『ベルサイユのばら45』歴代OGが集結し初演から45周年を彩るスペシャル公演、初代オスカルの榛名由梨と2006年にオスカルを演じた朝海ひかるが意気込みを語る
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●45周年を記念して宝塚歌劇のレジェンドたちが集結する●
宝塚歌劇団により1974年に初演し、空前の大ヒットを記録した舞台『ベルサイユのばら』。原作は池田理代子による同タイトルの漫画で、宝塚歌劇にとって初のコスチュームプレイの作品だったが、今や宝塚歌劇を代表する演目となり、初演から45年を経てもなお輝き続けている。そして2019年、45周年を記念して宝塚歌劇のレジェンドたちが集結する『ベルサイユのばら45 ~45年の軌跡、そして未来へ~』が開催される。時代を超えて支持され続ける愛と革命のドラマを、歌やトーク、名場面、そしてグランドフィナーレなど華やかに振り返る本公演。初代オスカル役の榛名由梨と、2006年の雪組公演でオスカルを務めた朝海ひかるが意気込みを語った。
「長く続いている大作の初演でオスカルをさせていただいたおかげで、こうやって皆様の前でお話できることをうれしく思います」と挨拶する榛名。初演当時は21世紀になっても上演されるとは夢にも思っていなかった。「宝塚歌劇団のファンの方はもちろん、そうではない方も、『愛あればこそ』を歌えるし、覚えている。こんなにも多くの方々に、名曲を知ってもらえたというのは、今までにない現象かなと思いました。作曲家の寺田瀧雄先生は宝塚でいろんな名曲を残されていますが、ここまで長く続いて歌い継がれていることをすごいなとつくづく思います」と噛みしめるように語った
榛名由梨
初演でオスカルを演じた榛名。「原作ファンの方たちのオスカル人気がすごかったですが、どうやったら皆様に認めていただけるのか、すべてがプレッシャーでした。初日の幕が開いたとたんに“引っ込め!”とか言われるんじゃなかろうかとか、不安と期待が入り混じって、初日は足が震えましたし、どうなんだろうという気持ちだけで精一杯でした」と振り返る。だが、杞憂に終わった。「初演はフランス革命を前面に出したものでしたので、私とアンドレがバスティーユのところで亡くなると、次に出るのはフィナーレでした。そして、オスカルとして軍服を着てフィナーレで出てきた時、3階席の上の方からドーっと滝のような拍手喝さいが起こって、これは何⁉ と驚きでした。オスカル人気はここまですごいのだと改めて感じましたし、責任も感じました」。オスカルという人物に対する役作りでは、「思わず女心で『アンドレ…』と言う時の自然な声の出し方とか、一生懸命考えました。どういうふうにしたら女心が出るのか。女性は男性の前では声質が自然に変わるでしょ(笑)。自然体で、どういうふうにリアリティを表現するのか、すごく考えましたね」。
一方、朝海は歴代のトップスターが演じて来た中でのオスカル役だった。「時間が経てば経つほど、皆様のオスカルへの期待度がすごく高くなっているような感じがしていました。また、オスカルを演じせていただくと伝えると上級生やスタッフの方々がオスカルに対するそれぞれのこだわりを教えてくださったり、アドバイスくださったりして、期待にこたえられるかどうか、そのプレッシャーはこの上なかったです。榛名さんが初演をされたときとは比べものにならないと思いますが、そんなプレッシャーがありました」。その中で苦労した点は、やはり“型”が出来上がっていたことだった。「型を学んで、それを自分の体に落として演じることの難しさですね。『今宵一夜』という名場面では、振りが全部決まっていて、ウエストがよじれたりと、とても苦しい体勢なのですが、甘い空気を出さなくてはいけない。そういうものが場面、場面にいっぱいあって、それを全部習得していくことが大変でした。役に対する複雑なキャラクターを表現するのも大変でしたが、何よりもずっと拝見していた『ベルばら』がこんなに苦しいものとは思わなかったという思いでした」。
●これ以上ない宝塚の代表作だと改めて感じています●
