JABBA DA FOOTBALL CLUB 「マジで悔いはねえ!」 対バンツアー『ファイトクラブツアー2』Creepy Nutsを迎え閉幕

2018.12.28
レポート
音楽

JABBA DA FOOTBALL CLUB

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JABBA DA FOOTBALL CLUB『ファイトクラブツアー2~絶対負けられない戦いがそこにある~』
2018.12.19 代官山UNIT

4MCヒップホップクルー・JABBA DA FOOTBALL CLUBが11月から開催してきた対バンツアー『ファイトクラブツアー2 ~絶対負けられない戦いがそこにある~』のファイナルが代官山UNITで行われた。タワーレコード限定でリリースされた新曲「i&i」を引っ提げて開催された今回のツアーは、札幌、大阪、名古屋、仙台、広島、福岡で、踊Foot Works、どついたるねん、ドミコなど、スペシャルなゲストを迎えてきたが、東京はCreepy Nutsが出演。Kick a Showがサプライズで呼び込まれたほか、Sawagiとのバンドコラボが実現するなど、エンターテイメント性の高いパフォーマンスでフロアを魅了した。

Creepy Nuts・R-指定

「みなさん、1から10まで俺たちを数えてくれますか?」。R-指定の呼びかけから、数え歌のように自己紹介的な言葉を刻み、DJ松永が2台のターンテーブル上で鮮やかな手さばきを見せ、Creepy Nutsのショータイムがスタートした。「今日の主役はジャバ、俺たちは“助演男優賞”でございます」と、「助演男優賞」ではノリのいいビートで会場を湧かせると、R-指定が11人分の声色を使いわける「みんなちがって、みんないい」、音がループするトラックにのせて古典的な日本語ヒップホップを貫くという自身のやり方を宣言する「生業」へ。R-指定が全身でリズムを刻みながら、矢継ぎ早に繰り出される熱を帯びたフロウに導かれるように、フロアがじわじわと温まっていく。

Creepy Nuts・DJ 松永

MCでは、「JABBA DA FOOTBALL CLUBの曲を聴いていると、影響を受けた日本語ラップが同じなんじゃないかと、勝手にシンパシーを感じていました。ちゃんと韻を踏んで、面白く話を進めていく。もしかしたら、この先、失われてしまいそうな日本語ラップで突き進んでいると思います」と、対バン相手であるジャバへの想いを伝えたR-指定。そこからCreepy Nutsのライブでは恒例の「聖徳太子スタイル」へ突入した。その場にいるお客さんから集めた言葉をもとに即興のフリースタイルを見せるという彼らオリジナルの妙技だ。この日は「いつものミュージック」「平成最後」「最後の親知らず」「カフェイン」「トランペット」「ワナビー人間」「有馬記念」という7つの単語が上がると、それを即興で意味のある文章へと完成させたラップを披露。一朝一夕ではできない技の凄みにフロアが大きな喝采に包まれる。
そして、ジャジーなテイストの新曲「阿婆擦れ」を挟み、「4MC」として活動を続けるジャバへのリスペクトを伝えたR-指定。なかなか認められなかった自身の過去についても語ると、最後に、その泥臭い生き様を綴った哀愁のミディアムテンポ「朝焼け」で終演。自分たちが体現するスタイルへの誇りが滲み出たステージは、Creepy Nutsがヒップホップ界隈のみならず、どんな場所にも支持される理由がわかるステージだった。

Creepy Nuts・R-指定


JABBA DA FOOTBALL CLUBの4人――ASHTRAY、BAOBAB MC、NOLOV、ROVINは、RIP SLYME「SHALL WE?」のSEにのせてステージに現れた。1曲目は今年タワレコメンにも選出され、ジャバの出世作となった最新EP『FUCKING GOOD MILK SHAKE』でもオープニングを飾る「MONKEYS」。ノーDJの彼らは、メンバー全員がフロントに立つ。各ヴァースで全員が次々にマイクリレーをしながら、フックでは声を揃えて一体感のあるフロウ。陽性のトラックにのせた、どこか脱力感のあるパフォーマンスは、ジャバがRIP SLYMEやKICK THE CAN CREWらの系譜に連なるヒップホップであることを強く感じさせてくれるものだ。トラックはスタイリッシュなのに、その内容はご飯ネタというギャップが面白い「MESSI COOL」の曲中では、いきなり「ツアーで食べた美味しいもの」についてメンバー同士で振り返ったり、パーカッシブなビートにスピーディなラップをのせたパーティーチューン「BUSY! BUSY! BUSY!」で踊らせたり、フロアのお客さんのレスポンスを巻き込みながら、代官山UNITにハッピーな空間を作り上げていく。

