私立恵比寿中学・柏木ひなたが雨音薫役に挑む! 「いろいろな発見をしながら舞台を楽しみたい」舞台『タイヨウのうた~Midnight Sun~』
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柏木ひなた
2018年9月、舞台『タイヨウのうた~Midnight Sun~』が東京・大阪にて上演される。本作は「色素性乾皮症(XP)」という病を患い、夜しか活動できないギターと歌が大好きな少女と彼女に出会った少年の純愛、その未来を描く物語。2006年にはYUIと塚本高史主演の映画として上映、さらに同年には山田孝之、沢尻エリカ主演でTVドラマ化され、大きな話題となった。
今年5月、ハリウッドでも『MIDNIGHT SUN』というタイトルで映画化され、ベラ・ソーンと、アーノルド・シュワルツェネッガーの息子パトリック・シュワルツェネッガーが主演を務めている。そんな不朽の名作が2018年9月、初の舞台化を迎えることとなった。
本作にて辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)演じる藤代孝治と心を通わせるヒロイン・雨音薫を演じるのは私立恵比寿中学(以下、エビ中)の柏木ひなた。初のヒロイン役に挑む柏木が、今どのような心境で舞台に臨もうとしているのか。話を聞いた。
太陽の光にあたれないXP(色素性乾皮症)という病気を抱え海辺のまちに生きる雨音薫(柏木)。人々とは逆の時間帯に生活を送る薫の楽しみは、ギターを弾き歌うこと。祖母シゲ(高橋惠子)や父(三戸大久)、主治医である桜庭一子(手塚理美)にも大切に見守られながら、唯一の友人である松前美咲(高嶋菜七)を観客に演奏する日々。
ある日、薫は窓からずっとみていた二高サーフィン部のエース藤代孝治(辰巳)と出会う。サーフィン部の友人大西雄太(松崎祐介)、加藤よしき(藤原丈一郎)と楽しく過ごしながらも、将来への迷いを抱えている孝治。
急速に惹かれあっていく二人は、やがてお互いの運命を大きく変えていくー。
柏木ひなた
ーー今時点の稽古の手応えはいかがですか?
稽古初日はガチガチに固まっていたんですが、舞台をたくさん経験されている皆さんがいろいろなアドバイスをしてくださったり、お芝居以外の話でも盛り上がったりしているので楽しく過ごせています。私はすごく人見知りするタイプなんですが、初日の顔合わせの時からなんだかすごくいい雰囲気で。たぶん皆さんの方も初めての方が多かったから同じ関係性で仲良くなれたのかもしれないですね。孝治役の辰巳さんは私と年齢が10歳以上違うんですが、本当に頼りになる方です。「困ったときは何でも聞いてね」って優しいお兄ちゃんです。
ーー柏木さんは朗読劇への出演経験はありますが、ヒロイン役は初めての経験。以前から舞台に出たい、という想いがあったんですか?
演技のお仕事が好きなので。特にアピールはしてこなかったんですが、いつかはやってみたい、と思っていました。でもまさかこのタイミングで、こんなに大きな舞台で、しかもヒロイン役でというびっくりする事が続いてうわーっ! て思いました(笑)。これまではエビ中での舞台しか経験してなかったので、今すごく緊張しています。でも初めてだからこそ、いろいろな発見をしながら楽しめればいいかな、と思っています。
私は歌うことがすごく好きなんですが、何かのシーンがあってそこから歌う、っていう歌い方はこれまでに経験がなかったんです。エビ中で歌うときはすごく太い声で声張って歌っているんですが、この舞台では全く違う歌い方をしないとならないので、稽古でも日々新しい自分を発見している状態です。
柏木ひなた
ーー柏木さんから見た薫という子はどんな子でしょうか? 柏木さんご自身が共感できる部分はありますか?
薫は、自分がいつ死んでしまうかわからないから、逆に生きられている時間を精一杯楽しもうとしている子。それが台本を読まなくてもそのエネルギーを強く感じます。自分の病気の事があるからこそ、むしろ強くなれているんだろうなって感じました。
私も数年前、耳の病気になりました。その当時は、辛かったり、もうこういう仕事はできないかな……といろいろ感じたんですが、そういう点では薫と気持ちが重なり、共感できますね。私も病気になってから逆に強くなれたように思いましたし、この病気とは一生付き合っていくことになるので、だったら味方につけて、一緒に戦おうと思ったんです。
私はもともと、他人に何かを相談するのがすごく苦手で一人で抱え込んでしまうタイプなんです。でも耳の病気になってからは、たまには誰かに頼ってもいいんじゃないかなと思えるようになりました。病気になってから3、4ヶ月後にライブツアーがあって、その時メンバーやスタッフさんに頼らせていただき、なんとか無事完走できたんです。その時に自分と向き合う時間を作れたと思います。
柏木ひなた
ーー誰かに頼るって簡単そうで実は難しいですよね。ちなみにエビ中のメンバーで柏木さんがいちばん相談したりしやすい人は誰ですか?
