ROTTENGRAFFTYの想い『ポルノ超特急』ーー心に響いたら追っかけて、ライブハウスでエネルギーをもらってほしい
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ポルノ超特急
『ポルノ超特急2018』2018.12.22(SAT) 23(SUN) 京都パルスプラザ
12月22、23日、ROTTENGRAFFTY(以下、ロットン)が主催する『ポルノ超特急2018 5TH ANNIVERSARY』が今年も京都パルスプラザで開催された。今年は10-FEETやDragon Ash、SUPER BEAVERなどロットンと繋がりを持つアーティストはもちろん、ジャンルの壁を越え、SADSやHYDEなどレジェンドクラスのアーティストを含む30組が出演。そして関西でのイベントらしく、吉本新喜劇やレイザーラモン、霜降り明星ら芸人が10組と、他にはない顔ぶれがそろった。“冬フェス”の枠を越え、ROTTENGRAFFTY だからこそ作り上げることができたステージの数々を目撃しようと、会場に観客が集結。「響都」でおきた熱狂と感動に満ちたイベントの模様をお伝えしたい。
●金閣にキュウソ、サンボ、ヤバTらが登場、NOBUYAが思わず見せた涙●
2008年にスタートした『ポルノ超特急』は同会場に移って今年で5周年を迎える。イベントは「超特急」の名の通り、オーディエンスを「乗客」、ステージは「車両」など電車にまつわる言葉で表現。大小あるステージは「金閣」「銀閣」と名付けられ、京都出身の彼ららしい遊び心が随所に。しかも、今年から銀閣ステージは場所を変えてキャパ数が増大! 誰しもが楽しめるようにと年々改良を重ね、常に「今年が最高!」と思わせる内容や仕掛けに、スタート……いや発車前から気分が高まっていく。
「ポルノ超特急2018!出発進行!!」と、MCのやべきょうすけとロットンメンバーによる開幕宣言ならぬ発車宣言で2日間にわたるイベントのスタートを告げる。
キュウソネコカミ
まずは初日。金閣ステージ(以下、金閣)のトップバッター第1車両としてキュウソネコカミが登場。タイトルまんま、体の隅々までシャキっと目覚める「MEGA SHAKE IT!」でライブが始まると一瞬にして会場の空気を一体化させる。今年で5年連続出場の彼ら、観客のテンションをどうあやつるかはすでにお手のものだ。「お願いシェンロン」では昨年に引き続き、NOBUYAがサンタ衣装(背中には聖夜上等の文字)で乱入! ダブル筋斗雲で見事なクラウドサーフを決め込んだ。
ヤバイTシャツ屋さん
続くヤバイTシャツ屋さんも「あつまれ! パーティーピーポー」から緩みを一切見せず、アッパーなテンションでフロアを沸かしていく。NOBUYAがリクエストした「肩 have a good day」では肩幅広すぎNOBUYAが登場し、会場に爆笑が起きたかと思えば、次曲「週10ですき家」ではN∀OKIが歌い、HIROSHI、侑威地も登場。 キュウソに続くコラボの連発にフロアは大いに沸いた。
サンボマスター
2年ぶりの登場となるサンボマスターは全てがとにかく強かった……。「ヤル気あんのか!?」とフロアを煽ると、「世界をかえさせておくれよ」から昂る感情がさらに突破しそうなライブを展開。リズムはいつも以上に厚みを増し、山口隆(Vo&Gt)が歌うたびに屈強さが増していく。何度も聴きこんだはずの楽曲なのに、そのあまりの熱量の高さに圧倒されてしまう。ラスト「輝きだして走ってく」、キラキラと輝いているのに血が滾る、なんとも言えない感情に思わず呆気に取られてしまった。
『ポルノ超特急』はバンド主催のイベントゆえ、出演するのはもちろんロットンと縁のあるアーティストばかり。ロック、ヒップホップ、レゲエやスカなど、ジャンルの壁を越えた面々が登場する。会場を移して以降はDIR EN GREY、MUCC、lynch.など、V系シーンからも実力派のアーティストが出演してきた。ただひとつ共通しているのは「ライブ力」があるかどうか。昨年にはT.M.Revolutionといった、メンバーがリスペクトするレジェンドクラスのアーティストも登場。そして今年、SADSとHYDEの出演が発表されたときには『ポルノ超特急』ファンならずとも、その知らせにシーンは大いに盛り上がった。
SADS
そして、その初日の金閣ステージ前半戦を締めるのがSADSだ。異様な緊張感がフロアを満たすなか、ポエトリーリーディングから始まる「Darkness Is My Spiral Mind」へ。この日のライブを以て活動休止となる彼らだが、「(僕らのことを)知らないかもしれないけど関係ない。気にしないで」と、初見の観客を置き去りにすることさえも厭わない、いつも通りのスタイルを貫く。それでも「知らない曲をやります」と披露した「忘却の空」では、会場から大きな歓声とレスポンスが沸き起こる。しかも、「打ち合わせしてないけど……ちょっと来て」とステージ袖で観ていたNOBUYAを呼び込み「SANDY」を披露!