『ベルサイユのばら』という作品への思いも聞いた。「宝塚にふさわしい、コスチュームにしても、スターにしても、スターを生んでいくというか、英雄的。ヒーローであり、ヒロインであり、それが全部詰まっている、集大成のような作品です。宝塚の舞台人としてのコスチュームプレイ、所作、舞台で必要な動き、ラブシーンなどのゆめゆめしい場面、厳しい戦いの場面とか、凛々しさも儚さも全部が詰まっている、愛すべきバイブルだと思います」と榛名。その言葉を受けた朝海も、「私も今、ああそうだなと思いました。1場面、1場面、宝塚の生徒として、男役、娘役ともに本当に大事なことを教わる教科書という、まさにそうだなと。椅子の座り方や立ち方、膝を立てた座り方、マントの翻し方など『ベルばら』ならでは。『ベルばら』に出たからこそ教わることがいっぱいあります。もちろん『ベルサイユのばら』という池田理代子先生が確立なさった素晴らしい世界があった上で、宝塚ならではの様式美で見せることができる。これ以上ない宝塚の代表作だと改めて感じています」と語った。
そして、この度幕を開ける『ベルサイユばら45』に向けて尋ねると「昭和の私たちの時代があって、それを受け継いで平成のスターさんたちがいっぱい生まれて。宝塚歌劇の歴史の中でこういう作品によってスターさんが大きく開花して、それぞれの時代を背負っている人たちがこれだけ顔をそろえて、それぞれの時代をみんなで力を合わせて見せる、こんなイベントというのは滅多にないことですし、宝塚歌劇が100年を超える歴史があるからこそできることだと思います。その舞台に呼んでいただけることは光栄なことですし、みんなと顔を合わすことができるうれしさがあります。上下関係が厳しい世界ですが、1つの舞台に一緒に立つことによって気持ちがつながり合って、和気あいあいとできる。それも滅多にないことです。家族みたいな感じになれるのが私はすごく好きです」と榛名。朝海も「榛名さんはじめ初演の方々のトークが楽しみなのですが、私はもうオスカルに扮装して踊らないといけないので、ちょっとプレッシャーがあります。退団してから12年経ちますので、体も鍛え直して、皆様の期待に応えられるような舞台に、そして名場面をそのままお見せできるように頑張りたいと思います」と意気込んだ。
「初演から45年、その頃に生まれた人がもう45歳と考えると長い年月だとつくづく感じます。世代交代とか、時代背景とか、流れがいっぱいある中で、『ベルサイユのばら』は老若男女、年齢を問わず皆様が認めてくださる、楽しんでくださる素晴らしい作品です。『ベルサイユのばら45』でも皆様に喜んでいただけるように、私はトークと歌を頑張りますし、平成のスターさんたちは踊ったり、お芝居されるので、これを見逃す手はないでしょう。ぜひぜひ、足をお運びください」といざなう榛名。朝海も「こんな豪華なOG公演は今まで経験したことがありません。昔ファンだった方にもぜひお越しいただきたいと思いますが、私たちの作品を見たことがなくても、今、宝塚に興味を持たれている方もぜひ劇場に足を運んでいただいて、こういう宝塚の歴史があるということを感じて、楽しんでいただけたらと思います」と言葉を重ねた。
『ベルサイユのばら45 ~45年の軌跡、そして未来へ~』は24日(日)まで梅田芸術劇場メインホールで上演中。
取材・文・撮影=岩本和子
公演情報
■監修:植田紳爾
■構成・演出:谷正純
■音楽:吉田優子(音楽監督)
■日時・会場
【大阪公演】2019年2月16日(土)~24日(日) 梅田芸術劇場メインホール
■出演:各キャストの出演日時は、公式ホームページにてご確認ください。
<公演替わりキャスト>
初風 諄、榛名由梨、汀 夏子、安奈 淳、麻実れい、
日向 薫、紫苑ゆう、杜けあき、涼風真世、一路真輝、
麻路さき、稔 幸、和央ようか、湖月わたる、星奈優里
彩輝なお、朝海ひかる、貴城けい、水 夏希、壮 一帆
白羽ゆり、凰稀かなめ
<全公演出演>
(宝塚歌劇団 特別出演)汝鳥 伶、華形ひかる および宝塚歌劇団卒業生
■公式ホームページ:http://www.umegei.com/versailles45/