米原幸佑・健人、初共演の2人にインタビュー　Live Musical「SHOW BY ROCK!!」―狂騒のBloodyLabyrinth―　迷走中(?)の稽古場取材

Live Misical「SHOW BY ROCK!!」の新作公演、ー狂騒のBlodyLabyrinthー が8月30日に開幕した。公演に先駆けて、本作の稽古の模様が公開された。

さらにシンガンクリムゾンズのヴォーカル・クロウ役の米原幸佑と本作から新登場のフカシギミックのヴォーカル・マロ役の健人のインタビューをお届けする。

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この日公開された稽古は、マロがライヴ明けの「シンガンクリムゾンズ」（以下、シンガン）に出演依頼をするお芝居パートと、フカシギミックのライヴパートの２つのシーンだ。

まずはシンガンのクロウ（米原幸佑）、アイオーン（輝馬）、ヤイバ（鳥越裕貴）、ロム（郷本直也）が舞台に入ってくるところから始まり、立ち位置を確認しながらシーンを流す。その後脚本・演出の斎藤栄作が台本を片手に「こういう風に見せたい」という演出の意思を伝えつつ、立ち位置や姿勢、音楽に合わせて尺を調整していく。台本には直接書かれていない動きを追加し、舞台全体を使うように客の視線を追いながら役者の移動を決めている。

また時に斎藤はシンガンのメンバーに対して「そっちでおもしろいことやって」と演出を任せることも。長期間一緒に舞台を作ってきての信頼があるからこそだ。それに対してシンガンの4人はあれをやるか、いやこっちのほうが面白いんじゃないかと動きながら固めていく。

本筋とは関係ないところでクロウ、アイオーン、ヤイバの3人が小芝居している箇所があるのだが、本筋のリテイクで何度も繰り返す間も同じ芝居ではなくあれこれ会話をしながら試行錯誤しているのが印象的だった。まさに“目が足りない”お芝居やアドリブはこういうところから生まれ出るのかと鳥肌が立つ思いだった。

しかし一筋縄ではいかないところも、もちろんある。輝馬のアイオーンと鳥越のヤイバは、おもしろいことをやりすぎて「長くなるから、尺考えてね」なんて言われてしまうことも。そして脇に控えて見ているキャストも笑ってしまうほどのものが出来上がる。

ロム役の郷本は声量がすごい。ざわついていた場面でもロムの一言でその場がしまり、見ている取材陣もピリピリと感じる緊張感に息を殺して固まってしまうほど。
チームのヴォーカルであるクロウの心情は特に強く描かれているため米原の出番は多く、歌詞や曲調だけでなく、セリフや動きに巧みな表現力を要求される。斎藤やキャストたちとキャラクターの心情や全体の流れを確認しあい、ひとつひとつ噛み砕いて理解しながら動いている様子だった。

今回初登場となるバンド「フカシギミック」はVo＆Gtのマロ（健人）、Baのゲ・フロッチ（畠山 遼）、Drのシャッキー（吉村駿作）の3人組。タイアップしているのは大阪で活躍中の3ピースロックバンド「バンドごっこ」で、キャッチーなメロディーは数回聞いただけで頭から離れない。歌唱以外の芝居を中心に修正が入ったこの日の稽古だったが、彼らと一番近い場所でこの曲を聴いていた米原は、このシーンの稽古終わりにメロディーを口ずさんでいた。他の出演者も、自分以外のライヴの時はノリノリでパフォーマンスを見ている。

休憩時間はパワフルにドラムを叩き続ける郷本、奥の方で筋トレをしている鳥越、移動の時に固まって動くアルカレアファクト（チタン役　糸川耀士郎、オリオン役 田中涼星、セレン役　板垣李光人、アルゴン役　滝川広大）……など、各チームごとに今までに築いてきた信頼関係やグループ感のようなものを感じつつ、本番に向けて着々と準備をしている姿が見られた稽古日であった。

