真野恵里菜とマノフレが交した“約束よりも確実なもの”、2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂レポート
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真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
真野 Friends Party Thanksgiving ~なんでもない日を特別な日にしよう!~
2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂
真野恵里菜がイベント『真野 Friends Party Thanksgiving ~なんでもない日を特別な日にしよう!~』を6月3日にマイナビBLITZ赤坂にて開催した。毎年、デビュー日などメモリアルデーの前後などにライブイベントを行なっている真野ちゃん。そんな彼女にとって6月3日とは……特に記念日でもなんでもない日である。
今回のイベントは、前半はトーク、後半は歌という2部構成。司会進行としてさわやか五郎がステージに登場すると、お約束の大ブーイングとともにマノフレ(真野恵里菜ファンの総称)が迎え入れる。そして早々に真野ちゃんもステージへ。ちなみにこの日の衣装は、というと、トレンドを意識しつつも、同時に27歳という年齢を“本人が非常に意識”したもの。肩を出しつつも、二の腕と脚は隠すという複雑な乙女心は、言うなれば“理解して!>女の子”といったところだ。
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
最初のコーナーは、会場入口に設置していた質問ボックスが運び込まれて、マノフレからの質問やメッセージに答えるQ&Aのコーナー。箱いっぱいの投稿内容を真野ちゃんが引き、さわやか五郎が読み上げる。
「真野ちゃんはCDを出す予定やドラマの主題歌を歌わないんですか? (隣の芸人がCDを出すようなので……。)」
「真野ちゃん、MCさんはうまく仕切れてますか?」
といった質問に、ライブレポートとして残してはいけないのではないかというほど素直な気持ちをぶちまけて、まさに真野ちゃん、冒頭から言いたい放題(ゆえに本稿でも自主規制)。
さらに「真野ちゃん大好きだー!」というマノフレからの告白メッセージには、「シンプルな言葉は嬉しいですよね」とコメント。「今日の夜は焼き肉ですね?」という問いには、「昨日のお昼に行っちゃったもん。でも焼き肉なら週5はいける。(好きな部位は)ロース、ハラミ、タン。……カルビはいいかな」と、“肉食系”女子な一面をのぞかせた。
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
「最近ドSキャラを出してませんが、ストレス溜まりませんか?」という質問に「だから今、出してる。……ってやめて。普段ドSキャラでストレス発散してる、みたいな。みんなが求めるから出してるだけだよ!」と悪戯っ子のような微笑を投げる。そして前回イベントのQ&Aコーナーにて“伝説”と言われた質問「最近、どう?」を今回も再び引くと、「これを引き当てるのすごくない?」と驚きつつ、「楽しいよ」と、今朝見た夢など取り留めのない話題を披露。
続いて「真野ちゃん! マジ卍?」という質問を引き当てて会場が爆笑する中、真野ちゃんも「どう意味なんですか?」と、会場に逆質問。誰もが首をかしげていると、さわやか五郎も「わかる人いない? そんなこといないはずなんだけどな、マノフレは若いはずなんだけど……」と、困惑気味だ(そして紳士淑女の集まりたるマノフレからは笑いが起こる)。
そして今回もこのコーナーには新たな伝説が書き込まれることになる。ラストの質問として真野ちゃんが箱に手を入れて、一枚の紙を引き当てる。さわやか五郎が真野ちゃんから紙を受け取り読み上げるも、そこに書かれていたのは、マノフレからの「ハズレ!」の一言。まさかの出来事に、真野ちゃんもステージ上で膝から崩れ落ち、会場は大爆笑。真野ちゃんが引き寄せた、台本よりも台本ぽい恐るべき展開に、「いやー、真野ちゃんはこれまで当たりを引き続けていたんですねー」と、さわやか五郎。真野ちゃんは「やられたー。すごくない!? 最高なんだけどー! 最後に引くの! ガチだからね、これ。まだぜんぜん(質問用紙)あるからね! だからこのコーナー楽しい。なんかね、みんなのギャグセンスが上がってるの!」と、驚きと喜びを爆発させていた。
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
