『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』製作発表~浦井健治が裸足で熱唱! 朝夏まなと、夢咲ねね、衛藤美彩も美声披露
(左から)衛藤美彩、朝夏まなと、浦井健治、夢咲ねね
ミュージカル『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』が、2019年4月9日(火)から東京・日生劇場を皮切りに名古屋、富山、大阪、福岡にて上演される。日本初上陸する本作の製作発表が、1月29日(火)都内で催され、主演の浦井健治、夢咲ねね、衛藤美彩、朝夏まなと、そして翻訳・訳詞・演出を務める上田一豪が登壇、3000人の応募の中から当選した200人のオーディエンスの前で本作の魅力や今の心境などを語った。
本作は小説『レ・ミゼラブル』を著したフランスの文豪ヴィクトル・ユゴーの原作を基に、ミュージカル『マリー・アントワネット』の新演出版を手掛けたロバート・ヨハンソンが脚本を書き、『デスノート THE MUSICAL』のフランク・ワイルドホーンとジャック・マーフィーのゴールデンコンビの手によって音楽と歌詞をつけたミュージカル作品である。2018年7月に韓国で世界初演。今回は日本版演出を務める上田の手によって世界観がさらに進化し、壮大かつ繊細な物語が紡がれる。
美しく、そしてどこかもの悲しいピアノのメロディーが流れる中、最初にマイクをにぎった上田は、司会から「『オン・ユア・フィート』はじめ、数多くのヒット作を手掛ける大ヒットメーカー」と紹介されると「褒められると恥ずかしい。僕の力ではなく皆さんのお力で毎回素晴らしい作品が出来上がっているんです。今回も素晴らしい方々と本作を素敵な状態でお届けできるよう頑張っていきたい」と挨拶。
上田一豪
浦井健治
幼い頃、見世物として口を裂かれ、醜悪な笑みを刻み付けられたグウィンプレン役の浦井は「『金持ちの天国は貧乏人の地獄から作られる』ということで……裸足でございます」と茶目っ気たっぷりに右足を上げて裸足を見せる。着用する衣裳については「(衣裳スタッフの)前田(文子)さんの衣裳に身を包むと身が引き締まります」と語り「真実の愛や人生のあたたかさや大切なものを見せていけたら」と作品の魅力を述べた。
裸足をアピールする浦井さん(笑)
浦井さんの裸足をアップで!
16歳の盲目の少女デア役の夢咲は「最初、タイトルが『笑う男』と聴いた時にコメディかホラーかと、まったく分からない状態でした。よくよく調べていくと本当に奥が深くて引き込まれ、切なく悲しい中にワイルドホーンさんの素敵な音楽が相まっている、完璧なストーリーだなと思いました。そのなかでデアとして一筋の光になる少女になれるよう(上田)一豪さんに着いていきたい」とコメント。
夢咲ねね
夢咲とのWキャストで、同じく盲目の少女・デアを演じる衛藤は乃木坂46のメンバー。「私はグランドミュージカル初挑戦という事で、グループを飛び出してきました。こういう製作発表も初めてですが、初めてのことだらけというのは嬉しい事。素晴らしい大先輩の皆さんから学ばせていただき、私なりのデアを演じたい」と決意を口にした。
衛藤美彩
グウィンプレンに興味を持ち心惹かれるジョシアナ公爵を演じる朝夏はひときわゴージャスなドレス姿。「素晴らしい衣裳を着させていただき、ひとつまたジョシアナに近づいたというかイメージが持てたように思います。この作品は『対比』が強く描かれているので、(ジョシアナが)貴族の存在・象徴として色濃く存在できるように一豪さんのご指導をいただきつつ、初めましての浦井さんと素晴らしいキャストと一緒に、私にとっても挑戦となるこの役に挑み、素晴らしい音楽と世界観をお届けしたい」と力を込めた。
まぁ様、ゴージャスです!
質疑応答の前にスタッフが浦井用に靴を持っていくと、手を使わず足だけでなんとか履こうとする浦井の姿に会場からほっこりとした笑いが起きていた。
靴を履く浦井さん
そんな浦井は口元のメイクについて「特殊メイクをしていただく事は自分の中で特別感というかテンションがあがる“テンアゲ”の感触」と笑いつつ、「盲目のデアとの恋愛もの、山口祐一郎さん演じるウルシュスからグウィンプレンへの愛情など様々な人間愛が描かれているので……」と言いながら朝夏に視線を送り「“まー様”も先ほどおっしゃっていましたが対比というものがたくさん描かれていて」と宝塚時代からの朝夏のニックネームをさらりと口にすると、会場の(おそらく)宝塚ファンがざわめき、朝夏自身も照れ臭そうな笑顔を見せていた。
顔の傷メイク、見えますか?
