早霧せいな、退団後初の舞台はキュンキュンするラブコメ!ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』東京公演開幕

2018.6.2
レポート
舞台

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

画像を全て表示(17件)


2017年7月に宝塚歌劇団を退団した元雪組トップスター、早霧せいなの退団後初主演舞台となるミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』が2018年6月1日(金)、東京・TBS赤坂ACTシアターにて東京初日を迎えた。その前日に同劇場にて公開ゲネプロ(通し稽古)が行われ、早霧と相葉裕樹、そしてこの舞台が俳優業初となるKバレエカンパニーの宮尾俊太郎が囲み会見に臨んだ。

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ


『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

1年の中で最も光り輝いていた女性に贈られる「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」を受賞した人気ニュースキャスターのテス(早霧)が、ふとしたことから新聞に風刺漫画を描くサム(相葉)に出会い、それこそ漫画のようにお互い一目惚れ、そして結婚する。だが、バリバリのキャリアウーマン、裏を返せばそれ以外のことにまるで考えが及ばないテスに、サムのストレスは徐々に大きくなっていく。バレエダンサーのアレクセイ(宮尾)の影響も受け、女性としての本当の幸せとは何かを考えだすテスだったが果たしてその結末は-。


既に大阪公演が終わり、満を持しての東京公演となる。大阪の舞台を経験した早霧は「コメディ作品はお客様の温度が上がれば上がるほど、出演者の温度もどんどん上がります。やっと舞台に立ったんだ、という喜びを感じる一方で、大阪では毎回お客様の反応が違っていたので、東京ではどんな反応がくるのか今から構えています。そういう意味でもお客様と一緒に作っていく舞台だなと思っています」と笑顔を見せた。

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ


『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

観客の存在については相葉も「こんなに笑いが起きるんだ、と本番に入ってから分かりました。お客様から教えていただくことだらけですね」と早霧の想いに重ねていた。

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

宮尾にとってはバレエではない初めての舞台ということで、「喉の調子が全く分からなくて、2公演終わると喉がガサガサになることもありましたが、徐々に自分の中で(体調のコントロールを)つかめていけました」と自信を見せる。「お客様が『そこで笑うの?』って思うこともあって。例えば僕が登場しただけで笑いが起きるとか…」と話し出すと相葉は「宮尾さんが登場すると空気が変わるんです。さすがだなって」また、早霧も「プリンシパル登場!って感じがね」と存在感についてニヤニヤ。当の宮尾は「一生懸命やっているだけなんだけどね」と苦笑していた。

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

宝塚退団後初となるミュージカルについて早霧は「お芝居って本当に楽しい、と実感しました。女性だけの舞台で感じる緊張感とはまったく違う緊張感があるんだなと知りました。今は女子のときめきを思い出しながらやってます」と語る。ラブコメディということもあり、劇中では数々のラブシーンを見せていく早霧と相葉。「早霧さんがお綺麗なので稽古中は照れてしまうこともありました。キスシーンも結構あるんですが、本番ではばしっと決めてぐっと抱きしめてキュンとさせたいです」と語る相葉だった。

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

大阪公演中のエピソードに話が及ぶと、宮尾が「初めて台詞を噛む体験をしました。ダンサーで言うなら振りをとばしてしまったときの感覚と同じ。一瞬にして動きがピタッと止まって、そこからが永遠の時間になるような恐怖を感じました(笑)」と苦笑い。

早霧は主演ということもあり、「私の台詞が次の台詞やセットなど、転換の『きっかけ』を担うことが多く、それが非常に細かくあったので大変でした」とコメント。

そして相葉は「早霧さんをリフトしてくるくる回る動きがあるんですが、大阪公演の後半から『(回転の軸が)ぶれているよ』って早霧さんに言われて」と元トップスターならではの突っ込みを受けたという。「今日改めて練習したらOKをいただきました!」という相葉に「バッチ(相葉のニックネーム)に『バッチリ!』と言ったんです(笑)」と親父ギャグを放った早霧だった。

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ


『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

ゲネプロの模様をお伝えしよう。実力も人気もあり、そして自分自身を信じて疑わない女性・テスが、テスの事を風刺漫画の中でけなしていたサムと出会い、パンっと弾けたかのように、あるいは突然ストップモーションとなるような一目惚れから恋に落ち、一気にラブラブキュンキュンになる姿に何度も笑いが起きていた。恋を知る前の男勝りの姿から、頬を染め愛を知りキュンキュンしつつも、仕事人間過ぎるせいで愛した相手をどのように大切にしていけばいいのかが分からず悩むテス。宝塚の男役の頂点を極め、今まさに女優に脱皮しようとしている早霧の昔と今が、ちょうどテスの恋を知る以前と以後に上手くハマって見応えがあった。

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ


『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

サムは、ごく一般人の感覚でテスを愛し、それ故に普通ではない女性を愛してしまった苦悩を、時には自身が描く漫画のキャラクターとの対話で語る。この数年でさらに実力を付けてきた相葉が、たった一人でステージ上の空気を支配する姿は非常に頼もしく見えた。

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

また、今回舞台初挑戦の宮尾は、ちょっと浮世離れしたバレエダンサー役が非常に似合い、出てきた瞬間にうっかり吹き出してしまいそうになる。だが本業のバレエを披露する場面はさすがプリンシパル。ステージ狭しと存在感をたっぷり見せつけていた。

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』公開ゲネプロ

今井朋彦春風ひとみ原田優一樹里咲穂、を中心とした個性的な共演者の存在からも目が離せない。いずれもただマジメに自分の役どころを演じているだけなのに、いつしか彼らの言動、そしてとびきり明るい楽曲と歌声の虜になってしまうのだ。

コメディは本当に芝居が上手い人でないと成立しない、と言われるが、すべてのキャストが実力派で、さらにその力量を十二分に発揮している本作。最後の最後までたっぷり笑えることで、足取り軽く劇場を後にできる心地よい舞台となっていた。

取材・文・撮影=こむらさき

公演情報

ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』
 
■脚本:ピーター・ストーン
■作曲:ジョン・カンダ―
■作詞:フレッド・エッブ
■上演台本・演出・訳詞:板垣恭一
■音楽監督:玉麻尚一
■出演:早霧せいな、相葉裕樹、今井朋彦、春風ひとみ、原田優一、樹里咲穂、宮尾俊太郎(Kバレエカンパニー)ほか
 
【大阪公演】
■日程・会場:
2018年5月19日(土)~27日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
料金:全席 12,500円 (全席指定・税込)
■お問い合わせ:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 06-6377-3888
 
【東京公演】
■日程・会場:
2018年6月1日(金)~10日(日)TBS赤坂ACTシアター
料金:S席12,500円 A席8,500円(全席指定・税込)
■お問い合わせ:梅田芸術劇場 0570-077-039

 
  • イープラス
  • 今井朋彦
  • 早霧せいな、退団後初の舞台はキュンキュンするラブコメ!ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』東京公演開幕