劇場内で夏フェス気分満喫! KAATキッズ・プログラム2018『キッズ・サマー・パーティー』
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メインステージ 劇場提供写真
夏、といえば?という質問に、夏フェス! と答えてしまう音楽好きな皆様、今年の夏もエンジョイしてますか?
『夏フェスには行きたいけれど、子育て中で遠征するのはキビシイ……』
『この猛暑で屋外のフェスは熱中症が心配……』
『長時間の参加は無理だけど、少しの時間だけでいいから夏フェスを体験したい……』
かつては夏になると苗場やひたちなか、石狩、幕張などの“夏フェス”へ行くのが定番だったけれど、生活環境の変化、例えば子どもが生まれたり、子育て中だったり、自分自身の体力に自信がなくなったり、などなど様々な理由で「行きたいけれど行けなくなった」という人は、きっとたくさんいるのではないでしょうか。
そんな「本音では夏フェス行きたいけれど、諦めている」人たちに嬉しいイベントが今年、横浜にあるKAAT神奈川芸術劇場に誕生しました。その名は『キッズ・サマー・パーティー』!
このイベントはなんと0歳児から参加OK。しかも、0〜1歳児は入場無料です。もちろん、おとなだけでの参加もOK! 劇場内にいながらにして「KAAT高原のキャンプ場で開催される夏フェス」を体験することができるのです。
と、概要だけ説明されてもいまいちピンときませんよね。そこで初日の初回公演に潜入してまいりましたので、そのレポートをお届けいたします!
受付をくぐると大きなテントがお出迎え! 劇場提供写真
会場となる5F大スタジオの受付を入ってすぐのところに大きなテントが設置されていて、入場客はその中をくぐって奥へと進みます。テントの中ではスタッフが
入場パス代わりのリストバンド
輪が大きくて腕から抜けてしまう小さなお子さんは、足につけてもらうこともできます。
リストバンドが入場パス代わりに使われるのは、夏フェス定番ですよね。初っ端から夏フェス気分を盛り上げてくれます。
グッズ売り場 劇場提供写真
靴置き場 劇場提供写真
テントを抜けると、Tシャツ、ハンドタオル、ステッカーなどオリジナルグッズ売り場があり、更に奥には靴置き場がありました。大人もこどももここで靴を脱ぎ、少し身軽になって会場内に入ることができます。ベビーカー置き場も授乳スペースも用意されているので、赤ちゃん連れでも安心です。
会場内にはテントが! 劇場提供写真
いよいよ大スタジオの中へ! そこは……まさしくキャンプ場! という空間になっていました。他の公演でこの大スタジオを訪れたことがある方は、客席があって舞台があって、という会場内をご存知だと思いますが、実はこの大スタジオは客席も舞台も可動式。用途に合わせて自由自在に会場設営できるのが魅力の会場なのです。今回は客席をすべて取り払ったフラットな会場になっていました。床は人工芝が敷き詰められており、あちこちに大きなテントが設置されていて自由に中に入ることができます。普段なかなか見ることのない巨大テントに、子どもたちは大はしゃぎで中に入ってみたりしていましたよ。
メインステージの大スクリーン
正面のメインステージ後方の巨大スクリーンには、青空や緑の木々、楽しそうに体を揺らすキャラクターたち、遠くには山が見える景色が映し出されていて、KAAT高原の雰囲気を感じられます。劇場内にいながらにして、まるで野外フェスティバルにやってきたような清々しい気分になれました。
そして、メインステージには既にバンドセットが組まれていました。どんなアーティストが登場するのかワクワクドキドキ。
さて、キャンプ場の雰囲気をのんびりと楽しんでいると、突然スクリーンに「50」という数字が映し出され、そこから「49」「48」とカウントダウンスタート!
カウントダウンスタート! 劇場提供写真
「10」からは自然に会場のみんなが大きな声でカウントダウンのコールをし始めて、一体感が生まれました。いよいよフェスの始まりです!
トップバッターは5人編成のバンド「空中カメラ」。
空中カメラ
夏フェス、と銘打ってはいるけれど、0歳児から参加OK、となっているから、きっと演奏される音楽もこども向けのものなのだろうな、と思っていたのですが、空中カメラは60~70年代ポップスを基盤としながら、J-POPの要素を取り込んだノリがよくメロディアスな演奏をガツーン!と響かせてくれました。決して子ども向けではない、年齢問わずみんなが音を楽しめるように、とバンドの本気をこのフェスにぶつけてくれたことが伝わってきて、こどもたちはノリノリ、おとなたちはその楽曲の良さに聞き入ることができました。
onnnacodomo
スクリーンに映し出される遊び心ある映像は、VJユニット「onnnacodomo」がステージ脇でリアルタイムに空中カメラの演奏に合わせて創り出していました。色鮮やかで手作り感あふれる映像にこどもたちも興味津々。映像パフォーマンス中のメンバーの元に行って「どうやってるの?」と直接聞いているこどもの姿もありました。
空中カメラ
曲に合わせた振付をお客さんに伝授中。こどもたちもステージ近くまで出てきて、元気に拳を突き上げ、ぴょんぴょん飛び跳ねて楽しそうでした!
空中カメラの演奏中に突然の雨!
