“艶”熟した男たちの新たな歴史!THE CONVOY SHOW 「1960」

2015.10.26
レポート
舞台

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

好きなことを胸張ってやっている奴らがいることがおもしろいんじゃない?

THE CONVOY SHOWとしては実に6年ぶりとなる公演「1960」が11月4日(水)から天王洲・銀河劇場にて上演される。この公演の稽古場の模様が公開された。

THE CONVOYとは、1986年に結成された歌あり、ダンスあり、芝居もありのパフォーマンス集団。作・構成・演出のすべてを手がける主宰・今村ねずみ、そして瀬下尚人、石坂勇、舘形比呂一、黒須洋壬、トクナガクニハルの6人で構成されている。メンバーはそれぞれストレートプレイからミュージカルまで、ダンスもジャズ、タップ、バレエなど様々なスキルを持った6人だ。

そんな彼らが続けてきた「THE CONVOY SHOW」は「走り出したらとまらない」を合言葉に1986年にスタート。ダンスショウでもストレートプレイでもミュージカルでもない、全員が主役であり脇役でもある、まったく新しい形態のノンストップ・エンタテインメント・ショウである。

若き頃から大人の男性の色気に満ち溢れたパフォーマンスを常に披露してきたが、結成からまもなく30年、メンバーもいつしか50代となった。そんな熟成された男たちが6年ぶりに見せる舞台とは…。

空が暴れだした嵐の夜。とある男がいる部屋のドアを突然ノックする音。そこにはコンシェルジュが一人「お忘れものです。お客様」と手渡されたのは一冊のノートとメッセージ。
―――お楽しみはこれからだ…1960―――
次々と現れる謎の男達。忘れかけたあのノートが彼らと共に動き出した。


男がいるホテルの部屋、いつしかタクシーの車内に、そこで漏れ聞こえてくるラジオ番組、さらにどこかの不思議な店へと場面は次々変化していく。ときにクスッと笑えるギャグも交えながら不思議な男の旅はどこへ向かっていくのだろうか。

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

「1、2、3、4、5、6、7アンド8…」黒須が口で取るカウントにあわせ、メンバーが一人ずつ自分の振りを確認しながら動く。その後ジャージーな音楽にあわせ、ソロのダンスから二人、三人と動きが重なっていき、群舞に変化。今村はそれを俯瞰で眺め、時にメンバーやスタッフに指示を出しつつ、タイミングを見計らって群舞の真ん中に入っていった。まるで見えない何かに飲み込まれていくようで…。

都度彼らが見せるダンスは、稽古ということでもちろん全力ではないにしても、いちいちキメる仕草が実に「カッコイイ」。何気なく場当たりしている姿一つとっても、体幹は安定し、手の先、足の先まで魅せる動きを自然に取っているのだ。今の段階でこんなに「カッコイイ」のであれば、本番はどうなってしまうんだろうと思わずほくそえんでしまう。

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

稽古のあと、メンバーそれぞれから公演について話を伺った。

まず、台本を受け取ったときのことについて。黒須は「(台本を)読んだ時には感動しました。パラレルワールドが始まって現実と交差していくというのは僕の好きな世界観なんですけど。最終的には、なぜCONVOYなのかというところにもつながる作品なのかなと」、そして舘形は「CONVOY SHOWの色が濃く息づいている中で、6年ぶりという“進化”している点も含まれていてすごく興味深く読みました」と語る。

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」



THE CONVOY旗揚げ時から参加している瀬下は、「(台本を)読み終わった後にニヤニヤしている自分がいて、それがすごい楽しくて。年齢的には「オッサンオッサン」してますが、我々が今、あえて…というほどでもないですが、やることに意味があると思って、ワクワクしましたね」と笑いながら語り、同じくTHE CONVOY創設時からのメンバー、石坂は「台本を読んでいるときは自分じゃないように読んでますが、稽古が始まり自分の中にセリフを落としていくときに、違和感なく言えるセリフ・言葉だなあと感じました。この年代で今までやってきたCONVOYだからこそ、できることや言えるセリフ、普段の私生活でひとりひとりが人として生きている感じがそのまま乗っかっている芝居だなと思います」と口にした。

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」



トクナガは「ねずみさんの世界観がひしひしと伝わるなあと思います。6年ぶりにやるから、ではなく、それまでから根づいている僕らの関係性はぶれていないなあと…それが第一印象ですね。作品を通してキャラクターに歩み寄っていくんですが、それもなんだか新鮮でいいなと思いますね。(本番が)楽しみですね」と語った。

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

作品の内容について今村は「僕の作品自体、身近なものを素材にしているんです。難しいことは書けないしそれは他の人がやるでしょうから」と軽く笑わせ、作品を通してお客様に伝えたいメッセージは?という問いには「…ないですよ!(笑)本当に好き勝手にやっているんで、それをお客様に共感してもらえればいいかなって。僕はその程度のヤツなんですよ(笑)ただ、このくらい歳を重ねてずっと遠くばかり見つめていた若い頃と比べて、忘れがちな身近なことの中に何か真実があるんじゃないかなとは思いますね。僕らが行きつくところはそこだなって。僕らも含め、好きなことを胸張ってやっているヤツらがいることがおもしろいんじゃないかな。いろいろな場所で頑張っている方々に僕たちが劇場で暴れている姿を見せていければいいんじゃないかなって」とこの年齢になったからこそ言える、感じる気持ちを素直に表現していた。

THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

公演情報
THE CONVOY SHOW Vol.30「1960」

■日時:2015年11月4日(水)~2015年11月15日(日)
会場:天王洲 銀河劇場
作・構成・演出:今村ねずみ 
出演:瀬下尚人/石坂勇/舘形比呂一/黒須洋壬/トクナガクニハル/今村ねずみ
公式サイト:http://www.theconvoyshow.com/