SADS
一度は共演経験があるものの、「いつか同じ日の同じステージで歌いたい」と願っていた思いが自ら主催するイベントで実現したことで、NOBUYAは思わず大勢の観客の前で涙を見せる。その後は「THANK YOU」で圧巻のステージングを駆け抜け、その類稀なカリスマ性を以て観客を大いに魅了した。
●銀閣ではオメでた、FOMARE、四星球らが登場、賞レースでも話題となった金属バットも●
銀閣ステージもお忘れなく。オメでたい頭でなにより、SHIMA、FOMARE、犬式、ENTH、SHADOWS、四星球。そのどれもが金閣とは違った魅力に満ちていた。その中から数組を紹介したい。
オメでたい頭でなにより
オメでたい頭でなによりは「お祭り特急」よろしく、汗だく&大騒ぎなパフォーマンスで盛り上げてくれた。 「トップバッター獲ったどー!」とプレッシャーを撥ね退け、「鯛獲る」や「日出ズル場所」と多彩で遊び心溢れるサウンドで沸かすと、活きの良さをたっぷりと感じさせてくれた。
FOMARE
3組目、FOMAREはメンバーの一人が『ポルノ超特急』初開催時に観客として参加していたことを告白。そこから時を経て同じイベントに出演を果たせた彼らはロットンへの感謝やリスペクトを音に代え、魂込めたライブで応えたいと「君と夜明け」「風」など、清涼感高まるナンバーを一音々々、丁寧に綴っていく。
吉本新喜劇
アーティストによるライブだけでなく、お笑い芸人についてもレポートしたい。金閣、銀閣それぞれのステージで辻本茂雄を座長とする吉本新喜劇、天津、藤崎マーケット、金属バット、ネルソンズが登場。
金属バット
賞レースでも話題となった金属バットはブラックな風刺ネタ満載のネタで。新喜劇では「ポル超編」と言わんばかりにアドリブ満載のネタに、ステージ裏ではアーティストもみな腹を抱えて笑っていた。
Fear, and Loathing in Las Vegas
金閣はFear,and Loathing in LasVegasから後半戦へ。「Crossover」からSo(Vo)とMinami(Vo)のデスボやシャウト、スクリームが交錯し、フロアは瞬時にカオスな空間へ。「Rave-Up Tonight」「LLLD」と、タフで重厚なサウンドが容赦なく頭上に降りかかると、まるでRPGかゾンビゲームか、次から次へ屈強な敵がやってくるようで、息つく暇もない……。ラスト「The Sun Also Rises」、圧を増したサウンドに対抗するようにオーディエンスらも力の限り声を張り上げる。ロットンまで体力が持つか……そろそろ心配になってきた。
THE ORAL CIGARETTES
続くTHE ORAL CIGARETTESのステージ。山中拓也(Vo&Gt)の挑戦的で不敵な笑みがスクリーンに映る。ここ最近、山中はSNSなどでバンドの進化を謳っていたが、その片鱗は見えているようだ。「狂乱 Hey Kids!」「CATCH ME」とキラーチューンを連発するも、ただ興奮度を高めるだけでなくオーディエンスの感情をしっかりとアジテートしていく。観客が大きな歓声で応えるも、まだまだ物足りないとさらなる高みを求めていく4人。まるで倍々ゲームのように熱量を増したステージはあっという間に幕を閉じた
HEY SMITH
終着はもう目前、金閣の第7車両はHEY SMITH!! 猪狩秀平(Gt&Vo)が語った「大好きなロットンが一年で一番大事にしてる日。トリ前はオレたちに任せとけ!」と、「Don’t Worry My Friend」へ。昨年も披露した楽曲だが、ホーン隊の突き抜けるサウンドは年々頼もしさが増しているようで、フロアはあっと言う間にもみくちゃ状態に。「Not A TV Show」ではタイトルまんま、目の前で繰り広げられる生のライブに釘付け状態に。MCでは改めて仲間であるロットンへの思いを語りつつ、「今」のこの瞬間、最高潮の音を楽しんでほしいと全12曲をフルパワーで駆け抜けていった。
四星球
