『レディ・プレイヤー1』これぞ体感する映画 オタクよ、ゲーマーよ、今こそ集え! #野水映画“俺たちスーパーウォッチメン”第五十回

2018.4.22
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(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

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TVアニメ『デート・ア・ライブ  DATE A LIVE』シリーズや、『艦隊これくしょん -艦これ-』への出演で知られる声優・野水伊織。女優・歌手としても活躍中の才人だが、彼女の映画フリークとしての顔をご存じだろうか?『ロンドンゾンビ紀行』から『ムカデ人間』シリーズ、スマッシュヒットした『マッドマックス  怒りのデス・ロード』まで……野水は寝る間を惜しんで映画を鑑賞し、その本数は劇場・DVDあわせて年間200本にのぼるという。この企画は、映画に対する尋常ならざる情熱を持つ野水が、独自の観点で今オススメの作品を語るコーナーである。


私は推し俳優で作品を追いかけることも多い、ほんのりとミーハー気質なのだが、中でもゾンビコメディ『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04)などで知られるサイモン・ペッグが大好き。そして、以前紹介した、やはりゾンビコメディ『ゾンビーワールドへようこそ』で主演していたタイ・シェリダンも密かに推していた。その二人が共演する作品が決まった!ということで、かねてより期待していた作品があるのだが……それが、俳優がどうのこうのだけの騒ぎではないほどに話題の、スティーブン・スピルバーグ監督作『レディ・プレイヤー1』だ。

舞台は2045年。荒廃した現実から逃れるため、若者たちは「オアシス」と呼ばれるVR(仮想現実)の世界に没入していった。そんなある日、オアシスの創始者である億万長者ジェームズ・ハリデーが亡くなり、彼の遺言が発表される。それは、「オアシスに眠る3つの謎を解いた者に、全財産とこの世界のすべてを与える」というもの。現実ではパッとしない毎日を送っていた少年・ウェイドは、オアシスの所有権と56兆円もの財産を巡る争奪戦に参加。ひとり。VR世界で出会った仲間たちとともに奮闘するが、世界の覇権を握ろうとする企業の暗躍など、思いもよらない展開を経て現実世界をも巻き込む争いに身を投じてゆく。

ゲームが好きならなおさら響く世界観

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スティーブン・スピルバーグといえば、『ジョーズ』(75)や『E.T.』(82)をはじめ、数々の有名作を生み出した監督。映画に詳しい方でなくとも知っているだろう。そんな監督が今回作り上げたのは、2011年に刊行された『ゲームウォーズ』という小説が原作とした、VR(バーチャルリアリティ)=仮想現実の世界展開するゲームの話だ。荒廃した世界、人々が娯楽を求めて逃げ込む仮想現実、なりたい姿になれる万能感……もうこの設定だけで私好みすぎてドッキドキだ。しかし私だけではなく、おそらくゲームが好きな人には響く作品だと思うのだ。特に、ファミコンあるいはそれ以前のレトロゲーから、現在のゲームハードにまで馴染みがあれば、なおさら。
 

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冒頭、主人公・ウェイドがゴーグルを付けオアシス(VRの世界)に入り込むシーンから、私は「おぉー!」と声を上げそうになった。観ている自分もVRの世界に吸い込まれるような、体が動いてしまうような、そんな不思議な感覚があったからだ。VRのゲームを遊んだことがあって、その浮遊感を知る方ならば、私のように既視感を覚えるのではないだろうか。あるいは、映画館で4DXや、ディズニーランドのアトラクション『スター・ツアーズ』を体験したことがある方も、「あ、オアシスに吸い込まれる!」となると思う。そしてオアシスには、食事睡眠以外のことならなんでもできる、完全無欠なバーチャル世界が広がっている。そこは、私たちがまだ見たことのない“第二の世界”なのだ。

 