プレゼント抽選会では、ポスターやデビュー曲のポップなど、非売品かつ今では手に入らないであろうアイテムを直筆サイン付きで大放出。しかも、当選者には、真野ちゃんが客席に降りて、直接引換券を手渡しする。客席に降りるというのは“マノイベ”の定番だが、これを赤坂BLITZで行なってしまう真野ちゃん。しかも、2階席まで行ってしまうというサービス精神。映画の主演を張る女優になっても、それでも支えてくれるマノフレのことを大切に思う気持ちは、真野ちゃんのこんなところからも感じることができるだろう。
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
後半は、マシンガンの銃声が鳴って会場が一気に盛り上がる「ドキドキベイビー」からスタートするライブパートだ。出す側も受け取る側も久しぶりとなった激しい「恵里菜!」コールが、BLITZの空気を揺らしていく。たとえ年に数回でも、ライブが始まったら、それまでのブランクを感じさせない団結をみせるマノフレ。いつ真野ちゃんから招集がかかってもいいように、普段はみんな一斉に別現場に集合して、別のコールでタイミングを合わせる練習をしているのではないか。そう真野ちゃんが疑ってしまうのも納得の一体感である。
「お願いだから...」のイントロでは驚きの声が上がる。シリアスな失恋ソングというところもさることながら、ライトアップされて浮かび上がった真野ちゃんがみせるダンスパフォーマンス。「ドキドキベイビー」の雰囲気をガラリと変えてしまう魅せ方も、女優だからこそ。
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
さらに、本番直前のステージ袖で「ひとりハロコン」と嬉しそうに話していた、真野ちゃん自身も楽しみだったのであろう、自身のルーツでもあるハロプロ楽曲の中から、すごい悩んだという3曲を続けて披露するパートへ。まずは、ハロー!プロジェクト モベキマスの「もしも…」。オリジナルでは真野ちゃんは台詞部分を担当していたが、7年の歳月を経て、このハロプロつんく♂楽曲最後にして最強の萌えソングとも言われる同曲を、この日は最初から最後まですべて真野ちゃん。「かわゆく私にチューして 『かわゆくがいいなぁ』」でマノフレの体温急上昇。「もしも 私が熱出したり」と歌っていたが、それは観ているこっち側の台詞である。
そして2曲目。個人的に大好きな曲として彼女がセレクトしたのは、後藤真希の「涙の星」。1本のスポットライトに照らされた真野恵里菜が、瞳を閉じて、大切な言葉をひとつひとつ丁寧に、メロディーに乗せていく。
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
これまで、いろんな人が歌ってきた曲ではあるが、紳士淑女のマノフレの中には、いつぞやのパシフィコ横浜にて、つい感情を抑えきれず涙で歌えなくなってしまった後藤真希を瞬間的に思い浮かべた人もいるかもしれない。あの雰囲気、あの空気感を女優・真野恵里菜はこの場所で再現してみせた。そして、だからこそ、あの時の観客と同じように、この会場に集まったマノフレも思った。歌詞にある「いろんなあなたが見たい」とは、あなたの歌声を耳にしている我々自身の願いでもある、ということを。
喝采となった真野恵里菜「涙の星」。ところが、思わず目を潤ませるマノフレも多いフロアに、再びどよめきが沸き起こる。余韻をかき消す、感情の振り幅180度というハロコンっぽい展開(?)で披露されるのは、モーニング娘。の「みかん」。真っ赤のペンライトと赤いライブTシャツで燃えたぎるコールを受けて、真野ちゃんも楽しそうにステージを移動して客席を煽っていく。しかしながら、どんな曲が流れても正確にコールを入れていくマノフレ。やっぱり、普段はみんな一斉にモーニング娘。の現場に集合して、コールの練習をしているのではないだろうか。真野ちゃんならずとも疑念を抱いてしまうのは仕方のないことだろう。
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
「『涙の星』からの唐突な『みかん』のみんなのおおーっていう。これをちょっと期待してた。」と、上気した真野ちゃんも盛り上がりに満足気な様子。さらにこの熱気に追い打ちをかけるのは、「バンザイしたくない日でもこの曲を歌うと楽しくなる」と本人も言う、マノコン屈指の盛り上げ曲「バンザイ!~人生はめっちゃワンダッホーッ!~」。赤坂を総バンザイ!状態にした後、ハロー!プロジェクト時代ラストの作品となったベストアルバム『BEST FRIENDS』に新曲として収録された「みんな、ありがとう。」を感謝の気持ちとともに届ける。昼公演では、ついつい“空を見上げるクセ”を出してしまった真野ちゃんだが、夜公演は想いを乗せて、しっかりと歌い上げていた。
