劇団「犬と串」が無期限活動休止へ
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劇団「犬と串」が、無期限の活動休止期間に入ることを発表した。また、劇団員の藤尾勘太郎が退団することも併せて発表した。犬と串は、2008年、早稲田大学演劇研究会でモラルを中心に結成された。旗揚げ以降、様々な試行錯誤を経ながらも、一貫してエッジの効いた攻めのコメディを追求し続けてきた。劇団名は「主人を迎えにではなく、実は屋台の焼鳥をもらうために毎日駅まで行っていた」という、忠犬ハチ公の逸話に由来していた。
各メンバーよりコメントが出されたので、ここに紹介する。
モラル
犬と串はこのたび、無期限の活動休止期間に入ることなりました。色々と思いのたけを綴ったところ、結構な文章量になってしまいまして、このままここに掲載すると、画面をいつまでスクロールしても他のメンバーの挨拶に辿り着かない、ということになりそうなので、よろしければこちらのブログにて、色々お伝えできればな…と思っております。
この十年間、とても多くの方に支えられて活動を続けることが出来ました。本当に、ありがとうございました。そして、ご期待に添えなかった皆様、すみませんでした。
今後とも、各メンバーの活動を温かく見守っていただけますと幸いです。
藤尾勘太郎
犬と串で活動をしてきて、はや10年。
10年も劇団にいた!
20代のほぼすべてです。つくづく不思議な縁だなあと思います。よく勘違いされますが、僕は犬と串の旗揚げメンバーではありません。犬と串が最初に産声をあげた時、僕は照明のオペレーターでした。その後、犬と串が正式に旗揚げされ、母体となった演劇サークルのメンバーのほとんどが(半ば自動的に)犬と串に入団しました。僕もその中のひとりです。つまり、別段志を同じくして始めたわけでもないんですね。そんなふうに、ある意味で偶然乗った船でしたが、気づけば10年、片手には常に犬と串の旗をかかげ、時には指揮をとり、すっかり僕は船員でした。
前置きが長くなりました、
私、藤尾勘太郎は犬と串を退団いたします。
そんなこんな、すっかり苦楽を共にした仲間と離れることを決めるのは、簡単ではありませんでした。それでも、30歳をこえて、今後どう生きていきたいか、どう演劇と関わっていきたいかを、僕なりに長く考えた末の結論でした。船を降りて、ひとりで歩いてみることを決めました。まあまあな獣道ですが、自分で決めたことです。
今後も、俳優・デザイン・絵・etc.、僕が面白いと思うことを、ドンドン地面を踏み鳴らしながら、道がなければ自分で作りながら、楽しく、より節操なく生きていく予定です。それらの仕事でご飯を食べて、たまに旅行に行ったり絵を個人的に描いたりして過ごすことが目下目標です。デザインの方で名が知れてきて「あ、俳優もやられてるんですね」と言われるのがいい加減癪なので、俳優の仕事はがんばりたいところです。
あらためて、犬と串の劇団員として活動することができた、不思議な縁に心から感謝しています。僕なりに、並々ならぬ思いを注いできた集団であり、愛すべき集団でした。真面目でチャーミングで破壊力もチャレンジ精神もある仲間でした。この場をかりて、ありがとう。モラル、みっちー、はぎ、ほりくん、わっぱ、あといたくら。(10年を振り返れば他にもたくさん劇団員いましたが、キリがないのでここでは割愛させていただきます)
10年というアニバーサリーなタイミングで退団のご報告は大変心苦しいですが、僕にとっての節目となりました。どうかご理解ください。
さて、しかし困ったことに、劇団は劇団で活動休止なので、「今度とも犬と串をよろしくお願いいたします」という常套句がうまく申し上げられません。 けれど、みんな元気にやっています。劇団の活動再開がいつになるのか、ひとり退団する身としては知る由もありませんが、いつかおとずれるその日まで、それぞれの劇団員の活動を暖かく見守ってくだされば幸いです。僕自身、犬と串がキラキラと活動を再開することを楽しみにしていますし、その時までに大きなお花の差し入れができるような俳優になっていたいものです。
あらためて、応援してくださった皆様、共に作品をつくってくださった皆様に心より感謝申し上げます。
長い間、本当にありがとうございました。
またどこかでお会いできることを願っています。
板倉武志
犬と串の無期限活動休止。
自分は、4年と3ヶ月ぐらいですかね。
この仲間と共に走った距離は、まだ半分に届いてませんが。
犬と串のそれぞれのメンバーが、目指してきた道というのは、元々100%一緒だったわけではないと思います。個性溢れるメンツですから。笑
1つの束にまとまっていた個性の矢印みたいなものが、今、この瞬間、別の方向を指したということ。
劇団っちゅーのは、お互いの人生をそこで深く共有し合う・共有し合わなければいけない場所でして。自分にとって、劇団員とは、友達とは全然違う、仲間とか言うのは恥ずかしいし。