メンバーは全員、何でも言える関係ですが、そのなかでもよく相談事をするのが安本彩花ですね。MC位置が隣で同い年で。彩花も悩みがある時に周りにはなかなか言わないタイプなんです。顔にはすごく出ているんですが(笑)。私も周りに言わないタイプだって事を彩花も気が付いているので、お互いがお互いに言えるようになって……そこからはいちばん話しやすい関係になっています。
ーーこの物語では薫と美咲のような関係ですね。
そうですね! そういう似たような環境もあって、より薫に共感できます。
柏木ひなた
ーーちなみに今、薫としてどのように舞台上で歌おうとしていますか?
太陽の光を浴びることができない薫なんですが、そこで出会った孝治が薫にとっての太陽のような存在になり、その事を感じながら切なさや寂しさを歌で表現しています。薫として5曲くらい歌う予定ですが、同時にギターも特訓中です。慣れてないので難しいですね。
実は以前、エビ中で私の「生誕祭」ライブをやった時に「タイヨウのうた」を歌った事があるんです。その時はギターの弾き語りに初挑戦したい、という目標があって、ネットで「ギター」「初心者」「簡単」で検索して出てきたのが「タイヨウのうた」。それならばこの曲をやってみようと思って歌ったんです。で、その一年後、この舞台のお話をいただいたので本当にびっくりしたんです。何かの縁があったのかなあって思いますね。
ーーえ! それは本当に不思議な運命ですね!
ファンの方からは「一年前からこの舞台に出ることが決まっていたの?」って聞かれるんですが、まったくそんな事はなくて。びっくりですよね。
ーーちなみに雨音薫役を柏木さんで、と決まった理由をどなたかから伺ったことはありますか?
詳しい理由は聞いた事がないんですが、「『タイヨウのうた』を舞台化したい」という話が来た時、事務所の社長の頭に私の顔がパッと浮かんだって話を聞きました。
ーーきっと薫と柏木さんに何か重なる部分があったんでしょうね。薫に共感する点が多い、というお話ですが、逆に役作りで難しい、大変だと感じる事はありますか?
太陽を浴びることができない、という設定なので、私も日焼けをしちゃいけないだろうなと……でも今、日焼けしていまして。日焼け止めも塗っているんですが、それでもいつの間にか焼けてしまっていて(笑)。ライブ中は皆とおそろいの衣裳だから一人黒い服を着たり、長袖にする訳にもいかず(笑)、そこがいちばん大変です! 「エビ中 夏のファミリー遠足 略してファミえん in 山中湖2018」という野外ライブもあるので、それが終わったら必死で色白になろうと思います(笑)。
柏木ひなた
ーーさて、柏木さんは今年、10代最後の年となりますが、今回の舞台以外にやっておきたいことってありますか?
いつもグループにいるので、一人でする仕事ってあまりやったことがないんです。だから自分の個性などを活かした仕事ができるようになりたいです。それに、新しい事にもチャレンジしてみたいです。すぐにでもやりたいのは野球の始球式です! 私はヤクルトスワローズが大好きなんですが、先日吉田豪さんがヤクルトの始球式をしているのをよく見たら、吉田さんがエビ中のリストバンドを付けていたのにびっくりして「わ、先を越された!」って(笑)。「超・つば九郎タイムス」という番組にゲスト出演したときに、占いをする方から「今年の9月くらいに始球式ができる」って言われたので、今はその予言を信じて、でも日焼けしないように、室内で投げる練習をしていようと思います(笑)。
ーーその予言が実現するように言い続けていきましょう(笑)! 最後になりますが、ファンの方、これから舞台をご覧になる方にメッセージをお願いします。
舞台を観に来てくださるエビ中ファミリーの皆さんの方がドキドキしているんじゃないかなって思います。恋愛ものだし、どんなシーンがあるんだろうって。皆さんの期待を裏切らないように、自分らしい薫を演じたいと思います。この物語は恋愛だけでなく家族や友人との関係も描いているので、是非自分が大事にしている方と一緒に観ていただきたいと思います。
柏木ひなた
取材・文・撮影=こむらさき
公演情報
【東京公演】2018年9月5日(水)~9日(日) なかのZERO大ホール
【大阪公演】2018年10月13日(土)、14日(日) NHK大阪ホール
■上演台本:モトイキ シゲキ
■演出:佐藤幹夫