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『FM802 弾き語り部』夏季演奏会でLAMP IN TERREN 松本大、SHE’S 井上竜馬など6組のライブ模様をレポート

2018.9.12
レポート
音楽

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『FM802弾き語り部♪夏季演奏会』2018.8.28(TUE)大阪・心斎橋JANUS

ライブイベント『FM802弾き語り部♪夏季演奏会』が、8月28日に大阪・心斎橋JANUSにて開催された。

FM802弾き語り部は、LAMP IN TERREN・松本 大が、FM802へのゲスト出演の際に「弾き語り部を作って部長になりたい」と発言したことがきっかけで生まれたプロジェクト。これまで、秋のサーキットフェス『MINAMI WHEEL』、年末のロック忘年会『RADIO CRAZY』での課外活動を経て、この春に『新春発表会』と銘打ってライブハウスで初開催。そして、早速2度目の開催となる今回は、言いだしっぺなので部長を務めることになった松本をはじめ、井上竜馬(SHE’S)、内澤崇仁(androp)、Jose(TOTALFAT)、藤森元生(SAKANAMON)、Rihwaを新入部員として迎え、ライブ後にトークを交える形で盛大に演奏会が繰り広げられた。

満員御礼の会場に、弾き語り部・宣伝係のFM802のDJ・飯室大吾と、今回から女子マネージャーとなったFM802のDJ・田中乃絵、そして部長の松本が登場して先ずは挨拶。部の成り立ちと活動報告が行われた。

◆Jose(TOTALFAT)

Jose(TOTALFAT)

そして、トップバッターで登場したのは、Jose(TOTALFAT)。「俺も入りたい!」とアプローチが叶って、念願の入部になったそうで嬉しそうな笑顔を浮かべたまま、「晴天」でライブをスタート。弾き語りならではの温かみあるサウンドが、TOTALFATの楽曲のメロディの良さが際立たせる。続いて、「ラジオも絡めた曲に、夏の香りを添えて」と徳永英明のカバー「壊れかけのRadio」に「夏のトカゲ」をマッシュアップ。さらに、「弾き語りをする上で、テーマとして対バンしていいと思った曲をカバーさせてもらっています。

Jose(TOTALFAT)

今日は普段カバーしてる曲で、そのバンドの人がいるので……」と切り出し、SHE’Sの井上竜馬を呼びこんで「遠くまで」でコラボ。贅沢なツインボーカルのハーモニーに、観客もうっとり。最後は、作者である漫画家のさくらももこ氏の訃報があった翌日ということもあり、『ちびまる子ちゃん』のアニメOP曲「おどるポンポコリン」を披露。幼いころから漫画で親しんできたという格別の想いを込めて、観客と大合唱を捧げた。

Jose(TOTALFAT)

◆内澤崇仁 (androp)

内澤崇仁(androp)

「ギターのストラップもピックも忘れたぐらい、部活ノリで来てしまったんですけど僕なりに頑張ります」と、飄々と登場したのは内澤崇仁 (androp)。「僕もSHE’Sの曲を歌ったたら、(井上)竜馬くん来てくれるかな…」と、早速「Curtain Call」をカバー。歌いながら、「井上はまだかなぁ……」と言わんばかりに、ステージ袖をチラチラと気にしている様に、思わず観客も「可愛い……」と声を漏らす。中々出て来ない井上……、このまま曲が終わってしまうかと思いきや、いいタイミングで井上が登場! 内澤の期待に応えて、手を振って盛り上げるサプライズな展開に。「言ってみるもんだなぁ」と、ニコニコしていた内澤。しかし、すっと真剣な表情になると、「松本部長が復活したということもあって、今回の出演は即決しました」と、ステージに立つに至った想いを語る。そう、松本は、声帯ポリープの切除手術のため約4か月におよぶ休養から復活したばかり。そんな松本に贈られたのは、LAMP IN TERRENのカバー「キャラバン」。それを聴きつけて、ステージ袖からそっとすり足で松本ご本人が登場。

内澤崇仁(androp)

おもむろにマイクをとって、共に歌い上げる心温まるシーンも。これには内澤がまた、「言ってみるもんだなぁ」とつぶやいていた。最後は、この日が記念すべきフラゲ日ということでニューシングル「Hikari」を弾き語りで披露。制作の期日ギリギリまで息詰まっていたところ、大阪でのライブ後に一気に作りあげることができたという、強い想い入れがあるだけに、よりエモーショナルに大阪の観客へと歌い届けられた。

内澤崇仁(androp)

◆藤森元生 (SAKANAMON)

藤森元生(SAKANAMON)

