あま津うに的「2019年冬アニメ注目作品と、アニメ音楽業界の変化について」2018年ベスト作品も!
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本年も群雄割拠のアニメ界、毎クール大量の作品が制作され、放送されているが、中々すべてを観るのは難しいというのが現状だ。「あにめ系あーてぃすと」あま津うにが今回お届けするのは、2019年冬アニメ注目作品と、彼女が考えるアニメ音楽業界の変化についてをお届けする。
あま津うに Profile:
アジア圏を中心に全世界よりフォロワー10万人を集める新型新人アーティスト。自身が創った「あにめ系あーてぃすと」として独自のファッションを世界に発信している。アーティスト活動を中心に声優、作詞家、キャラデザ、公式コスプレなどアニメ系に関するカテゴリー全般で活動中。
2019年春放送開始のTVアニメ『女子かう生』のオープニング主題歌でメジャーデビューが決定。
2019年冬アニメの注目作品
冬クールも5〜6話までと放送されましたが、今期のあま津うに的注目作品は『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』。
この作品は原作漫画連載時から多くの有名漫画家の間でも絶賛されている作品。
アニメ化が発表(2019年1月にアニメ化決定が告知されています)、そして実写ドラマ、映画にもなった人気漫画作品『理系が恋に落ちたので証明してみた』の作者、山本アリフレッド先生は「かぐや様の5巻読んで相変わらずの面白さのブチ切れそうになるの巻」とツイッターで絶賛。
そんな『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』は、秀才だが恋愛に不器用な四宮かぐやと白銀御行の二人が相手に告白させるための高度な恋愛頭脳戦が描かれているラブコメで、サブキャラも魅力的に描かれており、さらには紅白出演歴もあるラブソングの王様・鈴木雅之氏の初のTVアニメ主題歌の担当など、あらゆる面で世間から注目を集めているのです。
私のオススメは、ゆるふわな可愛い書記の“藤原”がラップを披露するシーンなのでその回も必見です!
アニメ音楽業界の変化
前回のコラム”あま津うに的「2018年夏アニメと、アニメの楽しみ方」秋アニメ注目作品も!”では人気作品のジャンルと動画配信サービスの関係に触れましたが、今回はアニメソングと作品の関係に触れていきたいと思います。
今アニメ業界で一番需要があるとされているのは”声優アーティスト”もしくは”声優アイドル”です。歌って踊れる声優がアニメ業界では求められているようです。
そんな声優アーティストとは、声優を本業としながら音楽活動もする存在で、ソロであったりユニットであったりします。
この声優アーティストの誕生の原点と言われているのが声優のマルチ活動化やアイドル化が進んだと言われる1990年代なかば、いわゆる「第三次声優ブーム」、その中心にいた林原めぐみさんで、声優アーティストとしての現在の形を作り上げたのが、水樹奈々さん、そして田村ゆかりさんのW主役で2004年に放送された『魔法少女リリカルなのは』ではないでしょうか。
動画は「魔法少女リリカルなのは Detonation」本予告
この二人が2000年代の声優という枠を超えてアーティスト活動でファンを獲得していく流れを作ったと思っています。
私自身、魔法少女リリカルなのはシリーズは全話視聴しましたが音楽、ストーリー、キャラデザ、特に水樹奈々さん演じる“フェイト・テスタロッサ”ちゃんには本当に心打たれました。まさに伝説のアニメだと私は思います。
2000年代初頭点では、声優が歌わない場合はJ-POP歌手が歌っていることがほとんどで”アニソン歌手”というジャンルはまだ現在のように確立されておらず、ドラマ同様にタイアップが重視されていました。
現在もアニメの曲を何曲担当したらアニソン歌手と呼ばれるのか、何曲担当してもアーティスト本人がそれを名乗らなければアニソン歌手ではないのか、世間がアニソン歌手と言えばアニソン歌手になるのか、その定義は定かではありません。
そして現在の声優アーティストの重要なポイントとして、アニメ同様の振り付けで歌い、踊った平野綾さんが主演として人気を博した『涼宮ハルヒの憂鬱』があり、さらに声優アイドルとロックとの融合、を確立した『けいおん!』の放課後ティータイムさん。そして声優アイドルグループとしては、2005年にアーケードゲームとして登場した『アイドルマスター』が基本を作り、そこにアニメと声優としてのドラマを追加、さらにはアニメと声優が完全リンクしたステージを展開することで大きなポイントを作り出したのが『ラブライブ!』のμ’sさんだと思っています。