銀閣のトリは5年連続出演の四星球は金閣でも銀閣でもない「幻覚ステージ」と称して、アウト過ぎてここには書けない、攻めまくりのネタで会場を沸かす。この後に控える大トリのロットンに向け「この出順、ロットンとの対バンのつもりでやります! 幻覚ステージ改め、ライブハウスへようこそ」と、「言うてますけども」や新曲「モスキートンブルース」を披露。北島康雄(Vo)が叫んだ「ライブハウス楽しい~!」の思いはここに尽きるし、ここが始まりでここへ帰っていくような言葉じゃないだろうか。「次は対バンのロットンです!!」、最後の〆の言葉に四星球からの愛とバッチバチの挑戦を感じることができたはずだ。
ROTTENGRAFFTY
すべてのバンドからバトンならぬ“車両”を繋ぎ、最終列車はROTTENGRAFFTY! N∀OKI(Vo)が「白線踏み込んでもっと前へ来やがれ! ぶっ飛べ!」と叫び、「PLAYBACK」へ。その煽りを受けたのを合図に、会場はこの日一番の興奮の坩堝と化す。侑威地(Ba)、HIROSHI(Dr)の幾多の層を重ねたリズムが体のど真ん中を突き抜ける。2人が刻む剛毅なビートのなか、KAZUOMI(Gt)は多彩なメロでタフなサウンドに色をつけていく。「距離感じてんだろ? もっと来いよ! 限界決めんじゃねー!」、KAZUOMIがブチ切れるように叫ぶとフロア前方はラッシュ時の満員電車以上の密度に。迫力を増したステージは誰ひとり取り残すことなく、さらなる加速を続ける。
ROTTENGRAFFTY
溢れる思いを込めた「70cm四方の窓辺」では集まった観客へ、改めて感謝の言葉を伝える。険しかった5人の表情もふと和らいだように見えたのもつかの間、ロットンのライブでは一切の緩みは禁物! 「Error…」ではHEY SMITHのホーン隊が登場し、気迫に満ち満ちたライブで沸かす。アンコールでは「今が良いライブバンドを呼んでる。少しでも(心に)響いたら追っかけて、ライブハウスでエネルギーをもらってほしい」と、フェスではなくライブこそが自分たちの活きる場所であることを語り、「アイオイ」「響く都」と続き、初日は一旦これで終着駅へと到着。
このあとも続いて2日目のレポートを届けるが、もし出来るなら「アイオイ」の歌詞をじっくりと読んでほしい。彼らがイベントに、仲間に、ライブに懸ける思いがより一層に伝わるはずだ。
●2日目もMCやべきょうすけとロットンメンバーでの発車宣言からスタート●
coldrain
金閣の第1車両はcoldrainから! 始発からノロノロ運転では様にならないと、「TO BE ALIVE」からガツンと攻め込んだタフなサウンドをぶつけてくる。もちろん、タフなだけでなく、流麗なメロを盛り込んだ「24-7」など起承転結の波をきっちりと作り込んでいく。「一番手の時には歌モノはやらない思いできている。後から出るバンドを困らせたい」と、初っ端からトドメを指す気満々のライブに早くも体力が奪われていく。
打首獄門同好会
昨年の銀閣初出演から今年は金閣へ昇格したのが打首獄門同好会。生活密着系なサウンドということもあり、「島国DNA」「布団の中から出たくない」など、3食昼寝おやつ付きのような楽曲陣で観客の腹を空かせていく。先日、junko(Ba)が還暦を迎えたという衝撃のニュースでバズったばかりの彼ら。新曲「YES MAX」のニュース性が薄まったと、改めてライブで披露するなど、最後まで“らしい”ステージで楽しませてくれた。
SUPER BEAVER
『ポルノ超特急』開催初年度から出演しているSUPER BEAVERは「いつも通りにやってこいよって言われたけど、いつも以上にやらせてもらいます!」と「正攻法」から熱量高いライブで観客を引き込んでいく。よく彼らは自分たちに派手さはないというが、音のない静寂の瞬間さえも魅せられるバンドはそう多くはない。渋谷龍太(Vo)は何度もロットンへの感謝を語り、ライブバンドとしての誇りや維持することの難しさを語る。
SUPER BEAVER
そして「伝えなきゃ意味がない言葉を」と「ありがとう」へ。シンプルな言葉ほど形に、そして感情を乗せるのは難しい。それでも、たった5文字の言葉に込めたありったけの思いを歌いきった彼らに、会場からは大きな賞賛の拍手が送られた。
