パーヴォ・ヤルヴィ、初来日のエストニア・フェスティバル管弦楽団を語る
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エストニアから世界へ発信!パーヴォ・ヤルヴィ率いるドリームオーケストラが初来日 (C)Kaupo-Kikkas
現在、世界屈指の指揮者として人気と実力を併せ持つパーヴォ・ヤルヴィ(NHK交響楽団の首席指揮者として日本でもお馴染み)が、手兵エストニア・フェスティバル管弦楽団の初来日公演をおこなう。オーケストラの歴史としては10年にも満たない新設のオーケストラだが、「アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団に匹敵するオーケストラ」との呼び声も高く、来日を心待ちにしていたクラシックファンも多いだろう。同楽団公演の聴きどころなどを、パーヴォ・ヤルヴィ本人が大阪での会見において大いに語った。
NHK交響楽団の首席指揮者として日本でも絶大の人気を誇るパーヴォ・ヤルヴィ (C)H.isojima
―― この管弦楽団はフェスティバル(音楽祭)がもとになって出来たオーケストラだそうですね。どういう経緯でフェスティバルが出来たのですか?
2011年、エストニアのパルヌというリゾート地で、かねてより必要と考えていた指揮法を教えるマスタークラスを始めました。それに伴いオーケストラを作ることになり、ヨーロッパで活躍する一流の音楽家を招く事になりました。エストニアの若い音楽家に優れた教育を受けさせ、一流の音楽家と交流を持たせることが必用だと考えたのです。協力者も増え、規模はみるみる大きくなり、色々な楽器や室内楽のマスタークラスが出来、フェスティバルになりました。フェスティバルは若い音楽家とトップクラスの演奏家が一緒にごはんを食べたり演奏をしたり、カジュアルに交流出来る場です。こういった環境は若い音楽家にとって教育を受ける上でベストなもので、その効果は絶大でした。
エストニアの若き才能とヨーロッパのスターが夢の合体! (C)Kaupo-Kikkas
―― エストニアはパーヴォ・ヤルヴィさんの故郷ですね。どんな国ですか?
人口は150万人に満たない国ですが、音楽が盛んで優れた演奏家、作曲家を数多く輩出しています。北はフィンランド湾、西はバルト海に面し、南はラトビア、東はロシアと国境を接する北欧の国です。私はこの国を17歳の時に出たのですが、エストニアに対する感謝の気持ちを表す絶好の機会だと思って、毎年このフェスティバルをやっています。同じ指揮者である父も弟も、きっと同じ思いで関わっていると思います。
―― 今回の日本公演のプログラムはお国ものが並んでいますね。曲の説明をしていただけますか。
北欧を代表する2大作曲家が、シベリウスとニールセンです。どちらも重要な作曲家で、私は演奏会でよく取り上げますが、日本ではシベリウスの人気が高いので、今回はシベリウスを軸にエストニアの作曲家の作品を絡めたプログラムを作りました。
1曲目はアルヴォ・ペルトの曲です。ペルトは現在83歳。現代作曲家の中では、作品が演奏される機会が圧倒的に多いことはご存知の通りです。一部のマニアにはカルト的な人気を有し、映画やテレビ制作の関係者にもファンは多いです。彼の名前を聞いたことが無いという人はいないのでは無いでしょうか。フェスティバルのオープニング曲も書いてくれましたし、私もたいへん尊敬している作曲家です。
そして次の曲が私の友人、エリッキ=スヴェン・トゥールの曲。今年60歳で、いわゆる‘トゥール世代’といわれるエストニアで最高の作曲家の一人です。彼の交響曲には私が初演した曲もありますし、昨年のフェスティバルでも彼の曲を演奏しました。エストニアを代表する作曲家の音楽に触れて頂きたいと思い選びました。
シベリウスは皆さまよくご存知ですね。私に多大な影響を与えた作曲家です。大阪と東京では、彼のヴァイオリン協奏曲と交響曲第2番を演奏します。
ヴァイオリン協奏曲のソリストはMIDORI(五嶋みどり)が務めてくれます。彼女とは様々な場所で共演していますが、昨年のフェスティバルに来てくれました。フェスティバルの雰囲気やオーケストラのレベルの高さに驚いていたようです。と、同時に彼女は素晴らしい印象をエストニアの人達に与えてくれました。彼女はこのフェスティバルの理念が教育にある事を理解してくれています。彼女自身も、教育に献身的に取り組んでおり、両者の姿勢に共通する所があったのだと思います。MIDORIと一緒に日本で演奏出来るのはとても楽しみです。