キャラクター探しだけじゃない!王道展開の熱さ

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オアシスの世界へは、みんなアバター(自分の分身となるキャラクター)となって入ることとなる。ウェイドはパーシヴァルというユーザーネームで、『ファイナルファンタジー』に出てきそうな、銀髪のアバターキャラクターを使っている。彼のようにオリジナルのキャラクターをアバターにしている人もいるが、オアシスでは既存のアニメやゲームのキャラクターも闊歩している。人間のキャラクターだけではなく、サンリオの可愛いキャラクターたちが歩いているシーンもあった!様々な作品の様々なキャラクターが登場するので、目で追うだけでもうれしい悲鳴が出てしまう。その数があまりも多すぎて、一度観たくらいでは把握しきれなかったのが悔しいくらい。ちなみに私のテンションが上がったのは、2016年の発売当初から現在まで飽きずにプレイしている対戦ゲーム『オーバーウォッチ』の女性キャラクター・トレーサーと、私が最も愛するアニメ『カウボーイビバップ』に登場する機体・ソードフィッシュⅡだ!

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つい私たちもウェイドのように、有名キャラクターというイースターエッグ(作中の隠し要素)探しに夢中になってしまうと思うのだが、ストーリーにもしっかり注目してほしい。ハリデーの遺言の謎を解くためのゲームは、一筋縄ではいかないものばかり。まさに、ロールプレイングゲームで特別なアイテムを探すためのクエストそのものだ。しかも、謎が解けたとしても、そのアイテムを手に入れるためにはプレイヤーの腕(テクニック)が求められたりもするという、何とも激ムズなゲームなのである。そのゲームを、ウェイドは一人ではなく、オアシスで出会った仲間たちと力を合わせてクリアしてゆく。そして、その仲間たちと現実世界でも強大な敵に立ち向かうのだ。ゲーマーならなおのことだが、ゲームをやらない方でもテンションの上がる王道展開ではないだろうか。

「推し俳優から気になった作品」と言いつつ、結局ここまで俳優の話を書かずにいるくらい、注目すべきポイントが多い作品なのだが、やはり語らずには終われない。『X-MEN:アポカリプス』(16)のサイクロップス役で注目され始めたタイ・シェリダンは、相変わらずちょっと芋っぽくて(失礼!)可愛い。パッとしない少年がVR世界で活躍して恋もして……というのは、我々オタクとして生きる者の夢だと思うのだが、それを見事に演じ切ってくれている。しかし、先日行われた、本作のジャパンプレミアイベントのサウンドバイツ(一列に並んだ取材陣の質問に、順順番に答えてゆく取材のこと)でタイ君にインタビューした時には驚かされた。サラサラの髪の毛、女の子かと思うような小顔、高い鼻。まるで王子様のような青年だったのだ!芋っぽいなんて言ってごめん!ウェイドの冴えない少年っぷりは、彼の演技力のなせる技だったのだ。本作を観終わった後には、タイ君のイケメン画像を検索して、ウェイドと見比べてみてほしい。

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そして、“ペグちゃん”ことサイモン・ペッグは、本作ではオアシスの創始者・ハリデーの協同経営者のオグデン・モローを演じている。ちょっとレトロでクリクリの長髪で、あーもう可愛い。眼福です。すみません、ペグちゃんに関しては激甘です。言うことなし。だが、可愛いだけではなく重要な役どころで登場しているのが、なおうれしい。ペグちゃんを知っている方には『ミッション:インポッシブル』シリーズのベンジーの時のような、コメディっぽい芝居の印象が強いかと思うのだが、本作での彼は落ち着いた雰囲気のモローを演じ、また違った一面を見せてくれている。コメディ演技とシリアスな演技とのギャップがペグちゃんの魅力の一つだと感じているので、モローの活躍もお見逃しなく。

エンタメとしても、推し俳優の共演としても、私得の本作。“私の思い描く21世紀”というのはオアシスのような世界だったのだが、現実はオアシスに及ばずとも、こうして体感したような感覚にさせてくれる作品に出会えたのはとても幸せだ。

『レディ・プレイヤー1』は公開中。

作品情報

映画『レディ・プレイヤー1』
 
監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:ザック・ペン
原作:アーネスト・クライン著「ゲームウォーズ」(SB 文庫)
キャスト:タイ・シェリダン、オリビア・クック、マーク・ライランス、サイモン・ペッグ、T・J・ミラー、ベン・メンデルソーン、森崎ウィン
配給 :ワーナー・ブラザーズ映画
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/readyplayerone/
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