楠木ともり アニサマ出演直前スペシャルインタビュー「初めて聴く人、一人ひとりにも、歌に込めた想いを届けられたら」

2018.8.20
インタビュー
アニメ/ゲーム

楠木ともり (c)Animelo Summer Live 2018/MAGES.

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今年4月から放送されたTVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン(※以下:『ガンゲイル・オンライン』)』。同作で主人公・レンと、その現実での姿・小比類巻香蓮を見事に演じ分けた期待の新人声優・楠木ともり。自身にとって主演2作目となる本作では、レンとしてEDテーマ『To see the future』を歌唱。そしてこの曲を引っさげ、夏の一大アニソンイベント『Animelo Summer Live 2018 “OK!”(以下:『アニサマ』)』への出場も決まっている。そんな彼女に、『ガンゲイル・オンライン』の経験の振り返りや『To see the future』に込めた想い、そして『アニサマ』への意気込みについて聞いた。

レンと香蓮の演じ分けを掴んだのは
『To see the future』のレコーディング

――今回『ガンゲイル・オンライン』のレンとして『アニサマ』へ出場されますが、その『ガンゲイル・オンライン』以前に出演された作品での経験は、どのようにお芝居に生きましたか?

『メルヘン・メドヘン』という作品で初めて主演をさやらせていただいて、沢山の“初めて”を経験していたこともあり、『ガンゲイル・オンライン』では緊張はしつつも変に怖がらずにアフレコに入ることができました。作品の雰囲気は全然違うんですけど、『メルヘン・メドヘン』で演じさせていただいた鍵村葉月ちゃんのテンション感が割と高い子で、レンちゃんを演じる上で気持ちの入れ方に共通するところがあったので、すごく力になったなと思っています。あと、レンちゃん自体も私は共感できる部分が元々多い子だったので、感情移入もしやすくて。

――どんな部分に共感されていたんでしょう?

それはレンちゃんというよりは香蓮に対してなんですけど、まわりのことを気にして普段あまり自分を出せなくてゲームの中で違う自分になろうとしたり、「こういう自分になりたい」っていう強い意志を持っているところとか。あとは目標に対してのすごくまっすぐな姿勢ですね。私もひとつ目標をみつけると、行き過ぎちゃう時もあるんですけど、そこに向かってまっすぐ行きたい気持ちは強いと思います。割と悩みを溜め込んでしまうタイプでもあるので、香蓮が抱えている悩みをどれぐらい出すかの塩梅は割と掴みやすかったのかな、と思います。

――『ガンゲイル・オンライン』では、そのレンと香蓮というふたつの表情の演じ分けに挑戦されました。

はい。でもその演じ分けの感覚を掴んだきっかけは、EDテーマの『To see the future』のレコーディングだったんですよ。

――え、歌だったんですか!?

そうなんです。レコーディングはアフレコ前だったので、自分の中では正直それぞれの違いがまったく作れていなかったし、ふたりの出し方のさじ加減も掴めていなかったんです。それにこの曲、声はレンちゃんなんですけど、歌詞ではどう見ても香蓮が内側に秘めてきたものが描かれていたので、レコーディングに行った段階でも、正直まだどう歌えば良いかが掴みきれていなくて…。でも実際に歌うことで、香蓮の中にあるレンや、レンの中にある香蓮、っていう塩梅を歌で掴むことができました。

――なるほど。レコーディングを通じて、それぞれの違いを掴んでいったと。

はい。もちろん演技と歌は“表現”ではあるけど違うものなので、多少は苦労はしましたけど。でもすごく大きなきっかけになりました。歌っているうちに、自分でだんだん「これぐらいだな」ってストンと腑に落ちる部分が増えていって、「あ、レンちゃんってこういうふうに演じればいいんだ」と、だんだん歌と演技が繋がってきた感じがあったんですよね。

――では、その後臨まれたアフレコで、特に力を入れたのはどんな部分でしたか?