金閣ステージ、前半戦を締めたのはHYDEだ。顔半分を白いマスクで覆ったまま登場し、バンドメンバーも暗闇で光る妖しげなマスクを被るなか、1曲目「FAKE DIVINE」へ。ヘビーなサウンドの中にも濃厚な色香を纏い、これまでない独特の世界観を持つステージを無我夢中で見つめる観客たち。「曲知らないかもだけど、歌ってほしい」と観客に「ANOTHER M」のノリを指南すると、その好反応っぷりを「可愛い子らやん♪」と褒め、ライブではテンション高まって近付くカメラを舐めるシーンには会場からは黄色い声が。 さらに「HONEY」「GLAMOROUS SKY」の披露に会場騒然! 大合唱が沸き起こるなか、満足げな表情を見せるHYDE。初日のSADS同様、他を圧巻させるステージを目の当たりにした観客らはライブが終わった後もざわつきが止むことがなかった。
霜降り明星
これだけ強靭なアーティストらのステージが続くと、たまにはリフレッシュも必要だろう。そういうときこそ、お笑い芸人のステージを楽しみたい。2日目は昨日に続き、辻本茂雄が座長を務める吉本新喜劇、レイザーラモン、ミサイルマン、メンバー、霜降り明星が登場。
レイザーラモン
音楽好きでも知られるレイザーラモンは「紅(X JAPAN)」にのせて「フェスあるある」ネタを披露。先日「M-1」で優勝したばかりの霜降り明星は得意のモノマネでキレのある笑いを届けてくれた。
●2日目の銀閣にはハルカミライ、SIX LOUNGEら登場、来年で結成20周年を迎えるロットン●
2日目の銀閣にはハルカミライ、Northern19、Survive Said The Prophet、韻シスト、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND、SIX LOUNGE、Hawaiian6が登場。金閣を脅かすほどの熱量高いステージが連発していく。
ハルカミライ
ハルカミライは1曲目「君にしか」からフルスロットルで、フロアとの距離感ゼロの席巻しまくりのステージで魅せていく。「ファイト」「世界を終わらせて」と、どんどん高みへと昇るライブは観ているだけで胸が高鳴り思わず涙が出てしまう。
Survive Said The Prophet
Survive Said The Prophetは「ロックするの好きでしょ?」と、「Fool’s Gold」や「HI I LO」など、感情を奥底から引っ張り出すようなエモーショナルなステージを展開。英詞で綴られたリリックはその場で意味がわからずとも、5人が奏でる音はしっかりと色彩を感じさせ、観る者の心に確かな風景を描いていく。
SIX LOUNGE
SIX LOUNGEは金閣の鉄壁の出演陣に挟まれているものの「ライオンの中の小ウサギだって、やるときゃやるんだぜ。この30分間はオレらのもんだ」と、「僕を撃て」「MIDNIGHT RADIO」と、芯の強さを感じさせるナンバーを連打! ど真ん中を攻め立てるロックサウンドに共鳴した観客らは拳を高く掲げ、その音に応えた。
2日目の後半戦、ここからは仲間よりもファミリーに近いアーティストが次々に登場する。
The BONEZ
The BONEZは「京都、遊ぼうぜ~!」と、ご機嫌な呼びかけで「SUNTOWN」から一気に会場の熱を爆ぜさせた!たとえ金閣でも持ち時間は35分間と、長いものではない。いかに早くオーディエンスとの距離を掴むかだが、それはもうとにかく早かった。JESSE(Vo&Gt)が叫べば観客はそれ以上に声が戻るし、「LIFE」では多幸感に満ちたサウンドに満面の笑みで応えてくれる。それでも満足しないのがこのバンドで、「なめんじゃねーぞ!」と「Place of Fire」からより凄みを増した楽曲陣で攻め込み、その熱は次のDRAGON ASHへ続く。
Dragon Ash
