Creature Creature “休眠”前ラストライブレポート
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Creature Creature
Creature Creatureが生み出すサウンドと、その中で叫ばれる“MORRIE”という個の感性を、色に例えるといったい何色になるのだろう——?
無論、一色に例えきれる音や唄などないのだが、Creature Creatureが放つ色は、目にははっきりと色として写り、確かにそこに存在するのだが、この世界でそれを何色と呼ぶのかは、まだ決められていない、非常に難解な色である。
何色もが絡み合うように混ざり合ったその色は、恐ろしくあり、奇妙で不可解でありながらも、時に息をのむほどに美しい。きっとそれは、どこにもない音だからこそ、どこにもない色だからこそ、それを示す共通の呼び名を持たないのだろう。
Creature Creature
そんなCreature Creatureは、7月8日、新宿ReNYで休眠に入る最後のライブを行った。彼らが1曲目に置いていたのは「Death Is A Flower」。Shinobu (The LEGENDARY SIX NINE、ex.ガイズファミリー、ex.Vanilla、ex.PlatinA Forest)のギターが警告音を思わすフレーズを奏で始めると、そこへHIRO (La'cryma Christi、Libraian)、人時 (黒夢、ex.ROBO+S、Dummy's Corporation)、ササブチヒロシ (東京酒吐座、ex.Plastic Tree、Morrieソロサポート)がそれぞれに音を重ね、その個の音を形有るものへと形成していった。
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決め込まれた“拍”という概念を持たず、地を這う様に侵食するメロディに、MORRIEという哲学が絡む。どこまでも暗く、とてつもなく深い場所から響く印象の楽曲は、中盤で浄化されたかのように美しいメロへと変化し、再び深く潜っていく。MORRIEは何かを操るかのように大きく広げた両手を、時おり羽根のように羽ばたかせながら「Dream Caller」を唄ってみせた。癖のある独特な世界観に引きずり込まれる感覚こそが気持ちいい。ユニゾンの力強さとアグレッシブにぶつかり合う楽器隊のスキルとMORRIEのファルセットへの切り替えの美しさが幾重にも重なりあった「Phallus Phaser」も実に心地良い肌触りである。間髪入れずに投下されていく音1つ1つをしっかりと受けとめていたという印象だったオーディエンスは、人時のベースが軸となり楽曲を引っ張るハードロックの原点をそこに見た「虚空にハイウェイ」で、渇望を叫びと拳に込め、力強く拳を上げてその音に応えた。
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MORRIEは右足を折って跪き、低い体制で唄を届けた。12弦ギターに似た透明な成分が宿るイントロを彩る「星憑き」では、最高にプログレッシヴな展開でオーディエンスを魅了した。
オーディエンスは、難解さが滲み出る楽曲の一音一音を食い入る様に受けとめ、曲が終るごとに称賛を贈るがごとく、メンバーを呼ぶ歓声を沸き上がらせた。このライブが聴き納めとなることもあり、その声はいつもよりも強く、ステージ上のメンバーにぶつけられていたように思う。
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この日は、本編にはほとんどMCを設けず、5曲ごとに区切られた3ブロックで後半戦までの流れが作られていた。
「Black Hole」から始まった2ブロック目は、「Fire Burn With Me」や「くるめき」や、曲中にMORRIEの語りや、全員のコーラスが入る、難解ながらも滑らかなメロディが宿る“聴かせ曲”「So Heavenly」、説明の必要のない最上級のロックであると断言できるインスト部分が多くを占めるディープな「Golden Game」などで構成され、「Mirrors」から始まった3ブロック目では、唖然とするほどの音の鬩ぎ合いを魅せながらも、HIROというギタリストの個性が存分に発揮された、美しい泣きのロングトーンがオーディエンスを魅了した。「天醜爛漫」では、ステージ後ろから放たれる赤く光るスポットだけを残し、ステージ上の照明をほとんど落とした状態で、MORRIEが自らの手に持った照明で、演奏するメンバー一人ひとりを照らすという演出が施されたのだった。ここのブロックで届けられた曲たちは、情熱的ではあるが、寂しさの宿る刹那的な楽曲が選曲されていたという印象であった。