なんか不思議な存在ですわ。
メンバーと共有してきたものを胸に、自分は、犬と串の名前と共に、これからの人生も役者『板倉武志』として、歩んで行きます。
そんで誰かの矢印が同じ方向指してきたらその時は、
今より大きな矢印となって同じ方向指せる男になりたいなぁなんて。
犬と串を応援してくださっていた方には、本当に感謝しかないです。
寂しい思いをさせて、すみません。
応援してくださったこと、絶対後悔させないように闘い続けます。
これはずっと家に飾っておきますね。
ありがとう。
満間昂平
これまで応援してくださった皆様、支えてくれた皆様、関わってくれた皆様、本当にありがとうございました。
犬と串は、舞台を「予定調和なものではなく“事件”にしよう!」という信念のもと、お客さんを半ば強制的に巻き込んだ数々の試みに挑戦してきたと思います。
これまでのことを思い返すと真っ先に思い浮かぶのは、悪ノリに付き合ってくれた(付き合わされた)お客さんの笑顔、悲鳴、嫌悪感、優しさ、そして共犯者としての一体感です。素敵な体験をありがとうございました。
劇団は休止状態になりますが、今後もお互い健康に暮らしていけたらいいですね。10年間ありがとうございました。
ホリユウキ
犬と串は僕の20代でした。
最初「犬と串は僕の青春でした」なんてうっかり手が滑りそうになったのですが、いやそれはさすがに恥ずかしすぎるって気付くことが出来まして。
20歳の誕生日、犬と串旗揚げ公演初日の何日か前、バースデイ・サプライズで舞台美術からケーキが登場してきました。
当時の僕はまだ犬と串の劇団員ではなく、お手伝いの身。
その2ヶ月後に犬と串に入団し、そして今、29歳11ヶ月。
「犬と串は僕の20代でした」。これなら事実です。恥ずかしくない。
それにこの10年間を「◯◯でした」なんて言葉で限定するには、色々ありすぎました。
どんな言葉を使っても取りこぼすことがありそうで、そんな中唯一思いついた正解がこれでした。
20代。これしか思いつきませんでした。
とか書いたけど、解散するわけではないですからね!
活動休止ですからね!
それに僕自身も俳優を続けていきますからね!
だからこれからも犬と串を、そのメンバーをどうぞよろしくお願いします。
だけどこの場では一つの区切りとしての、今まで応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
萩原達郎
劇団犬と串、活動休止です。解散ではありません、が、しばらくは劇団としての活動はお休みです。
10年前、まだ旗揚げ前の犬と串と出会ってから俺の演劇人生は始まりました。演劇が何なのかも分からないまま劇団員になり、ひたすら動いて声出して笑いを取りにいって、あっという間に現在に至りました。未だに演劇が何なのかは分かりません。
犬と串は俺を色々な場所に連れて行って色々な人々に出会わせてくれました。不器用な俺一人では到底学び得なかった人生の可能性を沢山教えてくれました。これもひとえに、現劇団員や今までに劇団員として関わってきた皆んな、そして、犬と串を信じて応援してきて下さった皆様のおかげです。今ここで感謝してもしきれませんし、今後もずっと頂いた気持ちは燃え続けて、俺はそれに支えられ続けるのだろうと思います。本当にありがとうございます。
個人的な話で恐縮ですが、俺はこれを機に役者を廃業致します。自分にとって劇団は役者としての生命線でしたし、年齢や自分の置かれた環境を鑑みて、心に抱き続けていた作家の道へチャレンジできる最後のチャンス、それは今だ!と思ったからです。役者としての自分を応援して下さった皆様には恩返し出来なくなってしまい非常に心苦しいのですが、人生最後のワガママをお許しください。必ず、頂いたエネルギーを役者とは別の形でお返しできる立派な男になります。
結びになりますが、今まで犬と串を応援して頂き誠にありがとうございます。
いつになるかは分かりませんが、思いがけない形で皆様の目の前に劇団犬と串が現れる日を目指して努めます。どうかその日まで、犬と串を忘れないでいて下さい。またお会いしましょう。
西村亮佑
初めて犬と串を観たのが2013年の『左の頬』なので、あれから5年が経ちました。
初めて犬と串と関わったのが2015年の『ハワイ』なので、あれから3年が経ちました。
結成10周年の犬と串の半分しか知らず、3分の1しか関わっていない僕ですが、
学生生活は、犬と串と共にありました。(そのせいで4年生の今、単位取るのに必死です。)
劇団活動は休止ですが、各劇団員の活動は続きます。
ぜひ、お気にかけていただけると幸いです。
そして、あわよくばご来場いただけますと至上の喜びです!
これからは劇団員個人の戦いになります。
きっと、いや、絶対、確実に面白いですよ!!
詳細は下記サイトを参照のこと。
http://inutokushi.com/index.php?option=com_content&view=article&id=140&Itemid=27