第6車両として登場、5年連続出演のDragon Ashは「(このままじゃ)ロットンに回せねーだろ! 本気で飛び込んでこい!」と更なる煽りを入れ、観客の箍を豪快に外しにかかる。「Mix It Up」「Headbang」と緩みのない、生命力溢れるバンドサウンドを投下! 昨年、同会場で京都に引っ越したことを告白したKenKen(Ba)。1年が過ぎ、「(京都は)最高の街!!」と興奮を煽る褒め言葉に観客は歓喜の声を上げる。予定では「Fantasista」でステージが終わる予定だったが、急遽「THIS WORLD」のカバーを披露! まさかのサプライズに感情昂ったロットンメンバーも登場し、ロットンの最終列車がどんな速度になるのかますます予想がつかなくなったくる。
10-FEET
大トリを前に、やはり外せないのは10-FEETの存在だ。『ポルノ超特急』と同じく、彼らが主催する『京都大作戦』はフェスシーンにおいて外せない存在となっている。しかし今年の開催は天災によって開催中止に……。そこに懸けてきた思いを考えると、どうにもならない感情が溢れてくるが、それは観客も同じだろう。SEが鳴ると同時に、フロアいっぱいにライブタオルが掲げられ、『京都大作戦』と同じ光景が広がる。それを感じてかどうかはわからないが、TAKUMA(Gt&Vo)は「会場の後ろからライブを見て、音や雰囲気が届きにくいのを知ってる。でもあそこまで届けるのが今日の目標やわ」と、「蜃気楼」から熱い熱い感情をぶつけていく。
10-FEET
観客からのコール&レスポンスは思わず涙が出るほど、あまりにも大きい。「1sec」「RIVER」とすすむなか、フロアの熱を感じ取ってかメンバーは急遽セットリストを変更し、「DO YOU LIKE」を披露! 終盤、ステージサイドからフロア最後方まで移動したとき、思わず涙が出た。「その向こうへ」「ヒトリセカイ」で端から端、壁の際まで観客が彼らの音に応え、手をかかげる姿がそこにあったのだ。
ROTTENGRAFFTY
いよいよ2日間をまとめる大トリ、ROTTENGRAFFTYの最終列車の発車時刻が迫ってきた。「お前らの脳裏に焼き付け、心をえぐり、震わせます。白線を跨いでどんどん加速してくれ!」、N∀OKIの叫びから全力発進の「THIS WORLD」からライブスタート! NOBUYAがスクリームし、N∀OKIが吠える。KAZUOMI(Gt)のメロは鋭さを増し、HIROSHI(Dr)の圧のかかったリズム、侑威地(Ba)の容赦ない重厚なビートが観客を襲う。KAZUOMIに至っては「全員音で殺す! コレがオレらの生き様や!」と、目をひんむいてブチ切れてしまっている。
ROTTENGRAFFTY
昨日よりも切迫感を増した5人のライブ、その全てを受け止めようと声で、拳で、ダイブやモッシュで応える乗客たち。それでもまだ限界突破は来ない。まだいける、まだ進める、そんな予感に思わず心が騒ぐ。本編後半には一足早いクリスマスプレゼントにと、「悪巧み~Merry Christmas Mr.Lawrence~」を披露。NOBUYAとN∀OKIの声の掛け合いに聴き入ったのも束の間、「STAY REAL」「金色グラフティー」で、「輝け!狂いやがれ!」と、極悪なサウンドでフロアを混沌へと落とし込む。
ROTTENGRAFFTY
アンコールではまた来年も『ポルノ超特急』開催を誓い、改めて出演してくれた仲間たちに感謝の言葉を送り、来年で結成20周年を迎えるROTTENGRAFFTYが「今」が一番良い状態であることを告げてくれた。その言葉には期待しかなく、これまでの活動、そしてこの2日間でインプットされたものが来年どういった形で昇華するのか。互いに切磋琢磨し、壁を乗り越えてきた屈強な仲間たちが居並ぶなかでROTTENGRAFFTYはどう進化していくのか。「これがロットンのデビュー曲」と、2日間を締める最後の曲に選んだのは「切り札」。「今」のROTTENGRAFFTYとして送りだすこの楽曲に込められた想い、それはきっと来年、様々な形となって届けられるのだろう。
2019年もROTTENGRAFFTYが送りだす、最高最速の『ポルノ超特急』に乗車できることを期待したい。
取材・文=黒田奈保子 撮影=HayachiN、 Yukihide”JON…”Takimoto、OOMO、かわどう