それもやっぱり、演じ分けですね。レンちゃんと香蓮以外にピーちゃん(※レンのメインアーム・P90)の声もやらせていただいたんですけど、本当に全部違う声と性格なんです。でも、たとえば(阿僧祇)豪志さんと話す回での最後に決意を固めるシーンでは、香蓮として喋りながらも香蓮の中ではレンとして動くことは想像できているから、香蓮の声なんだけどレンちゃんをすごく意識していたり……と、そのさじ加減には気をつけました。あとは、誰も死なない世界ではあるんですけど、観てくださっている皆さんに「ゲームの世界だけど、ゲームと思わせないような演技をしたいな」とも思っていました。

――その緊張感が、観ている側にハラハラドキドキ感を与えてくれますからね。

そうなんです。ゲームだと思って観ちゃうと、たぶん楽しさが半減しちゃうんじゃないかなと思ったので、「本当に命をかけて戦ってる」ぐらいの熱量があってもいいんじゃないかなと思って、戦闘中の演技はすごく大切にやらせていただきました。

――では続いて、『To see the future』自体についてもお聞かせください。まずこの曲を受け取ったときの印象からお教えいただきたいのですが。

私、元々『ソードアート・オンライン』の本編も好きなんですけど、そのEDって割とバラード系が多い印象があったので、「あ、こんなにポップでビートもしっかりしている曲なんだな」って意外に思ったのが最初でした。それに、すごく元気になれる曲だなとも思いました。

――そう感じたのは、どんなところからでしたか?

「自分は普段こういうことで悩んでいて」とか「こういうことを抱えていて」っていう歌詞で、直接「頑張ろう!」みたいに言ってはいないんですけど、聴いた人が前向きになれるというか。そのバランスがすごく絶妙だなと思ったんですよ。だから、「絶対に皆さんに愛される曲にしたいな」って強く思いました。

――ドンと押すような曲ではないけれども、自然と希望をくれるというか。

はい、そうですね。そういうところが印象に残りました。

――そんな印象を持ちながら、レコーディングで歌われて。

元々歌うことが好きでしたし、レンちゃんがすごく私好みのキャラクターっていうのもあって、レコーディング中は結構ずっと楽しくて。曲を作っていただいたJazzin'parkさんにもいらしていただいていて、スタッフさんも交えていろいろ話しながらひとつの曲を作り上げるっていう作業自体も、すごく楽しかったんですよ。

――そのなかで、苦労したことをあえて挙げるなら?

繰り返しになっちゃうんですけど、キャラクターを掴むまでに時間がかかったことですね。あと、Jazzin'parkさんは歌い方にすごくこだわりを持ってらっしゃるんですけど、レコーディング中にディレクションしていただいても、すぐに理解できないこともあったりして…。それをなるべく解消できるように一個一個すり合わせていくっていうのは、大変なところではありました。

――そうやってできあがったこの曲の、完成版してのお気に入りのポイントはありますか?

完成版では、伴奏の音にアレンジが加えられていたんですけど、そのアレンジがすごく好きで。穏やかだけどポップだし、すごくかわいいのにオシャレだし、とってもきれいにバランスが整えられた音が集まっているなと思って。録らせていただいたハモも全部入って、すべてのバランスを計算してできあがったものを聴かせていただいたときは、本当に全部に感動しました。それに、キャラソン自体ひとりで歌うのも初めてだったので、本当に早く皆さんに聴いてもらいたいなっていう気持ちでいっぱいでしたね。

――実際、聴かれた方々からはどのような反響がありましたか?

皆さんから温かい言葉をたくさんいただいていまして。「聴いて元気になれました」とか「頑張ろうと思います」みたいな言葉をいただくと、自分もそう思ってほしいなと思って歌っていたので「ちゃんと届いてよかったなぁ」と思いますし、皆さんの言葉が励みになります。それに、リリースイベントでたくさん歌わせていただいたなかで、「こういう気持ちにしてあげたいな」とか「聴いていてこう思ってもらえればいいな」っていう想いがどんどん増えていったんですよ。だから音源としては完成しているんですけど、『To see the future』っていう曲はファンの人と一緒に、さらにどんどんどんどん作り上げられていくんだなぁと感じました。

――そういった過程を経て、『To see the future』は楠木さんにとってどういう曲になっていますか?

本当に、かけがえのない曲ですね。この曲があったから成長できた部分もたくさんありますし、本当にこの曲に出会わせていただいた自分は幸せものだなって思います。もちろんまだ完成ではないと思っているので、これからもファンの方と、そして自分とレンと香蓮と一緒に、この曲をどんどん素晴らしいものにできたらいいなと思っています。

――では、お芝居も含めて『ガンゲイル・オンライン』という作品で、楠木さんが得たものを挙げるなら?

うーん……ちょっとありすぎますね(笑)。先輩方が、本当に背中で教えてくださる方々だったんですけど、直接「これはどうしたらいいんでしょう?」みたいな質問をさせていただいたりもして。本当に毎話毎話何か吸収しようっていう想いでいっぱいだったので、技量の部分でも成長できていれば……と思います。アニメ本編以外でもラジオやイベントなど素敵な経験をたくさんさせていただいていたので、成長につながっていたらいいなぁ、と思います。私自身はあんまり、自覚はしてないんですけど……(笑)。
 

『アニサマ』では想いをちゃんと届けられるように、大切に歌いたい

――さて、先ほど“『To see the future』はファンの人と一緒に作り上げていく”とおっしゃいましたが、またひとつ新しい完成形が見られるのがこの夏の『アニサマ』のステージだと思います。出場を知ったときは、最初どのようなお気持ちだったのでしょう?