JABBA DA FOOTBALL CLUB・NOLOV

JABBA DA FOOTBALL CLUB・ASHTRAY

長かったツアーを振り返り、「最後の相手がCreepy Nutsで、マジで嬉しいけど、マジでビリビリしてますよ!」と、凄まじかったクリーピーの「聖徳大使スタイル」に触れ、「うちに帰ってシャワーを浴びるときに、クリーピーもジャバもええな。あいつらもっと上に行くんじゃねえかな、と思ってあげてください」と伝えると、BAOBABのボイスパーカッションが口火を切った「すきにしちゃえば?」へ。彼らが影響を受けたウィーザーの「Island In The Sun」のビートをトロピカルなアレンジで聴かせると、「THINK RICH, LOOK GOOD」では、音源にもフィーチャーされているKick a Showがサプライズで登場した。オートチューンを使った色気漂うボーカルと4人のフロウが絡み合うと、「知らない曲でも知ったフリをして踊ってください」と言って、「MIDNIGHT GOOD GOOD MOOD」や「ハッピーアイスクリーム」というメロウなナンバーを連投。前半とは一転、フロアは穏やかなグルーヴに酔いしれた。

JABBA DA FOOTBALL CLUB

終盤、ステージにバンドセットを用意するために、メンバーがサブステージに移動。NOLOVが「ミラーボールがまわるとき、このロマンスもはじまるぜ」と、気障っぽいセリフを口にすると、クラブ感の強いダンスチューン「BRAIN WASH DYSCOPIA」でフロアを根こそぎ踊らせていく。そして、メインステージの準備が整うと、4人組インストバンド・Sawagiとのコラボタイムに突入した。ジャバの代表曲「STAY GOLD, LIFE GOES ON」とSawagiの「ibiza」をマッシュアップした楽曲を皮切りに演奏がスタートすると、nico(Dr)、雲丹亀卓人(Ba)コイチ(Key)、観音(Gt)が繰り出す生バンドの躍動感に背中を押されるように、ジャバのテンションも一段階あがっていく様が伝わってくる。


浮遊感漂うスローテンポ「月にタッチ」から、「みんな大好き!」と伝えた賑やかなパーティーチューン「君の街まで」まで畳みかけたところで、「これがいちばんやりたかったことだ!」と、喜びを爆発させたNOLOV。最後のMCでは、今年7月に開催した渋谷WWWでのワンマンライブ以降、何を作ったらいいのかわからなくなったことを伝えると、自分のルーツにあるSUM 41やグリーンデイ、BLINK 182などのポップパンクとヒップホップをミックスして作ったことで、その葛藤を打破できたという最新曲「i&i」を披露した。ヒップホップのマナーで腕を上下するのではなく、「こぶしを突き上げてくれ!」と訴えたジャバの新境地となる楽曲は、おそらく彼らのターニングポイントになる1曲だろう。

JABBA DA FOOTBALL CLUB

本編ラストに最高の盛り上がりを作り上げたあと、鳴り止まない手拍子に応えるかたちで登場したアンコールでは、NOLOVが「ファイトクラブツアーまわれて良かった。マジで悔いはねえ!」と満足そうな表情を見せ、彼らのステージには欠かせない「STAY GOLD,LIFE GOES ON」でライブを締めくくった。

JABBA DA FOOTBALL CLUBは来年2月6日に4曲入りEP『DON'T WORRY, BE HAPPY』をリリースする。いままで以上に知名度を上げることができたと同時に、葛藤もあった2018年を経て、彼らが迎える2019年は、ヒップホップグループとして、より唯一無二の存在感を放っていくような、そんな躍進の年になりそうだ。


文=秦理絵 撮影=Machida Chiaki

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