コラボあり、大阪でのドラマありというストーリーある、いい意味でマイペースにズバッと断ち切って、これまでとは一風変わったステージングをみせたのは藤森元生 (SAKANAMON)。最初こそ緊張の面持ちだったが、「自分が住んでいたワンルームの、その隣に住んでいたサラリーマンの悪口を歌います」と、「102」へと入った瞬間、感情がグッと込められた歌で魅了。空気を変えてみせた。完全に自分の流れを作り出して、今度は結成10周年を記念して作られた「ロックバンド」を高らかに歌う。ギターロックバンドが、アコギを衝動のままにかき鳴らす迫力には圧倒される。

藤森元生(SAKANAMON)

「大阪だからとかでなくって、カラオケの十八番を歌います」と、今度はウルフルズのカバーで「笑えれば」。最初の緊張感も、なかなか機会が無い弾き語りライブへの不安感も吹っ切れた様子で、ハハハと笑いながら熱唱。ラストは、翌日に配信リリースされた、ドキュメンタリー映画『SAKANAMON THE MOVIE~サカナモンはなぜ売れないのか~』のエンディング曲「箱人間」を披露。弾き語りとはいえ、ステージから飛出しそうな勢いと熱量を放っていた、SAKANAMONらしい一筋縄ではいかないライブで、観客の心をしっかりと掴んでいった。

藤森元生(SAKANAMON)

◆Rihwa

Rihwa

ここで紅一点、シンガーソングライターのRihwaが登場。ハツラツと「春風」でスタートさせたライブは清々しく、なんとも華やか。「生まれて初めての部活なんです。だから、凄く気合いが入っています!」と切り出して、新曲「Sun Comes Up」が歌われた。この曲、映画『プラダを着た悪魔』の主題歌「Suddenly I See」を歌ったKTタンストールとの共作にして、KT初プロデュースの作品。さらに、グラミー賞3度受賞のあの、MAROON5のギタリストジェイムズ・ヴァレンタインが楽曲制作と演奏で参加しているという、渾身の1曲を弾き語りで“宇宙初披露”。ご機嫌なサウンドにのった歌声は、聴けば勇気と活力が湧いてくるようなパワフルさ。エネルギー溢れるステージングで、気合いだけでなく、「MAROON5が2月に来日するんですけど、オープニングアクトに出してもらえないかなぁ……」と野心まで見せてくれ、その頼もしさに脱帽。

Rihwa

「FM802ではジングルを作らせてもらったり、いろいろと挑戦するキッカケをもらってきました。今日は、“カバー曲を披露する”という挑戦を。普段はあまりやってないんですけど……」と前置きしたうえで、The Jackson 5のカバー「I Want You Back」を軽快に、ソウルフルに歌い上げた。ラストはステージを縦横無尽に動き回り「Having a Good Time」で観客と共に歌うハイライトを生み出し、その歌唱力の高さで存在感をアピールした。

Rihwa

◆井上竜馬(SHE'S)

井上竜馬(SHE'S)

颯爽と登場するやいなや、「8月にFM802でヘビーローテーションにしてもらった曲を」とピアノの弾き語りで「歓びの陽」を披露した井上竜馬(SHE'S)。これまでのギターの弾き語りとはまた違った美しい旋律を奏で、ダイナミックなスケールを纏う。演奏が終わると、今度は軽妙洒脱なトークで観客の心を鷲掴みに。「ずっと大阪に住んでいたので懐かしい…」という何げないエピソードが、どうしてこうも笑えるのか分からないほど、とにかく達者なべしゃり。笑いの余韻を引っ張り過ぎることなく、ギターに持ち替えて歌った「グッド・ウェディング」ではしっかりと感動させる、緩急の求心力にグッとくる。

井上竜馬(SHE'S)

「なんだかんだ部長ですし、今日は大くんに敬意を表して。主役なんでね、カバーをやりたいと思います」とらしくないことを言ったかと思えば、オアシスの「Don't Look Back In Anger」を気持ちよさそうに熱唱。フリの効きまくった展開からのアンセムに、観客も大爆笑。そして、大合唱! 最後は、「松本部長とは、新宿で僕たちが弾き語りをしていた時に、彼がふらっと表れて、急にダニエル・パウターの『Bad Day』を歌うっていう衝撃の出会いから始まり……。こうしてまた同じステージに立てて、いい夏の想い出になりました」と振り返り、「aru hikari」を繊細に、弾むピアノサウンドをじっくりと届けた。

井上竜馬(SHE'S)

◆松本大(LAMP IN TERREN)

松本大(LAMP IN TERREN)

