アンナ・オサチェンコ & ジェイソン・レイリー(シュツットガルト・バレエ団)

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2015.11.8
『オネーギン』よりアンナ・オサチェンコ(左)ジェイソン・レイリー(右) Photo:Roman Novitzky

『オネーギン』よりアンナ・オサチェンコ(左)ジェイソン・レイリー(右) Photo:Roman Novitzky

内面からわき上がる感情を大切にして

 名門シュツットガルト・バレエ団の芸術監督リード・アンダーソンが「今、絶好調のペア」と評するアンナ・オサチェンコとジェイソン・レイリー。看板カップルのアリシア・アマトリアンとフリーデマン・フォーゲルとともに、今やバレエ団のリーダー的な存在だ。

 故郷カザフスタンで厳格なロシア式バレエ教育を受けたオサチェンコは、シュツットガルト・バレエ団で自らの感情を役に昇華させる自由に目覚め、ドラマティック・バレリーナとしてその才能を開花させた。
「ジュリエット役は、年を重ねれば重ねるほど、踊る喜びを感じるようになりました。31歳になった今も、踊るたびに自分自身の初恋や、ファーストキスの思い出が鮮やかに蘇ってきます。ふつうは一度しかない初恋を、何度も体験してときめくことが出来るなんて、とても素敵なことでしょう? だから役を作り込まなくても、感情が自然にわき上がってくるんです」

 一方『オネーギン』のタチヤーナ役では、昨年にロールデビューしたばかり。
「初めてこの作品を観た瞬間から、タチヤーナ役は私の夢でした。この役がもらえるまで14年間待ちに待ったのですが、踊ってみて、長い間待った今の私だからこそ、この役が踊れるようになったのだと気づきましたね。実際に辛い恋の終わりも経験して、オネーギンに恋し拒絶された時のタチヤーナの哀しみや、成長して、彼はもう自分に必要ないと悟った大人の女としての強さが、手に取るようにわかるようになったからです」

 そんなオサチェンコと婚約したばかりだというカナダ出身のジェイソン・レイリーは、ノーブルな王子役から妖艶な魔女カラボス役まで、変幻自在に独自の個性に染め上げてしまう、圧倒的な存在感を放つダンサーだ。
「ロミオ役の醍醐味は、恋の何たるかも知らない青年が、大人の恋愛のジレンマを経験するまでに成長していく過程を演じきること。今は年相応にそれなりの経験もあって―とはいえ好きな女性のために毒を飲んだことはないけれど―気持ちはよくわかります(笑)。だからロミオの心情をより自然な形で表現できるようになってきました」
「オネーギン役はその真逆の、堕落の過程。傲慢な自惚れ男が、人生最大の過ちを犯したことに気づいて、最後には誰もが哀れむぶざまな男に成り果てる。タチヤーナとオネーギンの力関係も180度入れ替わるから、この変化を丁寧に描きだすのは難しいですね。感情的にとても消耗する役だから、公演後はいつも抜け殻みたいになってしまいます」

 自らの内からわき上がる感情を大切に踊る2人が、日本の観客の前でどんなドラマを見せてくれるのか、ますます期待が高まるばかりだ。

取材・文:實川絢子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年10月号から)

公演情報
シュツットガルト・バレエ団​

『ロミオとジュリエット』 11/13(金)〜11/15(日)東京文化会館


『オネーギン』 11/21(土)〜11/23(月・祝)東京文化会館


ガラ公演〈シュツットガルトの奇跡〉 11/18(水)18:30 東京文化会館


※アンナ・オサチェンコ & ジェイソン・レイリーは11/14(土)、11/23(月・祝)とガラ公演に出演
問合わせ:NBSセンター 03-3791-8888
http://www.nbs.or.jp


他公演
『オネーギン』 11/28(土) 兵庫県立芸術文化センター

問合わせ:0798-68-0255


『ロミオとジュリエット』 11/25(水)ニトリ文化ホール
問合わせ:道新プレイガイド011-241-3871
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