■シンガン米原＆フカシ健人、両チームのヴォーカルにインタビュー

ーー米原さんにお聞きします。前回のフェス(～THE FES 2018～／2018年6月)はいかがでしたか？

クロウ役　米原幸佑：6月の公演は2回目のフェスだったんですが、お客さんが「SHOW BY ROCK!!」に対してライヴを求めてたんだなとか、はしゃいでたくさん声出したりとかしたかったんだなって改めて実感できたライヴでした。お芝居とミュージカルとライヴと3つの要素がある本公演とは違い、一番シンプルに「SHOW BY ROCK!!」の良さが出たんじゃないかなって気がします。本公演ではいろんなバンドとのつながりなどのお話があるので、本公演とフェスとですごくバランスがいいなって思いました。

ーー仲間内で「はしゃいだな～」「テンションが上がったな～」と思うエピソードはありますか。

米原：半年ぶりくらいに「SHOW BY ROCK!!」のメンバーと会ったというのもあり、フェス中はずっとはしゃいでましたね。稽古期間もそんなに長くなかったので、コンパクトに楽しんでいたなと（笑）。対バン形式で、なんというか解放されていました。ミュージカルもこれから通し稽古が始まるんですが、僕らも全体がどういう風になっているのかまだわかっておらず、稽古が進んでいくうちにまたテンションあがってくるんだろうなって思います。お互いに「ああ、そうくるか」みたいな刺激されあうような現場です。他のシーンが面白かったら「おもろいことやってんな、こっちも頑張ろう」みたいなね！

ーーそして健人さん演じるマロ、そしてフカシギミックとはどのようなキャラクターたちでしょうか。

マロ役　健人：自分の事をカニだと信じて疑わないカニカマの役です。その時点ですごいんですが……、フカシギの3人とも語尾が特徴的で可愛い感じがあります。でもなぜか武術をやっていて腕っぷしが強いところもあります。タイアップバンドさんが関西の方で、チームの雰囲気もちょっと関西っぽいところがあるんですが、でも僕たちは関西弁で喋るわけじゃないし。フカシギにはいろんな要素が含まれています。まだ稽古のなかでみんなで話し合って試行錯誤している途中です。そんなたくさんの面を見せられたらいいなと思っております。

ーー「しょばみゅ」稽古に入ってみて感じたこと、難しいとか楽しいと思ったことはありますか。

健人：今まで出演されている方は本当にすごいと思いました。他のチームの演奏も見ていたんですが、とても惹かれるものがあります。バンドのカラーもそれぞれ違うのにどのチームもその世界観に引き込まれると言いますか。フカシギとしてももっと頑張って、みなさんについていかなきゃなって思っています。終始楽しい現場でございます！

ーーフカシギのメンバーとは初めましてだったんですか？

健人：そうですね、全員が初めましてでしたが初めて会った時から仲はいい感じでした。

米原：初共演に見えないもんね。

健人：3人ともマイペースなんですけど、それぞれちょっとずつ違ってて（笑）。でもこの3人でよかったなって思います。

米原：新しい、今までにない形の3人が来たなって感じがします。毎公演バンドが増えていますが、みんな違うカラーを持っているいい子たちが来るのですごいなって思っています。フカシギはマイペースなんだろうなっていうのがすごく雰囲気出てますね。忍迅雷音（にんじんらいおっと）はいい意味でちょっと頭おかしいというか……飛び道具みたいなやつらしかいないような感じだったのを嵐役の辻諒が頑張ってまとめていました。フカシギは各々でちゃんと作業している感じが、見ていて良いチームだなって思います。

■もう過呼吸になるんじゃないかなって。ヴォーカルは大変

ーーおふたりは初共演とのことですが、お互いにどのような印象を抱いてますか。

米原：シュッとしとるなぁって。

健人：（笑）

米原：かっこいいなって思いました。

健人：僕はもともと公演や映像などで見させていただいていたので、「あ、この方か！」っていう感じでした。稽古に入るとめちゃくちゃウルトラマンでしたね。魅せ方とかもすごいなって驚く部分がいっぱいあるので、いろいろ盗んでいきたいです。

米原：今まで部分的な稽古が多かったんですが、ようやく通し稽古が始まりみんな揃いだしました。今度フカシギのメンバーともみんなでご飯行こう～なんて話しているので、これから健人の化けの皮をはがしていきたいなって！　今はただの爽やか風に見えてますが、引きずり出していきたいなって思ってます。