演奏もいよいよクライマックス。メンバーと観客で曲に合わせて手拍子していると……ポツポツ……と突然の雨! 山の天気は変わりやすい、夏の夕立はよくあること、なので天候の急変は夏フェスには付き物。後方スクリーンには大粒の雨粒が降る様子が映し出され、会場内には土砂降りの雨の音が響き渡りました。スタッフが大慌てでスピーカーなどの機材にビニールをかぶせて雨から守り、空中カメラのメンバーも突然の雨に戸惑いを見せ、雨がますます強まると慌てて機材を片付けてステージを降りてしまいました。
土砂降りの雨
雨は本格的などしゃ降りになり、空も真っ暗。雷まで鳴り始めました。観客も、各自が持参した傘やレインコートなど、雨具を使って雨をしのぎます。劇場内だから……と油断できません!これからご参加される皆様はぜひ雨具の準備をしておいてくださいね。
雨が上がって虹が出ました
しばらくすると雨は止み、それまでの土砂降りが嘘のように晴れました。そして空には虹が! 晴れてよかったねぇ、とのんびりしていると、今度は後方のステージに久保田リョウヘイが登場、演奏が始まりました。
久保田リョウヘイ
演奏しているのは「ハンドパン」といって、2001年にスイスで発明された歴史の新しい楽器。形状や音の響きはスティールパンに似ていますが、手で叩いて演奏するので音がやわらかくぬくもりが感じられます。ゆったりとした曲や、ちょっとテンポの速いリズミカルな曲など、ハンドパンの魅力を感じられるバリエーションのある選曲で、おとなもこどもも思わずその音色に聞き入っていました。
夕焼け空
その心地よい音色にくつろいでいるうちに、いつの間にやら日は傾き、きれいな夕日がキャンプ場を包みます。芝生に寝転がったり、持参したキャンプチェアに身を沈めてうつらうつらする人たちもちらほら。
久保田さんの「ハンドパンを演奏してみたい人は?」という呼びかけに、志願した子ども3人がステージに上がり、久保田さんに教えてもらいながらハンドパンに触れて音を出す体験コーナーもあり、気づけばあっという間に夜。空にはお月様が輝いています。
スクリーンには夜の映像が映し出された
会場をリラックスムードに包んでくれた久保田さんのステージ演奏が終わると、夜もすっかりふけてきました。暗くなった会場は静かになり、寝袋を取り出して完全に寝る体制に入る人も……。
しばらくすると少しずつ空が明るくなってきて、そろそろ夜明けかな?という頃にメインステージに登場したのは「ザ・ぷー」。
ザ・ぷー
さるのパペット「川島さる太郎」と、街角マチオ、街角マチコが登場し、まずは飛んできた蚊を退治する歌と踊りを教えてくれました。これで夏の野外の天敵、蚊対策はバッチリ!
寿司ネタを背負った街角マチオ(左)と街角マチコ(右)
続いての「すしテルミン」というなんともインパクト大なタイトルの曲では、マチオさんがエビを背負ってお寿司の格好になりました。選ばれた観客のお父さん3名も寿司ネタを背負ってお寿司の格好にさせられ、マチコさんの演奏するテルミンの音色に合わせて、マチオさんと一緒にパフォーマンス。普段はなかなか見られないお父さんの面白い格好にこどもたちも大興奮!曲中、マチコさんに教えてもらった「すしテルミン」の決めポーズも観客みんなでバッチリ決めましたよ。
振付を教えてくれたザ・ぷーの二人
フェスの最後を締めくくるラストの曲は「ナニコレ」。
まずはマチオさんとマチコさんが、サビの振付を教えてくれました。
街角マチオが歌う!踊る!
曲が始まると、マチオさんは衣装替えして、歌って踊って大ハッスル!
おとなもこどもも一緒に踊って会場のボルテージは最高潮になりました!
「ザ・ぷー」のステージが終わると、すっかり日も昇って朝。こうしてKAAT高原キャンプ場の夏フェスは終了です。
時間にすると約1時間半ですが、音楽あり、パフォーマンスあり、突然の雷雨あり、とたっぷり1泊2日したような充実感を味わうことができました。
のみもの売り場 劇場提供写真
飲み物はペットボトルや蓋付き水筒など持ち込みOKですが、会場内に飲み物売り場もあり、こちらで買うこともできます。しかも、ここで売られているのはその名も「ピカピカドリンク」! どんなものかというと……。
ピカピカドリンク
これ、何の形かわかりますか? そう、電球型なんです。しかも、写真ではわかりませんが、底の方に何色にも点滅するライトが埋め込まれていて、その光で飲み物がピカピカ光るのでこどもも大人も大喜びです。中身のドリンクは、カルピス、リンゴジュース、ハイビスカスティーと選ぶことができます。飲んでおいしく目にも楽しい一品、フェス気分を盛り上げてくれます!
遊び心満載の様々な趣向にこどもたちは大喜び、音楽好きなおとなたちは良い音楽、楽しい音楽と出会えたり、日ごろの疲れがたまってしまった人は寝そべってゆっくりしたり、楽しみ方は人それぞれ自由。そんな夏フェス気分を劇場内で気軽に楽しめる、素晴らしいアイディアのイベントでした。
今年はあと7/28(土)と29(日)の2日、各日とも1日3回公演です。一度は
取材・文・撮影(一部)=久田絢子