上で説明したような声優アーティストの需要の拡大の根拠は2007年の冬クールに放送されたテレビアニメの作品約20作品のうち3割ほどのオープニング主題歌を声優が歌っているのに対し、2019年は約45作品のうち6割ほどをも声優がオープニング主題歌を担当している結果を受けての推論です。
ではなぜこのように声優が音楽方面でも活躍するようになったのでしょうか?それはジャンル問わず音楽ビジネス自体に変化があったからだと考えます。
現在、人々が音楽を聴く手段として一番多いのは圧倒的にスマートフォンになっていると思います。
大抵の人はyoutubeやサブスクリプションなどの配信サービスで音楽を聴くようになり、CDの需要は減り、アイドルのCDがオリコンチャートのトップを独占する中、人気声優の発売するCDも常にオリコン上位を占めるようになっています。
アニソンというサブカルチャーの一側面であったジャンルが、アニメファンの購買力に支えられることによって、徐々に声優アイドル、声優アーティストの存在が世間でメジャー化されていく形になっていったのだと思います。
そして今や声優という職業も人気となり”声優の戦国時代”とも言える2019年はさらなる新しい動きも出始めていると感じています。それは先ほど今期アニメの注目作品として選んだ『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』の主題歌のように、オープニング主題歌にアニメに今まで関わってこなかった人が参戦することによるさらなる話題性の創出です。2019年以降、アニメ音楽業界に参戦してくるものはさらなる刺激を、話題性が重要視されている気がしています。
そういった流れのもうひとつ代表例を挙げると『進撃の巨人』です。
2013年春に初放送されSeason2まで3曲のオープニングは”Linked Horizon”さんが担当されていましたが2018年夏に放送されたSeason3では”YOSHIKI”さんとHYDEさんのコラボ楽曲が担当するということが発表されアニメファンだけではなく、YOSHIKIさんとHYDEさんのファンをも驚かせました。
私も進撃の巨人を1期から視聴してきましたので、今回もLinked Horizonさんかと予想していたファンの一人でした。さらには今までの巨人と戦うシーンを連想させるような戦闘曲が定番でありましたが、3期では希望を感じさせる爽やかなイメージの曲でしたので衝撃を受けました。
更に近年は声優に近い存在ではありますが、バーチャルキャラクター、いわゆるVTuberが声優や主題歌を担当する事で話題性を獲得しようという動きも出てきています。
今後この意外性がどのようにアニメ音楽業界に影響してくるのか、声優アーティストの時代もまだまだ伸びて行くのか。ある意味飽和状態にあるアニメ音楽シーンがどのように変化していくのかは、いちアニメファンとしても注目したいところです。
あま津うにの2018年大賞2作品
最後に昨年、2018年のあま津うに的オススメ作品を紹介させてください。
2018年1月放送『citrus』原作:サブロウタ先生
原作のイメージを壊さず漫画の世界観がそのまま動いているように感じた素晴らしいアニメでした。物語の中で日にちが変わる毎、毎話毎に主人公“柚子”ちゃんの髪型が被らないようにアレンジされているといった、細部までのこだわりが見えて感動しました。
もう一人の主人公“芽衣”ちゃんと柚子ちゃんの不器用ですれ違ってしまうもどかしさやそれを乗り越えた後に繋がる愛しく切ない気持ちがこちらまで伝わってきます。
『citrus』ほど美しい百合作品は見たことがありません。「最高!」の一言に尽きます。
2018年4月放送『魔法少女サイト』原作:佐藤健太郎先生
キャラクターデザインを見た時から一目惚れでした。
主人公“彩”ちゃんは凄く可愛い顔の目の下にくまがあったり、管理人と呼ばれる悪役が存在し、モデルがひょっとこやおかめ、それらが最上級に怖く描かれていて一度見たら忘れられないオリジナルにあふれた魅力的なキャラクターばかりです。
そしてこの世界で魔法少女に選ばれる条件は不幸であるかどうか。それぞれのキャラクターの設定を知ると、こんなに不幸で、自分がその立場だったら同じ選択をしてしまうだろうなと考えたり、各キャラクターに感情移入できる作品でもあります。