そして本公演ラストの「NEXT MYSELF」へ。それは真野恵里菜とマノフレの約束の歌。年に数回しか行なえないイベントだからこそ、会えない時間も互いの存在を感じながら、それぞれの場所で、それを勇気に変える。人生は山あり谷ありで、うまくいかない時だってある。だけど、そんな時に思い出すのは、この場所。約束はないけれど、みんなで作り上げた時間と空間は、必ず次の景色へとつながっている。
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
「私も、とっても楽しかったし、大切な一日になりました。変わらない景色を見させてくれたマノフレのみなさん、本当に、本当にありがとうございます。卒業して5年経ってもこんなに素敵な景色を見せてくれるみなさんがいるんだなっていうのは、誇りに思いました」
すべての曲を終えて、真野ちゃんは客席に語りかける。
「みんなと会えない時間が多いと、不安になるのね。SNSを通して、みんなのことはわかっていたりするんですけど、言葉って受け取り方も温度差があったりして、難しかったりして。だから私も、伝えるときは自分の想いがちゃんとまっすぐ届くように気をつけなきゃなって。だからこそ、大事なことは自分から言いたいし。『(今日のイベントの)2階の立ち見発売します』も、私から言いたかったの。でも先にネットに出て、マノフレが見つけてたの(笑)。真野ってそういうの多いじゃん? 自分のことをみんなから教えてもらったり」
時に笑いをはさみながらも、「私の言葉を待ってくれている方がいてくれるならば、ちゃんとその言葉を伝えたい」という彼女のスタンスで、今、この瞬間に心の中に浮かんだことを、ありのままの想いとともに言葉へと変えていく。
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
「来年の3月18日で丸10年を迎えます。真野恵里菜の人生の中のデビュー日というのは、何歳になっても変わらないし。歳を重ねていくのは当たり前ですし。でも、“真野20周年”と言われたら、まだ考えたくないですけど。でも10周年は、デビュー日も誕生日も何もできなかったので……誕生日を入れるのって図々しいなって自分では思うんですけど(笑)。でも何かしらの節目や理由がないとイベントはできないかなと思っていたけど、今日、できるってことがわかって。(中略)約束はできないけど、来年(3月18日)、みんなで集まりたいと私は思っているし。前みたいに、こういうイベントで『いついつライブやります! バンザーイ!』みたいなのは恋しいなと思ったりするんですけど……ちょっと先過ぎて(笑)」
言ってしまえば、両者の間に明確な約束なんてものは何もない。部外者からみたら、マノフレというものは、彼女の気まぐれで開催されるイベントに、その都度その都度わざわざ足を運ぶような都合のいいファンのように映るかもしれない。しかし、実際は違う。約束がない代わりに、ほかのどんなアーティスト、タレント、役者とファンの関係よりも強固な絆がある。
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji
その絆とは、彼女がハロー!プロジェクト卒業後、多くの人たちの夢と期待を背負って努力し、着実に女優としてのキャリアを重ね、若手の実力派女優として立派に大成したからこそ生まれたものだ。真野恵里菜の夢はマノフレの夢。そして彼女はそれを裏切らない。彼女自身が女優として第一歩を踏み出し、そして活躍してみせたからこそ、マノフレも普段はそれぞれの場所で彼女の活躍を目にしながら、彼女に負けないようにそれぞれの場所で頑張り、何かある時は足を運ぶ。そしてお互いのこれまでを讃え、ねぎらい、再会に感謝する。
「このお仕事が楽しいから、ずっと続けられる。でもその楽しいをくれるのは、みなさんです。次いつ会えるって約束は、今はできないけど、また、絶対会いましょう!」
大歓声に包まれて、真野恵里菜はステージを後にする。彼女からの「また、絶対会いましょう!」の言葉。マノフレはこれだけで十分だし、むしろこれ以上は望まない。
だって、彼らの間には、約束よりも確実なものが存在しているのだから。
取材・文・撮影=Yosuke Tsuji
真野恵里菜 2018.6.3 マイナビBLITZ赤坂 撮影=Yosuke Tsuji