発条ト、一夜限りじゃもったいない〜森下真樹誕生日ワークショップシリーズ第4弾「ルーツを辿る〜発条ト 20歳祭〜」

　ダンサーの森下真樹は40歳のころから「誕生日ワークショップシリーズ」という企画をスタートした。実は僕がなんやかや追いかけていた4人の振付家にそれぞれ4楽章を振り付けてもらったベートーヴェンの《運命》も実は「誕生日シリーズ」の一環だったらしい。なんて贅沢なプレゼントなんだ。そのほかにも現代美術家・束芋との「遺言書ワークショップ」、“産まれる”をテーマに産婦人科医の熊谷歩氏とのトーク＆森下が産み育ててきたダンスを体験するワークショップなんてのもやっている。そんな森下のユニークな面を披露してきた「誕生日ワークショップシリーズ」4回目は、いちばんそれっぽい企画だ。「ルーツを辿る〜発条ト 20歳祭〜」。

　Study of Live works 発条ト。1996年、千葉大学在学中の白井剛（振付家・ダンサー・映像作家）、粟津裕介（音楽家）を中心に結成されたダンスユニットだ。決して超絶な身体ではない、個性的な体つきから生み出されるちょっとユーモアが漂うダンスが肯定されはじめたころ、音楽や映像を駆使した作品がとてもわくわくしたのを覚えている。おしゃれだった。残念ながら、僕はそのころ森下真樹ではなく別の女性ダンサーが好きだった。それはともかく、知らないうちに発条トは表舞台からフェードアウトした。その後の白井剛、森下真樹の活躍は言わずもがなだが、時折「発条ト」の名前が無性に思い出されてならない。

　さて、本題。森下真樹の原点を作り上げたであろう発条トの活動を振り返るのが、「ルーツを辿る〜発条ト 20歳祭〜」だ。★Demo&Talk＆Video上映会を行う。名付けて「20年前の作品を今の森下真樹＆○▲□▼★が踊ってみる!」「発条トーク　あの頃と発条トを囲んで話してみる!」。○▲□▼★てなんだ、とても気になる。

　「タイムニットセーター」（振付・出演：白井剛）再現デモンストレーションでは、甲斐美奈寿、酒井直之、中村駿、根本和歌菜、山口将太朗、森下真樹が出演する。

　この企画が何かに発展したらうれしいなと思うファンは少なくないと思う。

文：いまいこういち