健人：ガンガンはがしてやってください。

米原・健人：（笑）

ーー稽古をしてみて、今回はどういう公演になるでしょうか。

米原：今回は本当にタイトル通りというか。迷い込んでますね。キャラクターも僕らも迷走してます。もう、正解が全くわからない、っていう（笑）

ーーどうまとまるのかを楽しみにしていたらいいんでしょうか……？

米原：いやー、なんかまとまらないような気もする。（演出の）斎藤栄作さんとも話したんですが、クロウの心情的にブレッブレになっているのがいいっていうか。どこまでブレていくのか、どこできゅっとさせるのかは今後の稽古でですかね。過去イチ、ぱっと見だとすごく浅～いところにいるような雰囲気はあります（笑）。昨日の稽古のやつもなぁ？

健人：（笑）

米原：最後の見せ場のシーンでは、大劇場でこんなコトする!?　っていうことをします。そこも「SHOW BY ROCK!!」の良さだなって。

健人：各チーム揃っての大運動会といいますか。

米原：お遊戯会のめっちゃ豪華な感じ。これって良い意味の宣伝になるかわからないけど、俺たちはそういうのを全力でやってる大人たちです。そういったところも楽しんでほしいですね。

健人：僕は初参加なので、他のチームとは違う色を出していきたいというか、新しい風を吹かしていきたいなって思っているので。

米原：おっ、「フカシギ」だけに？

健人：今自分で言ってて思っちゃった（笑）。

米原：もう「フカシギ」感だしてるやん～！

健人：まずはフカシギミックとして3人でグループを固めていく作業が大事かなって思っています。あとバンド演奏。僕今まで楽器をやったことがなかったので、コードを覚えて、弾けて、歌って、っていう単純な考えでした。でも実際に稽古入って自分でやってみたり、他のグループの稽古を見ていても、グループで一緒に演奏しているからこそのアイコンタクトや一緒にライヴを作っている空気感を出したり見せ方であったりとか細かい部分まで色んなところにいろんなことをまだまだ詰めれるものがあるなって思ってます。

米原：この前バンド稽古見ましたけど、めっちゃかっこよかったよ。

健人：曲はめちゃくちゃかっこいいんですけど、歌ったら本当に難しい！

米原：「SHOW BY ROCK!!」の曲ってホンマそうなんすよ。めっちゃカッコイイ。聴いてる分にはいいんですけど、やってる本人たちはもう過呼吸になるんじゃないかって。ヴィーカルは大変なんですよ……これ生で歌うこと想定してないですもん（笑）。

健人：そうですね～それをどうクリアしていくかってのが今後の作業でもありますね。

■「フカシギ」として新しい風を吹かしたい

ーー平成最後の夏はどんな夏でしたか？

米原：稽古場と家の行き来でしたね。

健人：ですね～。

米原：何にも夏らしいことしてません……。うーん、暑いなぁって（笑）。

健人：今年むちゃくちゃ暑かったですもんね。

米原：平成最後の夏はすごい暑かったので、それに負けないくらいの熱量でこの作品を届けられたらいいなって思ってます！

ーーもしお休みがあったら行ってみたいところはありますか？

米原：海は行きたいですね～。ただ自分で行くのが面倒くさいので誰かに連れてってもらいたいです。

健人：誰かに運転してもらって（笑）。

ーー記事を読んでくださるファンの皆様に一言お願いします。

米原：外は暑いですが、劇場はきっと涼しいです。涼みに来てもらえたらいいなと。

健人：浅い……（笑）！

米原：いろんな意味でキャラクターが進化しています。フカシギミックというチームも入って、今回は今回ですごく新しい「SHOW BY ROCK!!」になっているので、今までのファンの方も初めて来る方も、ワクワクしながら見に来てもらえたらいいなって思います。

健人：初登場なんで、「フカシギ」として新しい風を吹かしていきたいと思います。

米原・健人：（お互いを見ながら）「フカシギ」だけに～!!

取材・文＝松本裕美　撮影＝山本れお