抜群のトークが光る井上のライブを受けて、トリを飾る部長の松本大(LAMP IN TERREN)が登場。「トークは得意じゃないので、おしゃべりに時間を割くぐらいなら、聴いて楽しんでもらえるような歌を、しっかり届けようと思います」とストレートに想いを届け、「花と詩人」をピアノで弾き語り。このライブのレポートを書き留めねばと、メモにペンを走らせる音まで聴こえそうな、シーンと張り詰めた空気の中、力強く響き渡る歌の迫力で観客を圧倒。「(井上)竜馬がやっていたので、初めてピアノでやりました」と、思い付きだったことが明かされたかと思えば、「今日は何も決めてません」と白状して、観客からリクエストを募る。用意したPCでコード譜&歌詞を検索しながら、リクエストされたBUMP OF CHICKENの「銀河鉄道」、Mr.Children 「Marshmallow day」を披露。小細工なしで、淡々と歌だけで魅せていくスタイルに惚れ惚れとしてしまった。

松本大(LAMP IN TERREN)

ここで、松本本人の口から療養していた期間についても語られた後、「『弾き語り部♪秋の収穫祭』を開催します!」とサプライズ発表。「ぽろッとラジオで言った発言があれよあれよとイベントまでさせてもらって、今では自分にとって特別なイベントです。回を重ねるごとに、部長であることが申し訳なるぐらい先輩だったり自分より上手いと思う人が出てくれているので、影響を受けるし、負けてられないなと、すごく試練だなと。だけど、部長としてバンドと同じく、責任もって引っ張っていけたらと思います。バンドは、本気で売れてやろうと思っています。弾き語り部は、一人で歌うことで、誰かの曲を、人の作った曲をどれだけすばらしいもんだったか一緒に分かち合いたいなと……、その……、何が言いたいのかというと、俺……、頑張ります!!!」と宣言。これには観客も思わずガッツポーズだった。目頭の熱くなる宣言から、最後に歌われたのは、「メイ」。《何も失っていないよ 貴方が明かしてくれた/この声が届いた その日から 手に入れた/ただひとつの証》……そんな歌詞が、胸に突き刺さる。何の心配もいらない、“松本 大、完全復活!”といえる堂々たるステージを見せた。

アンコールでは、そんな松本部長と井上が登場して、出会いの曲であるダニエル・パウターの『Bad Day』をコラボ。「自分のライブで、ちゃっかり先に匂わせて!」と、伏線を張っていた井上に松本がツッコミ。「せっかくなので……」と、JoseとRihwaも参加して観客と共に歌うフィナーレでイベントを締めくくった。

Joseがライブ中に、「普段はバンTにタオルを巻いているみんなが、今日はおしゃれして来てるの?」と冗談交じりに投げかけ、いつもと違った環境が新鮮な様子をみせていたのが印象的だった。弾き語りのライブが新鮮なのは、聴いているこちらも同じ。普段はバンド編成で、疾走感あるロックナンバーをハードに攻め立てたりする、そんなライブとはうって変わった和やかなムードが会場を包み込んでいた。曲調やライブ展開が変われば、ライブの空気作りも変わり自然とMCが多くなるので、歌い手の人柄をより知ることができる。その上で聴く楽曲は、より奥ゆきが感じられ深く胸に沁みる。いつもと違うスタイルだからこそ、いつもと違うアーティストの表情が見ることができるし、楽曲の違った良さを感じられる。「なるほど、弾き語りならではの魅力はこれか!」と、体感させてくれるだけでなく、披露されるカバー曲でルーツまで垣間見ることができたり、アーティスト同士の繋がりやドラマがコラボという形で届けられるので、なんて贅沢なんだと思った。

松本が発表した通り、次回「FM802弾き語り部 ー秋の収穫祭ー ~MINAMI WHEEL EDITION~」が、10月16日(火)に大阪・心斎橋BIGCATで開催されることが決定している。出演者は現在、松本部長しか発表されておらず、随時部員を勧誘中とのこと。

因みに、終演後にはの最速販売ブースに長蛇の列ができていた。この日の出演者の歌が、弾き語りの魅力が、しっかりと観客の心に届いた証だろう。どんな面々が名を連ねても、きっといつもと違うライブが観れるはず、新しい発見があるはずという期待の表れが、列になっていたように思った。どんなアーティストが出演するのか、BIG CATという大きな舞台でどんなステージが繰り広げられるのか……、追加発表とライブ当日を心待ちにしたい。

取材・文=大西健斗 撮影=FM802提供(森好弘)

イベント情報

FM802弾き語り部 ー秋の収穫祭ー 〜MINAMI WHEEL EDITION〜
●日時=2018年10月16日(火)開場/17:45 開演/18:30
●場所=BIGCAT
●出演=松本大(LAMP IN TERREN)/and more!
●前売=3,000円(自由・整理番号付・別途消費税&1ドリンク600円)
●当日=販売未定

●問い合わせ=BIGCAT[TEL]06-6258-5008