷幸喜さんの『12人の優しい日本人』がすごく好きで。ワンシチュエーションもので、キャストは皆出ずっぱり。ああ、こういう作品をやってみたいなって思っていて。今回の作品もほぼワンシチュエーションものなんです。
『眠れない羊』は全員が主人公!?
ーー今回上演する『眠れない羊』についてお話を聞かせてください。台本を読んでみて皆さんの感想は??
安井:先の展開がどんどん気になっていく作品です。ここまで台詞を追いかけたくなる台本はなかなかなかったように思います。台詞を読んで、前のページに戻って、もう一度読み直してみたり……。こんなに事細かに読んだのは初めてです。
糸川:ミステリーは番町ボーイズ☆ではやったことがないジャンル。演じる側として腕の見せどころだよね。だからみんなで仲良くやるだけでなく、作品を突き詰めて厳しく作っていかないとね。
二葉:これまでの芝居では、メインキャストに台詞量が偏ることもあったんですが、この作品は、皆、均等に台詞があり、さらに二人だけでやり取りする場面が、キャストそれぞれにあるんです。ファンの方たちは皆さん「推し」がいると思うんですが、誰を中心に観に来たとしても皆が楽しんで観劇できると思いますよ。
ーー今回の作品について、脚本・演出のほさかさんとはどんな話をされていますか?
安井:初めて本読みをやったとき、ほさかさんが「皆、それぞれのキャラクターに合ってる!」と言ってくださったので、安心して演じることができると思いました。
ーーその「合ってる!」と言われた皆さんの役どころが気になりますね。どのような人物を演じられるんですか?
安井:僕が演じる「丸若」は新米の執事。お屋敷にやってきたばかりなんですが、とにかく真っ直ぐで爽やかな好青年。真っ直ぐすぎて思ったことを口に出してしまうし、すぐ行動してしまう。僕自身と……自分で言うのも何ですが、どこか似ていると思います(笑)。
ーー顔が赤くなってますよ(笑)。
安井:(笑)。似ていない部分は「芯の強さ」。僕はどちらかというと周りに順応してしまうタイプなので、丸若が羨ましいです。
二葉:「小塚」は滅茶苦茶おもしろくなりそうな役です。やり甲斐のある役、キーマンとなる役だなと……あんまり言っちゃうと観るときの楽しみを奪ってしまいそうです。
安井:「小塚」は勇に似ているよね。性格が特に。勇が演じている役なんですが、いつの間にか勇がそのまま素でやっているようで、違和感がないんです。
糸川:僕は「青年」役。執事じゃないんですよ。で、台本を読んだら「お、ここで登場するんだ……」と。詳しくは言えないんですが、この作品のスパイスになりそうです。「SPICE」さんのインタビューだけに(笑)!
糸川耀士郎
ーーさりげないPR、ありがとうございます(笑)。
安井:さっき勇が自分の役に似ているって話をしましたが、ここにいないメンバーもそれぞれが自分自身に似ているなって感じています。
二葉:ほさかさんは、僕たちのこれまでの舞台のDVDを全作観たって話してくださったんです。僕らがどんな役者で、どのような演技をするかは理解いただいているように思いますね。
ーーファンの方も楽しめそうですね。「いつもの彼らのような……」って思いながらご覧いただけそう!
安井:そういえば、さっき僕の名前が一番上に出ているって話をしましたが、実は全員が主人公のように見えてくる話でもあるんですよ。
番町ボーイズ☆の中で、誰の執事になりたい?誰を執事にしたい?
ーー執事といえば、必ず「ご主人様」という存在がいる訳ですが、例えば番町ボーイズ☆の中で誰がご主人様ならお仕えしたいと思いますか?
安井:僕はダオ(志村禎雄)ですね。とても優しくて怒らなそうだから。
二葉:僕もダオだなあ。絶対怒らない。マッサージとかしてくれそう。
糸川:俺は全員嫌だな……(笑)。
ーー逆に自分がご主人様のほうだとしたら、誰に執事をやってほしいですか?
全員:(しばらく考える)
安井:じゃあ、糸川で。
糸川:おい(笑)!
安井:こき使ってやりたい(笑)。
糸川:一日で辞めてやるわ(笑)!
二葉:俺は(木原)瑠生かなあ。瑠生はまじめにやってくれそう。
安井:でもあいつは、ディナーをつまみ食いしそうだよ(笑)!
糸川:僕は(松本)大志くんかな。
二葉:あいつはポンコツだぞ(笑)!
安井:洗濯とかしてくれなさそうだよ(笑)!
糸川:(笑)。もう執事としての能力は求めなくていいや。一緒にゲームとかして遊んでくれればいいな。
全員:(笑)。
役者としてお互いをどう思う?そして今後の展開は?
ーー番町ボーイズ☆結成から今秋、4年目に突入します。徐々に長い付き合いになってきたお互いの役者としての魅力をどのように感じていらっしゃいますか?
