KAAT×地点 共同制作第8弾 地点『山山』が開幕 舞台写真とともに、劇作家・松原俊太郎、演出家・三浦基のコメントも到着!
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地点『山山』 撮影:松見拓也
2018年6月6日(水)から16 日(土)まで、KAAT 神奈川芸術劇場 中スタジオにて上演される、地点『山山』が開幕した。本公演は、2011年KAAT 神奈川芸術劇場の開館時より継続的に行っている、演出家・三浦基率いる地点との共同制作で、今作で第8弾となる。昨年4月、共同制作第7弾にてタッグを組んだのは、2015年に処女戯曲『みちゆき』(AAF 戯 曲賞大賞受賞)で鮮烈なデビューを果たした松原俊太郎。松原の長編二作目となる『忘れる日本人』は、震災以降の日本社会に対する痛烈な批判でありながら、死者とともにあること、忘却についての哲学的論考を含む大作だ。それぞれ「椅子のない部屋」「出口の封鎖された 公園」「坂の真ん中の我が家」と設定されていた三幕の原作を一幕に再構成し、ユーモアを散りばめつつ高度に抽象化された舞台は、地点の新境地を拓く作品として高く評価された。
2018年のKAAT×地点 共同制作第8弾では、この『忘れる日本人』を生み出した劇作家・松原俊太郎と、 地点の演出家・三浦基が再びタッグを組んだ公演である。
立入禁止区域。かつてそこに暮らしていた家族が我が家に戻ると、作業用ロボットと外国人労働者による除染作業が行われていた。山に分け入る一行。山から降りてくる鬼。放蕩息子の帰還は状況に変化をもたらすのか。
労働と愛(チェーホフ)、生と死(ベケット)、あらゆる表象と紋切り型(イェリネク)、そして「アメリカ」の「偉大な」作家ハーマン・メルヴィルの『バートルビー』をモチーフに、かつては美しかった山と汚染物質の山の狭間で暮らす家族たちの新たな抵抗を描く。
地点『山山』 撮影:松見拓也
地点『山山』 撮影:松見拓也
三浦基(地点代表・演出家) コメント
初日が開幕して、なんとか形になってほっとしています。改めてこの作品は、松原氏の戯曲の「語り」を堪能できる作品だと思っていて、今日のお客さんの拍手もそれを感じ取って好意的に聞いてくれたんだな、という印象を持ちました。いつもの地点の演出に比べたらセットの展開などはなくて地味に見えるかもしれませんが、かえって戯曲の語りが上手くノッて聞こえたのかな、と。これまでの作品と比べてちょっと珍しい作品になりそうな気がしています。これまでに観たことのない演劇であることは確かです。チェーホフやシェイクスピアのように予習の必要はないので、ぜひ楽しみに来てください。
松原俊太郎(作家) コメント
僕はテキストを書くときには上演のことをイメージしていないのですが、書いた言葉と俳優の声で発する台詞とでは受ける印象がとても違います。元々戯曲にあった「鬼」の存在が舞台では非常に強調されていますが、三浦さんはそういうフィクションをかませてくるのが上手なので、戯曲上のフィクションと舞台上のフィクションの組み合わせを楽しんで頂けたらなと思います。地点が僕のテキストで上演するときは、いつもとは違う変わった舞台になることが多いので、今回も苦闘している姿が見られると思います。でもまずは作品を体感して、楽しんでいただければ嬉しいです。
地点『山山』 撮影:松見拓也
地点『山山』 撮影:松見拓也
地点『山山』 撮影:松見拓也
公演情報
場所:KAAT 神奈川芸術劇場 中スタジオ
作:松原俊太郎
演出:三浦基
出演:安部聡子 石田大 小河原康二 窪田史恵 小林洋平 田中祐気 麻上しおり
【トークゲスト】
※6月7日(水)=出演:白井晃(演出家・俳優・KAAT 神奈川芸術劇場芸術監督)/松原俊太郎/三浦基
6月8日(金)=出演:三浦基ほか ゲストは決まり次第、ウェブサイト等でお知らせいたします。
主催:KAAT 神奈川芸術劇場