シアターコクーン初の“俳優向けワークショップ”オフィシャルレポート到着 講師はフィリップ・ブリーン
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Bunkamuraシアターコクーンでは、2016年秋より「海外の才能と出会い、新たな視点で挑む演劇シリーズ」として、“DISCOVER WORLD THEATRE”シリーズをスタートしている。その創造活動の一環として俳優向けワークショップを行う事となり、2018年7月4日(水)~6日(金)に第1回『シアターコクーン・アクターズ・ワークショップ』を開催した。本ワークショップの様子を記したオフィシャルレポートをお届けする。
7月の都内某所。猛暑のなか、シアターコクーン初となる俳優向けワークショップが開催された。講師を務めるのは『罪と罰』の演出を担うフィリップ・ブリーン。過去にシアターコクーンで演出した『地獄のオルフェウス』(2015)、『欲望という名の電車』(2017)の評価もあり、定員を大幅に超える応募があったと言う。
参加者には、テレビでもお馴染みの俳優から期待の若手まで、年齢層も幅広くバラエティ豊かなメンバーが揃い、シェイクスピアの三作品『リア王』『ウィンザーの陽気な女房たち』『お気に召すまま』を題材に、俳優の“心理的リアリズム”ではなく“テクニック”に注視したワークショップが行われた。
前半はシアターゲームから始まり、韻文・散文の読み方、呼吸と身体に関してなど、アカデミックに進んでいく。後半は、前半で学んだテクニックをふまえたシーンスタディ。ブリーンがつける演出に俳優は機敏に反応し、短時間のうちにシーンが出来上がっていく。そのアプローチの面白さに会場は驚きと笑い声にあふれ、ブリーンも新たな俳優との出会いに興奮していたようだ。3日間のカリキュラムはあっという間に終わり、多忙を極めるブリーンはワークショップ最終日の深夜便でロンドンへと発った。
フィリップ・ブリーン
■演出家 フィリップ・ブリーン
イギリスの名門ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで研鑚を積み、古典から現代劇、ミュージカルにコメディと幅広く精通しているブリーンは、誰よりも戯曲を知り尽くしているからこそ、熱量をもってしゃべる。そして止まらない。たくましい身体とは不釣り合いなほど丁寧に本を読み解き、皆で共有しながら一歩ずつ進めていくその演出は、出演者からも厚い支持を得ている。実はこう見えて39歳。リヴァプールFCの大ファン。10月にはシアターロイヤルバースにて『Shakespeare in Love(恋に落ちたシェイクスピア)』が開幕予定。
2016年秋よりスタートした“DISCOVER WORLD THEATRE”シリーズでは、舞台芸術の本場・英国の演出家やクリエイターを招聘し共同で作品作りを行っており、その一環として、シアターコクーン初となる俳優ワークショップを企画しました。今回のような演出家と俳優の出会いの場を創出する事が、先々の作品作りの糧となればと思っております。演劇で国境を越える冒険へと導いてくれた演出家・蜷川幸雄芸術監督が生み出した舞台作品同様、世界に通用する演劇を作り続けるための道のりとして、今後も本シリーズでは新たな取り組みを進めていく予定です。
公演情報
立石涼子、勝村政信、麻実れい ほか