ちなみに名古屋と広島では、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番を彼女が弾き、メインではチャイコフスキーの交響曲第5番を演奏します。
お国ものの勝負プロを引っ提げて、待望の初来日! (C)Kaupo-Kikkas
―― 最後に読者の皆さまにメッセージをお願いします。
色々な国でオーケストラを指揮する機会はありますが、たとえポジションを持っているオーケストラだとしても気持ち的にはゲストだと感じています。ところがエストニアに帰ってこのオーケストラと向き合うと、彼等と共にエストニアの教育、文化の高さやエストニアの魅力を世界に示したいという気持ちに駆られます。もっとエストニアに興味を持って欲しい!いつかエストニアに行ってみたいと思っていただきたい!そんなエストニアの魅力を伝えられると良いですね。ぜひコンサートにお越しください。
このオーケストラを通してエストニアの魅力を伝えたい!と語るパーヴォ・ヤルヴィ (C)H.isojima
取材・文=磯島浩彰
公演情報
■日時:2019年4月28日(日)15:00
※14:15~出演者によるプレ・イベント開催
■会場:フェスティバルホール
■指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
■独奏:五嶋みどり(ヴァイオリン)
■管弦楽:エストニアフェスティバル管弦楽団
■曲目:
ペルト:ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47(ヴァイオリン:五嶋みどり)
トゥール:テンペストの呪文
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43
■料金:S席18,000円 A席15,000円 B席12,000円 C席9,000円 D席6,000円 学生券3,000円 BOX席22,000円 バルコニーBOX席(2枚セット)36,000円 [全席指定・税込] ※残席僅か
■問合せ:フェスティバルホール
■公式サイト:https://www.festivallhall.jp
■日時:2019年4月30日(火・祝) 14:00
※13:15~出演者によるプレ・イベント開催
■会場:サントリーホール
■指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
■独奏:五嶋みどり(ヴァイオリン)
■管弦楽:エストニアフェスティバル管弦楽団
■曲目:
ペルト:ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47(ヴァイオリン:五嶋みどり)
トゥール:テンペストの呪文
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43
■料金:S席:18,000円(17,000円)/A席:15,000円(14,000円)/B席:11,000円(10,000円)/C席:9,000円(8,100円)/D席:6,000円(5,400円) [全席指定・税込] ※完売
■問合せ:ジャパン・アーツ 03-5774-3040
■公式サイト:https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=719
■日時:2019年4月25日(木)19:00
※18:15~出演者によるプレ・イベント開催
■会場:アクトシティ浜松 大ホール
■問合せ:(公財)浜松市文化振興財団 053-451-1114
■公式サイト:http://www.hcf.or.jp/hall/detail.php?id=22055
■日時:2019年4月26日(金)19:00
※18:15~出演者によるプレ・イベント開催
■会場:ハーモニーホールふくい
■問合せ:ハーモニーホールふくい 0776-38-8282
■公式サイト:https://www.hhf.jp/events/archives/1871
■日時:2019年4月27日(土)17:00
※16:15~出演者によるプレ・イベント開催
■会場:愛知県芸術劇場コンサートホール
■問合せ:CBCテレビ事業部 052-241-8118
■公式サイト:https://hicbc.com/event/nimf/42th/20190427/
■日時:2019年4月29日(月・祝)14:00
※13:15出演者によるプレ・イベント開催
■会場:広島文化学園HBGホール
■問合せ:HOMEイベントセンター 082-221-7116
■公式サイト:https://www.home-tv.co.jp/event/midori-paavo/