またワイルドホーンの楽曲については「ほぼほぼロングトーン(の曲)なので体力を使います」と笑いを誘うが「実は以前、本作の楽曲をフランクさんにピアノで聴かせてもらって大感動したんですが、歌うとなると大変なんです。でも役作りへのパワーをくれる名曲ばかりです」と表現していた。
自身の役作りについては「グウィンプレンの子ども時代を演じる子役が3人いるんですが、よく観察して三人三様のグウィンプレンを作っていきたい」と浦井。子役に合わせた役作りという驚きの構想に歓声が上がっていた。
つい1月20日まで上演されていた『オン・ユア・フィート!』でタッグを組んでいた朝夏と上田。朝夏は「稽古場で一番テンションが高いのが一豪さんじゃないかと。皆を引っ張ってくださって寄り添ってくださる、人の気持ちを繊細に描くためのアドバイスをたくさんいただき、凄く勉強になりました。また弾けた一豪さんにお会いできるのが楽しみです」と笑っていた。一方の上田は朝夏について「生まれ持ったオーラを持つ人。今回演じるジョシアナがすべてを手に入れている役にぴったり。とても魅力的に演じてくれるはず」と信頼を寄せていた。
朝夏まなと
夢咲と衛藤には、二人が演じるデアの演じ方について質問が寄せられる。「16歳の少女」という言葉に気まずそうな笑顔を浮かべる夢咲。「物心つく頃から目が見えない少女。でもデアの中だけに見える世界に色を与えてくれるのがグウィンプレン。目の見える人には見えない世界が見えている事がデアのピュアさに繋がっているのではないか。そう言ったところをお客様に共感していただけたら」と今夢咲が感じているデア像を表現していた。衛藤は「デアは目が見えないという事で、匂いや空気感などを感じている。デアの世界をグウィンプレンが作っている。そういうものを稽古をして表現できたら」とイメージを思い浮かべているようだった。
夢咲ねね
そして二人に、お互いの印象は?という質問が寄せられると、夢咲から「衛藤ちゃんは、可愛いが詰まってるんですよ! すごい濃縮されていて行動ひとつ本当に可愛いのでお稽古場でウォッチしたい」と言われ、恥ずかしさのあまり、衛藤は手にしていたマイクで顔を隠してほおを赤らめる。「グループ内ではまったくそういうキャラクターではないんです。乃木坂46の中では上から2番目で。今作では最年少なのでちょっと甘えさせていただいて、年下感を味わいたいです」と夢咲からの言葉を受ける。逆に衛藤からみた夢咲について「初めてお会いした時に、私服の帽子がおそろいだったんです。この帽子は4色くらいあるのにまったく同じ色で。運命を感じました!」と少し上気しながら語る衛藤に夢咲も「私もテンション上がりました!」と返し、二人で嬉しそうに顔を見合わせていた。
衛藤美彩
また、初ミュージカルとなる衛藤は、稽古や本番に向けて現在ボイストレーニングに励んでいると話す。「浦井さんにも病院とか教えていただいて……」と具体的すぎる説明を口にすると、浦井は「言い方ってものが(笑)。ケアね!」とすかさず突っ込んでいた。普段は天然発言をして周りから突っ込まれるケースが多い浦井だが、この日はどこかレア感を醸し出していた。
会見の後半では音楽監督を務める小澤時史のピアノ演奏に乗せ、歌唱披露が行われた。まず夢咲、衛藤、そして後から浦井が加わる流れで「木に宿る天使」を歌い上げる。浦井は二人のデアと時に目を合わせ、夢咲と衛藤も声質こそ異なるがやわらかな歌声を響かせ、会場を多幸感に包んだ。
「木に宿る天使」
「この気持ちは何?」
朝夏は「この気持ちは何?」を張りのある声で熱唱。役どころが垣間見えるような世界観を作り上げる。最後は浦井が「笑う男」を、グウィンプレンを観に見世物小屋に来たお客に見せるように顔の傷を指でなぞってみたり、ステージにしゃがみこみ客を挑発するようなパフォーマンスを交えて歌い上げ、大きな拍手を浴びていた。
「笑う男」口の傷を見せるように…・・・
「笑う男」こんな素振りも!
「笑う男」最後は着ていたコートをバサッと!
余談だが、ゴージャスドレスの朝夏が登壇、降壇、そして椅子に座るなど動く度に浦井が手を差し伸べエスコート。その紳士ぶりが印象に残る会見となったことをここに記しておきたい。
朝夏さんを気遣う浦井さん
取材・文・撮影=こむらさき
公演情報
【東京公演】2019年4月9日(火)~29日(月・祝) 日生劇場
【愛知公演】2019年5月3日(金・祝)~6日(月) 御園座
【富山公演】2019年5月10日(金)~12日(日) 新川文化ホール
【大阪公演】2019年5月16日(木)~19日(日) 梅田芸術劇場
【福岡公演】2019年5月25日(土)・26日(日) 北九州ソレイユホール
■音楽:フランク・ワイルドホーン
■翻訳・訳詞・演出:上田一豪
■出演:
浦井健治
夢咲ねね/衛藤美彩(Wキャスト)
朝夏まなと
宮原浩暢 石川禅
山口祐一郎
藤岡義樹 堀江慎也 森山大輔
石田佳名子 内田智子 岡本華奈 栗山絵美
コリ伽路 富田亜希 安田カナ 吉田萌美(男女50音順)