レンちゃんのキャラクターソングを録っているときにスタッフさんから聞いたんですけど、最初信じられなくて、3秒ぐらい経ってから「はぁ………………え?」みたいになりまして(笑)。でも本当に受け止めきれてなくて、未だに実感が湧いていないんですよ。直接観に行ったことはないんですけど、TVとかで観て「立ってみたいなぁ」って思っていた憧れの舞台なので、ますます実感が湧かず……。

――まだステージに立つ自分も、まったく想像できない。

そうですね。『AnimeJapan』の時に1,000人ぐらいの前で一度歌わせていただいているんですけど、それと一桁違うってどういう感覚なんでしょう……? 今はまだ、どんな景色が広がっていてどんな気持ちになるのか、まったく想像できないです。

――ちなみにその『AnimeJapan』のステージの光景は覚えていますか?

4桁もの人を前に歌うのが初めてだったので、緊張しすぎていてそんなにはっきりとは覚えてないんですけど……『To see the future』が初公開になるステージでもあったので、皆さんから「ちゃんと聴こう」というか「受け止めよう」っていう意志をすごく感じまして。終盤には、知らない曲のはずなのにちゃんとノリながら聴いてくださっている方がすごく多くて、温かくて……ですので、『アニサマ』もそんな風になったらいいな、と思っています。

――その『アニサマ』のステージを、楠木さんはどういったものにしたいですか?

いつものイベントとは違って、きっと『To see the future』を聴いたことがない人のほうが多いと思うんですよ。イベントのときはすでに聴いてくださっている方ばかりなので、「一緒に楽しむ」みたいな感じをイメージしているんですけど、初めて聴く人にとっても一人ひとりに「この曲を聴いたら元気になれるな」っていう想いがちゃんと届けられるように、大切に歌いたいなぁと思っています。

――では最後に、楠木さんは今後声優としてどういうふうにいろんなことに挑戦していきたいのかをお伺いしたいのですが。

私、“みんなの心にあかりを灯したい”っていうことを目標にしていまして。先ほど『To see the future』の曲のイメージのときもお話させていただいたんですけど、ドンと背中を押してくれたりギュッと引っ張ってくれるものというよりは、一緒に隣に寄り添って歩いていきたいな、という想いが強いんです。だから、自分自身がやりたいことを極めていくのもそうですけど、自分の抱えているものや辛いなと思っていることを、晴らしてくれる存在になりたいんですよ。ですのでそれをいつも意識しながら、いろんなことに挑戦していきたいです。しかも私はやりたいことが常に多いタイプなので、「やりたいな」と思ったことはとにかく全部挑戦していきたいです。

――ちなみに、今やりたいと思っていることは?

今は、『アニサマ』も含めて「ライブしたいな」という気持ちがひとつありますね。それと、演技面においては今までにやったことのない役にたくさん挑戦してみたくて。今のうちに、いろんな経験を積んでおきたいです。

取材・文:須永兼次

リリース情報

レン(楠木ともり)/
『To see the future』

 

発売中!
SVWC-70347
1,296円(税込)

イベント情報

Animelo Summer Live 2018 “OK!”

今回インタビューをさせていただいたレン(楠木ともり)さんは24日(金)に出演!

日時:8月24日(金)、25日(土)、26日(日) 各日14:00開場、16:00開演
会場:さいたまスーパーアリーナ
公式WEBサイト(PC・モバイル共通):https://anisama.tv/

 

『アニサマ2018オフィシャルパンフレット』
は8/24(金)~26(日)の3日間、
さいたまスーパーアリーナのアニサマ物販エリアにて販売!


 
【内容】
出演アーティストプロフィール掲載のほか、インタビューを多数収録!
【インタビュー】
レン(楠木ともり)、OLDCODEX、Aqours、TrySail、GARNiDELiA、ORESAMA、DearDream、
Poppin’Party、いとうかなこ、神前 暁(MONACA)、唐沢美帆
【特典映像DVD】
ウマ娘 プリティーダービー Animelo Summer Live 2018出走記念「アニサマダービー」トレーニング
【価格】3,500円(税込)
(c)Animelo Summer Live 2018/MAGES.
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