特にここで届けられた「Andromeda」には、どうしようもないほどに心を掻きむしられる衝動にかられたのは、きっと私だけではないはずだ。MORRIEが生み出す“刹那的なメロディの魔力”を深く感じた瞬間でもあったと言える。
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畳み掛けられるサウンド感が魅力の「エデンまで」で始まり、本編最後まで7曲を届けた最後のブロックでは、「Amor Fati」でマイクトラブルもあったのだが、スタッフとの素晴しい連係プレイで難なくクリア。ラストスパートをかけた最終ブロックは、フロアが力強い拳で埋め尽くされていた印象だった。フロアの熱が2階席まで上がってきた、奇怪なフレーズの応酬の芸術作「Dead Rider」など、創ろうとと思っても創れない独特の感性そのものである。
幾重にも幾重にも音を重ね、重厚かつ綿密に、繊細に創り上げられているCreature Creatureの楽曲たちは、こうしてライブで再現されること、そのものが芸術であると言っても過言では無いほど、アートだ。
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本編ラストをハイスピードなイントロと難解な拍子が特徴的な「Swan」で締めくくると、鳴り止まぬアンコールの声に答え、MORRIEの哲学が曲中に語りで入り、HIROの切なげなギターがうねりを上げる「夢鏡」でその声に応えた。
アンコールでは、MORRIEがメンバーに一言を求めるという場面もあった。
Creature Creature歴6年であるササブチヒロシは、「最初から最後まで難しかったです。この先の自分のドラム人生の引き出しの中に、ここで学んだすべてを入れていけたらと思います」と、しみじみと語り、MORRIEがいかにストイックに音に向き合ってきたかを感じさせる言葉を残し、Creature Creature歴9年というShinobuは、自身の辛かった節目にHIROの紹介でMORRIEからCreature Creatureの話をもらったことで、ギタリストとしての未来が開けたのだと涙を堪えながら語り、初期メンバーである人時は、「始まった頃のリハーサルが昨日のことのように思い出されます。地獄の様でした」とオーディエンスの笑いを誘ったが、リハーサルの休憩時に、メンバー同士で“本当に出来るのかな?”と、頭を抱えた難解な楽曲たちを作り上げてきた時間を振り返り、みんながみんなMORRIEさんについていくのが必死であったことと、高いハードルを越えるために、毎回が受験勉強であり、毎回が試験の様だったとCreature Creatureのメンバーとして過ごした日々を語った。
Creature Creature
最後に同じく初期メンバーであるHIROは、集まってくれたお客さんと、Creature Creatureを愛してくれた全ての人と、これまでCreature Creatureに関わってきたミュージシャンの名前を上げ、その全てに感謝の言葉をのべた後、この日、一緒にステージに立ってくれたメンバーとMORRIEさんに感謝の意をのべたのだった。「高校生の頃にDEAD ENDを好きになったあの頃の自分からしたら、今、こうしてMORRIEさんと一緒にバンドが出来たこと自体が信じられないことなんですが、MORRIEさん含め、メンバーがしっかりとサウンドを支えてくれたからこそ、自分は自由にギターを弾くことが出来ました」と、HIROらしいナチュラルさと優しさが滲み出た言葉で12年を振り返り、締めくくったのだった。
そんなメンバー一人ひとりの想いを、優しく見守るように見つめていたMORRIEは、「始まりのあるものには、すべて終わりがある」と告げ、この先にそれぞれのミュージシャンとしての成長があってくれることを願うと語った。
そして、またいつか、Creature Creatureがこの休眠から目覚めることが出来る日があればと、オーディエンスに光を残したのだった。
20時50分。Creature Creature休眠——。
Creature Creatureは2018年7月8日休眠に入った。
12年という歴史への終止符は、きっとそれぞれにとっての新たな始まりとなることだろう。
そして。いつかこの休眠から目覚め、再び私達に計り知れない衝撃を与えてくれる日が来てくれることを切に願う。
文=武市尚子 撮影=大島康一
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