賞金女王・初勝利組が一発逆転!? 『富士通レディース2018』
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『富士通レディース2018』は10月12日(金)開幕
全38戦が行われる2018年のJLPGAツアーも早いもので、12日(金)から開催される『富士通レディース2018』を入れてあと7戦となった。
今大会の出場者は、まさにオールスターという表現がピッタリくる。1億2,595万円を獲得し、賞金女王レースでトップを走るアン・ソンジュ(韓国)を筆頭に、日本での賞金女王獲得を明言する申ジエ(韓国、1億2,566万円)がわずか29万円差で続く。昨年の賞金女王の鈴木愛は、右手首の負傷で長期離脱をしたにもかかわらず、やはり1億円超えの3位(1億1,592万円)で、逆転での連続賞金女王を虎視眈々と狙っている。
以下は、今年再ブレークしたと言っていい比嘉真美子(9,220万円)、常に上位で活躍を続ける成田美寿々(8,251万円)が4、5位と続いている。6位の黄アルム(韓国)が6,443万円とかなり差が開いているので、もうこの5人に今年の賞金女王レースは絞られたと言っても良いだろう。
現在のJLPGAツアーでは、それ以外にも注目したい項目がある。今年欠かすことのできない注目点は、やはり「黄金世代」というキーワードだろう。これは1998年~99年生まれの女子プロゴルファーのこと。この“当たり年”の年代同士の熾烈な優勝争いが、そのほかの世代の闘志に火を点けた。アマチュア時代の15歳で優勝を遂げた勝みなみや、黄金世代の先陣を切って優勝した新垣比菜に続き、どの選手も“ネクスト”を狙っている。
そして、その傍らを、じっと見ていた先輩ゴルファーたちは誰一人としていない。良い例の一つが先週の『スタンレーレディスゴルフトーナメント』で2勝目を挙げたささきしょうこだ。ツアー参戦2年目の2016年、『大東建託・いい部屋ネットレディス』で初優勝。その後は自律神経失調症、パニック障害などで精神的に万全とは言えない状況が続いたが、それを克服して優勝をもぎ取った。
この時期になると、“もう一つのレース”として注目されるのがシード権争い。先週まで賞金ランキング46位と、まさにシード落ちまで心配される状況の中、ささきしょうこはそのプレッシャーを跳ねのけた。その要因は病気であることを受け入れることと、「病気で苦しんでる方の力になれれば」という前向きな姿勢だ。もちろん、黄金世代がこれほど頑張っているのに、自分は……という自問自答も力に変換したに違いない。彼女が所属する日本触媒 IR・広報部の來栖暁部長も「(この2勝目で)ますます弾みがつきそう。社員にも大いなる喜びとなった。これからも大期待です」と話しており、スポンサー冥利に尽きる一勝だったようだ。
ゴルフは1人でできるわけではない。キャディーやコーチ、メンタルトレーナー、家族のサポート、そしてスポンサーやファンの気持ちに応えること。それが大きな後押しとなることを証明したのは、先月の『第49回マンシングウェアレディース東海クラシック』で涙の初優勝を飾った香妻琴乃だ。「いつ優勝してもおかしくない」と言われていた彼女は、優勝どころかシード落ちしてもファンやスポンサーが応援してくれたことが、大きな力になったと明言している。
100人プロゴルファーがいれば、100人それぞれに家族がいて、ファンがいて、応援している企業がある。そして「チーム〇〇」という技術、メンタル、体をケアするスタッフ陣がいる。その中で一人ひとりのプロゴルファーが、自身だけでない多くのものを背負って戦いをするこの世界。ささきしょうこだけに限らず、彼女たちが色々な困難を克服できるのも、そんな支えがあるからこそだ。
現在、シード権当落場にいるのは、以下の選手だ(2018年10月8日現在)。
45位 畑岡奈紗 2、090万円
46位 キム・ハヌル(韓国) 2、081万円
47位 笠りつこ 2、052万円
48位 渡邉彩香 2,040万円
49位 木戸愛 1,999万円
50位 原英莉花 1,990万円
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51位 藤田さいき 1,932万円
52位 原江里菜 1,900万円
53位 川岸史果 1,853万円
54位 金田久美子 1,812万円
55位 キム・ヘリム(韓国) 1,799万円
黄金世代で活躍している勝みなみや新垣比菜は、昨年100位以下だった。それが「次の優勝は私!」と発言するくらい、争いは激化中だ。また、復活組の昨年の賞金ランキングは、黄アルムは55位、有村智恵は58位、香妻琴乃は63位。そのどん底から這い上がっている。
浮き沈みが激しいシード権争いも、今年の安全圏は2,400万円というから、36位(2,515万円)の権藤可恋はほぼ当確か。『富士通レディース2018』のホステスプロ、柏原明日架(38位、2391万円)もほぼその圏内にいる。柏原はメジャーなどの高難易度の大会になると実力を出す大型プレーヤーで、優勝はいつかと多くのファンたちが待ち焦がれている逸材。今大会で初優勝を遂げられるかも注目だ。
賞金女王争いは? 次の復活選手はどの選手? 黄金世代のネクストは? 2勝目・3勝目をあげるのは? シード権争いは? などなど、興味が尽きることのないラスト7試合。『富士通レディース2018』が行われる東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)は、関東からのアクセス抜群で、グリーン上の熾烈なバトルを観に行くには絶好のチャンス。華やかさとともに秘めたる闘志をその目で確かめるには、最高の一戦となるだろう。