22年ぶりに京都・南座で2ヵ月連続の「吉例顔見世興行」製作発表をレポ―ト

2018.10.12
レポート
舞台

(C)松竹

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12月1日(土)より京都四條南座で京の年中行事「當る亥歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」が行われる。年末の京都の風物詩である顔見世興行。今年は11月の高麗屋三代襲名披露に続き、2ヵ月連続で行われる。また、「南座発祥四百年」「南座新開場記念」に加えて、松竹の創業者である白井松次郎、大谷竹次郎、両氏の追善を銘打つ。

9月に京都市内で行われた製作発表では、安孫子正松竹株式会社副社長より演目と配役が発表された。

昼の部は、『寺子屋』で幕を開ける。昨年、ロームシアター京都での顔見世興行で襲名披露した中村芝翫が南座に登場。「芝翫さんが松王丸を勤められます。芝翫さんにとっては南座での襲名披露のような気持ちではないか」と安孫子副社長。

また、武部源蔵の片岡愛之助、戸浪の中村扇雀がそれぞれ初役となり、園生の前を片岡秀太郎、千代を中村魁春が勤める。岡本綺堂の名作と名高い京都ゆかりの『鳥辺山心中』では、菊地半九郎を中村梅玉、若松屋遊女お染を片岡孝太郎が演じる。

新作歌舞伎の代表的な作品『ぢいさんばあさん』は、伊織・るんの老夫婦に片岡仁左衛門、中村時蔵、久弥・きくの若夫婦に愛之助、孝太郎と、いずれも名コンビ。鴨川の川床が舞台となる南座の新開場にふさわしい上演だ。昼の部締めとなる演目は『新口村』。亀屋忠兵衛を坂田藤十郎、傾城梅川を中村扇雀が勤め、忠兵衛の父・孫右衛門は中村鴈治郎が勤める。

夜の部は『義経千本桜』から。「木の実・小金吾・すし屋」という仁左衛門の権太の通しを上演する。梶原平三景時の梅玉は初役。また、若葉の内侍を孝太郎、主馬小金吾を片岡千之助と、親子3代での舞台も見どころ、「新しい俳優の誕生を、多くのお客さまに喜んでいただければ」と安孫子副社長。続いて、珍しい舞踊狂言「面かぶり」を若柳流の振付で鴈治郎が上演する。顔見世興行では22年ぶりの上演となる河竹黙阿弥の名作『弁天娘女男白浪』では、弁天小僧菊之助を愛之助が勤める。日本駄右衛門に芝翫、赤星十三郎に孝太郎と、南郷力丸に右團次、忠信利平を鴈治郎と、次世代の担い手たちが一堂に会する点も注目だ。夜の部を締めくくるのは『三社祭』を。南座の顔見世では5回目となるこの狂言を、中村鷹之資、千之助という若いふたりが勤める。安孫子副社長も「この二人に若さ溢れる『三社祭』を演じてもらいたい」と期待を寄せた。

新開場南座2か月目の「當る亥歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」は12月1日(土)から26日(木)まで。が11月5日(月)より予約が受付開始となる。

取材・文・写真=岩本和子