安井:耀士郎は同い年なんですけど、毎回会う度に成長している気がします。役者としてだけでなく、人間としても。同世代だからこそなんですが、常に変化しているのが羨ましいなって。
勇はとにかくおもしろい。ただ、勇はアドリブがうまいんだけど、本読みのときに自分が言ったアドリブの台詞で自分で笑ってるんですよ!そうしたら周りも巻き込まれてしまって(笑)。
二葉:だって自分で何かひらめいたときに頭の中でこうなってこうなって……と展開を想像するとおかしくなっちゃうんだよ(笑)。
糸川:一真はどこに行っても好かれる人間性が魅力ですね。ステージに出てないときも裏表がなくて、誰に対してもいい人。昔から変わらないですね。そういう性格が芝居をやっているときにも役に出ている気がします。
勇は男気があるんです。外部舞台の現場でも勇のようなキャラクターはなかなかいませんね。また、本読みのときにもいろいろ挑戦しているし、自分が持ってきたプランを提示したり。演出家さんや客演の方の懐にすっと入り、お芝居の話を聞いていたりするんです。そういうことって狙ってできることではないので、男性も女性もそういう勇に惹かれるんだろうなあ。僕は自分を出すのが苦手なんです。
二葉:一真は最初、台詞が棒読みだった(笑)。でも『あんさんぶるスターズ!』を経験して戻ってきたら、役者として一気に成長したなと感じました。役者としての一真の魅力ですが、例え脇役だったとしてもなんとなく目が吸い寄せられるんです。一真がやるとおいしい役になる、そういうことができる人間ですね。
耀士郎は役の幅が広い、コミカルな役でも愚直な役でもその役の魅力を出すのが上手だなと思います。僕より年下ですが、勉強になるしライバルだと思っています。
二葉勇
ーー今後の話ですが、自分たちで台本を書いてみたい、あるいは演出をしてみたいという気持ちはありますか?
二葉:めっちゃあります!文章を書くのは苦手なので台本を書くのは難しそうですが、演出はしてみたいです。僕たちは定期的に番町ボーイズ☆ライブをやっていまして、先日のライブの冒頭を物語テイストでやったんですが、そのパートの台本はメンバーの西原健太が書きました。こういったチャレンジは今後もやってみたい、とメンバー全員が思っています。
糸川:今はまだ経験もないですが、今後は僕らだけで舞台を作っていけるようになりたいし、今から経験を積んでおきたいですね。
お客様のために、どんな執事になりたいですか?
ーーでは最後に。今回の舞台を楽しみにしているファンの方へのメッセージと、もしファンの方が自分のご主人様ならどんな執事になりたいか、あわせてお願いします!
安井:え、僕から!?(照)11回目となる本公演では、さらに新しいことに挑戦していきたいと思います。で、僕が執事なら……ちゃんと主に忠実に仕え、どんなわがままも聞く執事になりたいです!これってすごく恥ずかしいね。
糸川:この舞台、本当に展開が気になる物語です。「これってこの伏線だったんだ」とか気になると思います。最初は「何なのこのシーン!」って思うかもしれませんが、途中から「いやあ……ドラマチックなことしてくるねえ、ほさかさん!」って思える作品です。そこで演じる僕らも繊細な芝居を心がけて、この舞台をまた観たい、と思ってもらえるようにしたいです。僕が執事になったら、ご主人様と一緒に辛い時も苦しいときも寄り添って走っていけるような、高め合えるような執事になりたいです。
二葉:番町ボーイズ☆初めての会話劇です。皆さんがこれまで見たことがない僕らをこの舞台で観ることができるんじゃないかなと思います。僕はほさかさんの台本を読んで、めちゃくちゃ物語に吸い込まれるような感覚を味わいました。だからお客さんもこのお屋敷に吸い込まれ、どのように物語が進むのか、僕らと一体となるような感覚を楽しみにしてください。そして僕が執事になるなら、この役でも明るくおもしろい執事なので、ただ仕事をこなすだけではなく、ご主人様が辛いときでも笑かしてあげられるような執事になりたいです。
糸川:あ、俺、青年役だ……途中で気がついたよ!執事役じゃなかった(笑)!じゃあ、どんな青年になりたいかというと…何事にもがんばる純粋な青年になりたいです(笑)。
取材・文=こむらさき
撮影=オフィシャル提供
公演情報
『眠れない羊~番町ボーイズ☆の場合~』
■会場:恵比寿・エコー劇場(〒150-0011 東京都渋谷区東3-18-3)
■脚本・演出:ほさかよう(空想組曲)
■出演/役名:
安井一真/丸若
二葉勇/小塚
籾木芳仁/神泉
砂原健佑/進藤
木原瑠生/日向
千綿勇平/深山
織部典成/広太
糸川耀士郎/青年
大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)/大蔵